Smart Sports News

「エントリオ」がすごすぎる……!最新型コンパクトアリーナのポテンシャルとは?

UPDATE 2021/11/15

  • SHARE

日本有数のスポーツアリーナが昨年9月、愛知県で完成した。豊田合成記念体育館「エントリオ」だ。

観客席、壁、天井が黒で統一されたスタイリッシュな空間に、最新鋭の音響と照明の設備を備えた施設は、豊田合成が運営するハンドボール、バレーボール、バスケットボールという3つのスポーツチームの活動拠点となる。

10月9日、そのエントリオで日本ハンドボールリーグの豊田合成ブルーファルコンvsジークスター東京が開催された。新たな会場を視察するためにハンドボールリーグ理事が足を運んだ。

彼らは、実際にエントリオを見て、どんな可能性を感じたのか。実際に、ハンドボール理事会で行われている会議のような形式で、エントリオ、ハンドボールについてを語ってもらった。

【参加者】
葦原一正(一般社団法人日本ハンドボールリーグ代表理事)
松井隆(一般社団法人日本ハンドボールリーグ事務局長)
半田信吾(豊田合成ブルーファルコン GM)
梶原晃(三重バイオレットアイリス GM)
原山麻子(株式会社乃村工藝社 執行役員)
米田惠美(米田公認会計士事務所 代表)
松本泰介(早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授 弁護士)

取材・文=北健一郎、舞野隼大
写真=JHL提供

■目次
コンパクトアリーナのお手本
近代的な可動式トイレを採用
理事が考える“ハンドボールの強み”とは
JHL理事の強みは多面的な会話

コンパクトアリーナのお手本

葦原 実際に豊田合成記念体育館エントリオに足を運んで、みなさんの感想はいかがですか?

梶原 「素晴らしい」の一言しかないですね。立地も駅から降りてすぐですし、いい意味で狭い。外から見ると「割とコンパクトだな」と思いましたが、中はギュッと濃縮されている感じがして、「ヨーロッパにもこういう環境があるな」と思って試合を見ていました。

原山 私もコンパクトアリーナのお手本だなと思って拝見していました。ちょうどいいサイズ感で、機能も十分備わっていると思いました。周辺のレストランや、ショップがもっと増えてくるとより収益が生まれる可能性ありますね。。

松本 おっしゃる通りですね。いろいろなアリーナに僕も行きましたが、エントリオはさまざまな面でビジネスにしやすいなと思います。名古屋駅から3駅でアクセスできますし、全くストレスがないですね。

葦原 他のスポーツでもスタジアムやアリーナが駅から遠いことは珍しくありません。この立地はすごいなと思います

松本 電車から降りて、あのアリーナが見えると気持ちが上がるというか、ワクワクします。

米田 不動産物件として見ても、良いアリーナだなと。ハンドボール、バスケットボール、バレーボールでも使っていらっしゃって、効率的かつ効果的だなと。

葦原 豊田合成のGMを務める半田さん。理事のみなさんからは絶賛する声ばかりですが。

半田 エントリオは、建設に関わったメンバーの皆様が全国のアリーナを視察し、良いところを取り入れています。

葦原 特にどこのアリーナを参考にしましたか?

半田 何十件を視察したと聞いています。

米田 ゼビオアリーナの雰囲気に近いものがありますよね。

松井 名古屋だと、武田テバオーシャンアリーナがありますよね。

半田 そのあたりも研究したようです。

近代的な可動式トイレを採用

葦原 逆に、エントリオに対して1人のユーザーとして気になった点はありますか?

米田 女性として気になったのは、お手洗いの数ですね。私が使ったところは5個と少なかった。ハーフタイムの終わりくらいに行きましたが、集客人数を絞っている中でもまだまだ並んでいたのは、今後に向けても気になる点ですね。

半田 トイレの数は可動式なので、男子トイレと女子トイレを変えることもできます。バレーボールになると女性客が多くなるので、女子トイレを多くしています。

葦原 フレキシビリティがあることはすごいことですね。私も最初に見た時は「変えられるんだ」とビックリしました。エントリオはトイレに関してしっかりと取り組まれていますけど、どういうふうに捉えていくかというのは、今後の理事会の一つのテーマになるかもしれませんね。

原山 デジタルツールを使って「ここが空いてる」とアナウンスするところもありますよね。

葦原 一般的にはアリーナの収容人数のキャパの3%は必要等と、いつも個数論になってしまいますよね。個数も大事ですけど、今仰ったように運営や運用でカバーできることはいっぱいあるかもしれないですよね。

理事が考える“ハンドボールの強み”とは

葦原 エントリオの話もそうですが、皆さんがハンドボールを見たのは何試合目ですか?

原山 今日はライブでの始めての観戦でしたが、試合展開が面白かったのでずっと声を上げていました。ハラハラドキドキの試合が続いていて、楽しかったですね。

葦原 原山さんは初めて生でハンドボールをご覧になられたそうですが、スポーツとしての魅力、印象はどんなものを感じましたか?

原山 フェイントの掛け方とか、自分が思いつかないことが起きるところが面白いですね。渡す球も「そこから来たか!」と、意外性のあるプレーが連続して起きるというのが良かったです。

米田 私は2回目で、代々木競技場第一体育館で初めて見たのですが、今日エントリオで見た試合はその時と全然違って見えました。アリーナが違うので角度の違いももちろんありますが、これだけ近いとスピード感も違うんだなと。

松本 3Dの立体感に、プラスアルファでさらに備わっている感じですよね。ボールをバウンドさせる技術もありますし、立体感がすごいですよね。例えばバレーボールでしたら“縦”ですけど、ハンドボールは総合的な要素がすごく多い。

葦原 ハンドボールの強みは何か。JHL(日本ハンドボールリーグ)の良さは何かを再定義していかなければいけない段階だとも思っています。それは競技的な目線なのか。ビジネス的な目線なのか。他の目線なのか。いろいろな視点があると思うんです。改めて見てみて感じるものはありましたか?

原山 選手にすごく興味を持つようになりましたね。それぞれ動き方が違って、一人ずつ調べたくなりましたね。チームのカラーもすごく違うと感じましたし、チームも選手もコンテンツ要素がすごくある。それは全スポーツ同じことかもしれないですけど、コートと観客席の距離が近いのでよりそう感じるのかなと。

米田 得点者をモニターに流してもらえるから選手を覚えますよね。点が決まるペースもちょうどいい感じで、バスケットボールとサッカーの間ぐらい。

原山 ハンドボールはみんなにかっこよさを与えて、魅力的に見えるんじゃないかなと思います。

梶原 今日、隣にいた米田さんが「エンタメを見てる感じが強い」と試合中に言っていたんです。ハンドボールはみんなが知っているスポーツではないので、見ていてもわからない人もいるじゃないですか。なので競技の要素を伝えることでより楽しんで観戦できるのかなと感じました。

葦原 もちろんハンドボールの良さを伝えることも大事ですけど、プラスアルファのところを表現することが今、必要なのかなと。「プラスアルファって何だろうね」というのが大きなテーマですよね。

梶原 わからない競技なので、説明があると見やすくなりますよね。F1みたいにラジオを聴きながら試合を見れればいいのかなと思います。

葦原 半田さん、エントリオができて、訴求ポイントが変わってきたと思うのですが、お客さんの層は変わってきていますか?

半田 大きくは変わらないですけど、集客人数が2倍以上になりましたね。昔は500人、600人を必死になって集めていましたけど、エントリオになると、コロナで制限がある中でもあっという間に集まります。

JHL理事の強みは多面的な会話

葦原 普段の理事会でもこういった感じで議論が飛び交っていますが、理事会での感想は皆さんいかがでしょうか?

米田 「これはどうやって言えば伝わるんだろう」というストレスがないので、それがありがたいなといつも思っています。本当に皆さん多面的で、「ああ、そうか。そういう考え方もあるな」という学びもあって楽しいです。

松本 日本の中で新しいリーグビジネスを作っている。野球だったりサッカーといった今までのいろいろなモデルはありますけど、新しいモデルを作る議論をしているなというのが率直な感想です。

葦原 今日はいらっしゃいませんが、ニューヨークにいる(トランスインサイト株式会社代表の)鈴木友也さんからも鋭すぎる指摘が来ていますからね(笑)。

原山 皆さんそれぞれの立場でお話しされていて、私のようなスポーツの知見が薄い人間の意見も取り入れようとしてくれいる。みんなが魂を込めて議論に参加しているなと感じています。こういった議論をビジネス界でも行えればもっとイノベーティブなことが起きるのではないかと思います。

葦原 今後もこういった形で理事会の雰囲気を伝えられたらと思います。今日はありがとうございました。

■関連記事

  • SHARE