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より楽しむための卓球の見方 本質は目に見えないところにあり|頭で勝つ!卓球戦術

卓球プレーヤー向け より楽しむための卓球の見方 本質は目に見えないところにあり|頭で勝つ!卓球戦術

2021.07.21 文:若槻軸足(卓球ライター)
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

東京五輪卓球競技開幕を間近に控えた今回、「より楽しむための卓球の見方」というテーマでお話していく。

首都圏会場では無観客で行われることが決まり、おそらくほとんどの方がテレビなどの画面を通しての観戦となるだろう。家族やパートナーといった卓球の経験がない人と見る機会も多いと思われる。

そんな詳しくない方にも「卓球って面白い!」と思ってもらえるような見方のポイントについてお伝えしていこうと思う

今回のお話の結論としてはズバリ、「解説をしっかりと聞く」ということだ。

家庭内での観戦となれば、おしゃべりや食事を楽しみながら、というケースが圧倒的に多いはずだ。だがしかし、よりエキサイティングに観るためには、解説にも丁寧に耳を傾けることが最も簡単な方法だと言える。では以下からはその理由についてお伝えしていく。

このページの目次

  • [6 若槻軸足が書いた記事はこちらから]()

卓球は頭脳とメンタルのスポーツ

卓球は頭脳とメンタルのスポーツである。

陳夢
写真:世界ランキング1位の陳夢(チェンムン・中国)/提供:ittfworldたとえば、技術の要素・頭脳の要素・メンタルの要素の3つがあるとする。世界ランクの10位以内の選手同士の対戦ともなれば、実は技術の差というのはそこまで大きな開きはない。

勝敗を分けるのは、技術よりも頭脳、つまり戦術・作戦と、常に強気でいる心持ちなのだ。それらは試合終盤の競り合いの場面ではより顕著になるし、五輪の決勝といった大きな舞台であればなおさらである。どんなときも常に冷静で、しっかりと頭を働かせ、強気の選択ができる、そいうった選手が最後は勝つのだ。

ただしこれらの頭脳の要素やメンタルの要素は、卓球経験のない方が普通に試合を見ているだけでは感じることは難しいだろう。しかし、卓球本来の面白さはそこにあるのだ。

頭脳の要素

卓球は戦術の先読みが可能なスポーツ

卓球は頭脳戦だ。言い換えればお互いの心の読み合いである。「フォア前のサーブが連続で来ているから、次はロングサーブが来るだろうな」とか、「一つ前のプレーでフォアサイドをノータッチで抜いたことから、相手はフォアに意識を置いているだろうと予測し、次はバックを攻める」といった具合だ。

馬龍(マロン・中国)
写真:馬龍 /提供:ittfworldそういった形でひとつずつ情報を収集しながら、相手の心を読んで作戦を組み立てていく。そうして最終的には相手にやることがない状態にまでさせる、いわば詰将棋のようなものである。そしてその詰めていく過程が面白いのだ。

そうした過程は、セオリーやパターンといったものがある程度は決まっており、試合を見ている第三者であっても次のプレーをあらかじめ先読みすることが可能なのだ。

伊藤美誠
写真:伊藤美誠(スターツ)/提供:新華社/アフロその第三者の立場で我々に情報を提供してくれるのが、解説者である。「バックへのサーブからの展開は連続で失点しているから、次はフォア前に出すと思いますよ」と解説者が言ったら、本当にフォア前にサーブを出す。

リードしている選手が失点し、「あと1点取られたらタイムアウトですね」と言うと、本当にその通りタイムアウトを取る。このように試合の内容や展開から、選手が次にとる行動を予測して伝えることが可能なのだ。

これは卓球という競技がそういった頭脳を使う競技であると同時に、プレーとプレーの間にある程度の時間があることからできるのだ。おそらく他の競技で同様にプレーの先読みができるケースは多くはないだろう。

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