ゴルフ,ゴルフ沼

【#19】ゴルフ初心者の救済措置「プレ4」は敵か味方か

ゴルフコースに初めて行ったときに驚いたのは、とにかく実際のコースってめちゃくちゃ広いし、グリーンまでがめちゃくちゃ遠いな、ということでした。こればっかりは『プロゴルファー猿』や『オーイ!とんぼ』を何回読んでもわからない。現実のコースに足を運んでみて初めて実感できることです。

ゴルフ,世界ランキング

たとえばパー5のホールなら、ティーイングエリアからグリーンまで500ヤード(約450メートル)ぐらいあったりするわけです。大谷翔平のめちゃくちゃ飛んだホームランでも、飛距離はせいぜい140メートルぐらいですよ。500ヤードって言うとその3倍以上。とにかくゴルフコースって信じられないぐらい広いんです。

そして、初心者のうちは特に、コースにあるすべてのものがスコアを落とす「敵」のように見えます。バンカーも池もラフも林も傾斜も、何もかもが憎たらしい。

でも、そんな中で、たった1つだけ初心者の味方をしてくれるものがあります。それが、コース中盤から終盤に存在する黄色い目印。そう、「プレーイング4(前進4打)」です。通称プレ4(プレフォー)、または前4(まえよん)。

ティーショット(第1打)がコースを大きく外れてOBになってしまったときに、通常は1打罰を受けてその場から打ち直しになります。でも、プレ4があるコースでは、ティーイングエリアから移動して、プレ4の目印がある地点から4打目としてプレーをすることができるのです。

正式なゴルフルールで認められているものではないし、すべてのコースに設置されているとは限らないのですが、一般的には多くのプレーヤーが利用しています。

ティーショットでOBが出まくる初心者にとって、これがどれほどありがたいことか!今もお世話になりっぱなしの私にとっては、プレ4は毎年お歳暮を贈りたいぐらい頭が上がらない存在なのです。

そもそも、ドライバーでもアイアンでも「ただまっすぐ前に打つ」ということすら難しい私のようなカスゴルファーにとっては、広くて広くて長い長いゴルフコースはただの生き地獄でしかありません。

500ヤードのコースだったら、100ヤードのショットを5回打てばグリーンに乗せられる。もちろん理論上はそうなんです、理論上は。でも、5回連続でまっすぐ前に飛ぶショットなんて打てないんですよ。だから、この果てしないグリーンまでの道のりを少しでも縮められる魔法があるのなら、何が何でも使わせてもらいたい、ってことになるんです。

始めたばかりの頃は、とにかくティーショットが曲がりまくり、OBを連発していました。でも、それでスコアが200台に到達せず、180台で何とか踏みとどまることができたのは、プレ4のおかげなんですよね。

とにかくプレ4はありがたい。ずっとそう思ってきました。恐らく普通のゴルファーは、初心者のうちはプレ4のお世話になることもあるけど、次第にあんまりOBを打たなくなってきて、プレ4を卒業していくのでしょう。しかし、残念ながら私は今のところ永遠の留年生。プレ4にケツを拭かれっぱなしです。

たしかにOBは減っているんですよ。ティーショットで大きく曲がってOBになる、という確率は下がってきた。でも、OB以外の失敗は出まくるんですよね。具体的には、圧倒的な飛距離不足や当たり損ねです。ドライバーで打っているはずなのに、50〜100ヤードぐらいしか前に行ってない。実はこれが一番厄介なんです。

ゴルフ,ゴルフ沼
(Photo by ArtMassa)

ドカンと派手にOBを打っていれば、気分を切り替えてプレ4から再出発、ということになるんですが、中途半端に前に飛ぶと、それもできない。グリーンまでに絶望的な長い距離を残したまま、2打目以降を地道に打ち続けないといけなくなるのです。

むやみにOBを打たなくなった自分にはわずかながら成長を感じているものの、だからといって当たりが良くなってるわけではない、という根本的な問題があり、どうにもなっていません。

ぶっちゃけた話、OBを連発していた頃よりも、スコアはちょっと悪くなっているような気もします。それもこれもプレ4のせいです。プレ4があることで、それを利用できない技術レベルのプレーヤーが、一番損をすることになっているのです。あんなにありがたく見えたプレ4が、むしろ憎たらしく見えてきます。

「成長しているはずなのにスコアが伸びないよ。なーんでだ?」というなぞなぞのような状況。クイズ王の伊沢拓司くんでもこの謎は解けないでしょう。

でも、いまだに1回のラウンドで何度かはプレ4のお世話になることはあるので、完全に否定もできない。自分にとってプレ4はそんなどっちつかずの存在です。「大嫌いなのに愛してる(DNA)」という川本真琴的な状況。「OBを一切打たないからプレ4があってもなくても関係ない」というゴルフ殿上人になるその日まで、プレ4に対する愛憎の念がつのるばかりです。

関連記事