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「自分にプレッシャーをかけるように…」 川崎春花が振り返る“劇勝”からの1年

川崎春花が46年ぶり2人目の連覇に挑む(撮影:上山敬太)

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 事前情報◇6日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>

「自分でも信じられない優勝をしてから、もう1年が経ったんだな。早く感じますね」。ディフェンディングチャンピオンとして大会に臨む川崎春花が、新星登場を印象づけた地元・京都での大会からここまでをしみじみと思い返す。

ルーキーイヤーだった昨年、下部のステップ・アップ・ツアーとの“掛け持ち”で迎えたシーズンでは、秋口にさしかかるころに、大きなインパクトを残した。序盤は腰痛の影響もあり苦戦し、選手権の直近に出場したレギュラーツアーでは3試合連続で予選落ちを喫してもいた。しかしメジャー大会で、その年の年間女王になった山下美夢に3打差をつけて快勝し、ツアー初優勝をつかみとることに。しかも、選手権史上最年少の19歳133日での優勝、史上5人目の大会初出場初優勝、毎年会場が変わる大会で地元出身の選手が優勝するのも史上初など、記録ずくめの劇的な勝利だった。

「毎週試合に出られるようになって、さらにその後も優勝することができた。周りの環境も変わっていったし、自分で自分にプレッシャーをかけるようになっていました。今はノビノビできるようにしたいなって」。一躍ヒロインになったことで、こんな大きな“変化”を感じることにもなった試合だ。この年はメルセデス・ランキングで15位になり、賞金は1億円にも迫る9205万2000円を稼いで8位。年末のJLPGAアワードでは新人賞も獲得と、大きな期待を背負う選手のひとりになっていったが、それが重圧になってのしかかってもいたことを明かす。

今年に入り、3月の「アクサレディス」で3位になったものの、その後は予選落ちが続くなどなかなか本調子とはいえない日々をすごしていた。この時期には、スイングのイメージにもズレが生じていたという。そこで予選落ちした「CAT Ladies」後には、インストラクターなどを務める糸山実氏のもとを訪れ、アドバイスを求めた。

『テークバックで体全体が回り過ぎて、下半身と上半身の差が大きい 』。こんな指摘を受け、修正に取り組むことに。「無意識ではあったんですが、飛距離や精度を求めていたのかもしれない」という部分が、その狂いの原因と分析する。

こうして試行錯誤を重ねて迎えるのが、連覇がかかる今大会だ。「ショットもパットもいい感覚で打てています。ひとつの試合として、いい状態で迎えられる」と自信も湧いている。このパサージュ琴海は、1月に櫻井心那、佐藤心結の3人で合宿を行った場所。「グリーンにアンジュレーションがあるので、ショットの精度が大事。ショットがブレた時、パットの距離感も大事になる」というポイントを早い段階で確認していた。当時のいい感覚をつかんだ状態で、しっかり準備を進めてきた試合に臨むことができる。

予選ラウンドは、そんな“盟友”でもあり2週連続、さらに地元優勝がかかる櫻井とともにプレーすることが決まった。「心那ちゃんは、誰よりも練習するし、ゴルフに対して真剣。話をしていても『地頭がいいな』って感じます。友達でもあるけど尊敬しているし、一緒にプレーできるのはうれしい」と大歓迎する。同学年で同期、お互いを『はるちん』、『ここなっつ』と呼び合う2人の切磋琢磨する姿も見られそうだ。

コースが違うこともあり、連覇という言葉は強く意識することもない。目標を聞かれると「明るく、楽しく、元気に回りたいです」とニコリ。自らに課してきたプレッシャーから解き放たれたかのように、明るく、穏やかに、初日を迎える。(文・間宮輝憲)

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