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青木瀬令奈が休養中の親友・成田美寿々を思い涙「また頑張ろうと思ってくれたら…」

華麗な逆転劇を見せた青木瀬令奈。会見では親友と亡き師匠への思いも語った。(撮影:佐々木啓)

<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 最終日◇19日◇鹿児島高牧CC(鹿児島県)◇6419ヤード・パー72>

青木瀬令奈は上田桃子に一時8打差をつけられながらも、「諦めずにやった結果かな」と8つのバーディを積み重ねて逆転。3年連続となるツアー通算4勝目を挙げた。優勝会見では楽しいことも苦しいことも共有してきた親友の名前を出して涙する場面もあった。

「私は自分の好きなことを我慢して、何かを犠牲にして何かを得る方が自分のプラスになる」と、美容院もネイルも、そして大好きな宝塚も2年間封印し、ゴルフと真摯(しんし)に向き合えってきた。それが21年、22年、そして今大会での優勝の原動力となっている。

そんなストイックな青木に影響を与える存在としてまず挙げたのが、今季から所属しているスイスの高級時計ブランド、リシャール・ミル。18年から同社とスポンサー契約を結ぶ青木は、同じリシャール・ミルファミリーのプロゴルファーやレーシングドライバーから刺激をもらってきた。

「開幕戦も2戦目も『リシャール・ミル所属』とスタートホールでコールされるのをすごい期待して、ワクワクしていたんですけど(笑)。『言わないんかい』っていう感じで(笑)」とおあずけをくらっていたが、今大会で初めて『リシャール・ミル所属 青木瀬令奈』とコールされて、「初日に電気が走ったくらい、スゴイパワーをもらった」といつもより気合いが入った模様。今週の月曜日にはリシャール・ミルファミリーで食事に行き「お互い高め合いながら(大会に)入った」と話す。

そして次に挙げたのが、ここ数年不調に陥り、今は無期限休養中の親友・成田美寿々の名前。「美寿々がちょっといまお休みをしているので、私の優勝だったり、この頑張りが、彼女にとって…」とここで青木は涙ぐみ、声を詰まらせる。そして、「また頑張ろうと思ってくれたらいいと思って…届いたかなと思います」。トーナメント会場はもちろん、コース外でも同じ時を過ごした成田に思いを馳せた。

続いて「コーチの存在がやっぱり大きいですけど」と、15年からキャディ兼コーチとして青木を支える大西翔太コーチにも感謝しつつ、「挙げ始めたらきりがないんですけど、去年の年末に幼少期から教えていただいていた佐藤剛平さんが亡くなってしまったので…。剛平さんにも優勝する姿が見せられた。見守ってくれたかなと思います」と再び涙した。レギュラーツアーやシニアツアーでもプレーした佐藤さんは昨年12月30日に、67歳の若さでこの世を去った。がんだった。

途中、同じレースを走るライバルは青木のはるか前方を走っていた。それでも「最大の敵は自分自身。そこは徹底してやろうとコーチとも話していた」と優勝を諦めなかった。終わってみれば、3日間54ホールボギーなしで後続に4打差をつけて圧勝。そのゴルフへひたむきに向き合う情熱は、親友の心にも、師匠がいる天国にも届いたに違いない。(文・下村耕平)

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