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ため息はのみ込まない! 毎ショット打つ前に大きなため息をつく【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】

イラスト・のり

18ホールを回る間、ずっと自律神経のよい状態を持続するのは難しいことです。バランスが整った状態は些細さいなことがきっかけで、あっという間に崩れてしまうからです。

とはいえラウンド中、自律神経ばかり気にしてショットやパットがおぼつかなくなっては本末転倒です。そこで皆さんに取り入れていただきたいのは、ショットの前に「ため息をつく」ことで維持する方法です。
 
■ストレスを感じる前から意識してため息をつく
 
毎ショット、できればルーティンに入る前の習慣にしましょう。そうアドバイスをすると、「ため息ならのみ込みたくても出ちゃいますよ」という方がいらっしゃいます。確かに、バーディチャンスから3パットをした、花道に打ったボールが深いディボット跡に入ったなど、ガッカリしたりイライラしたりしたとき無意識のうちにため息をつくゴルファーは多いと思います。
 
しかしこれからはストレスを感じる前から、それを意識的に行ってほしいのです。ボールの後方に立って目標を確認しながらでもいいでしょう。息を吐くときに肩が落ちるくらい深いため息をショット前につくことが大切です。
 
■我慢すると頭痛や肩こり、体調不良を起こす可能性がある
 
以前は「ため息をつくと幸せが逃げる」という迷信がありました。ため息はネガティブな感情やストレスを助長するマイナスなものと誤解されていたのでしょう。
 
しかし医学的には、ため息はたくさんついたほうがいい。ため息をつくことで血流がよくなり、副交感神経の働きがアップしてリラックスできるからです。それを我慢すると頭
痛や肩こりの原因になったり、ストレスから血管が収縮して交感神経が高まった緊張状態が続いたりして体調不良につながる可能性さえあるので要注意です。
 
ゴルフのプレー中も不安や緊張やストレスから、呼吸が浅いか、ほとんど息をしていない状態に陥って、しばしば血流が悪くなりショットに悪影響が出がちです。
 
それを元に戻すには深く息を吐く必要があるので、ため息は必須です。自律神経を整え、心身をリラックスさせるためのリカバリーショット、と私は考えています。皆さんもぜひ、毎回ショットをする前に意識的についてみてください。
 
余談ですが、私はプロ野球選手にも同様のアドバイスをしています。マウンドでため息をつくピッチャーは、決してうな垂れているわけではありません。自分の緊張を分かっているからこそ、打たれないよう落ち着くため、副交感神経を上げてから投げているのです。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
 
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。

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