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8ラウンドオーバーパーなしに「全然あり得ない」 渋野日向子の“勉強の2週間”を振り返る

渋野日向子の開幕2試合を振り返る(撮影:ALBA)

<HSBC女子世界選手権 最終日◇5日◇セントーサGCタンジョンC(シンガポール)◇6774ヤード・パー72>

オフのあいだにかつて指導を仰いだ青木翔コーチのもとでスイング改造に取り組み、クラブセッティングも大幅に変更するなど、新たな挑戦とともに幕を開けた渋野日向子の2023年シーズン。自身初戦のタイ、そしてシンガポールでの連戦を終えて、この2週間を振り返った。

トップを高く、クラブを縦に振り下ろすスイングづくりに励んでいる“新生・渋野”。タイの4日間を終えたときに「ゼロ(%)に近い」と話したスイングの完成度は、場所を変えたシンガポールでもなかなか手ごたえは感じられず。「ボロボロ」、「ショットが悪すぎた」と日々悔いがつのることになってしまった。

なかでも4日間で49/72(68%)だった“パーオン率”の低さを指摘。「乗らないとスコアは出ない」と、第2ラウンドで同組でプレーし、大会連覇を果たしたコ・ジンヨン(韓国)のスタッツを引き合いに出しながら、その差を痛感した。

だが、この2週間を振り返ってみれば、タイ戦では「70」「71」「66」「71」、シンガポール戦では「72」「69」「72」「71」と今季初戦からの8ラウンドでオーバーパーは一度もなかった。

シンガポールでは2日目に池ポチャ2回もパーとボギーに留めて、2オンイーグル奪取で今季2度目の60台をマーク。3日目には池ポチャやブッシュのトラブルがありながら、最終ホールでベタピンバーディを奪ってイーブン。そして最終日には終盤のパー5でティショットを右OBとしてダブルボギーを叩いたが、意地のバーディ締めでアンダーにまとめた。

「全然あり得ない、よくこの状態で耐えてるなという感じ」。渋野自身も、このスコアは開幕前にイメージできていなかった。1カ月前には「シャンクが止まらなかった」という状態でありながらのこのスコア。「(自分を)過大評価してしまっている」と笑う。

もちろん、このスコアは「アプローチやパッティングにすごい助けられた」というもので、渋野自身が望むものにはまだ遠い。それでも「久々に芯を食った」ウッドショットや「飛んで行ったボールにめっちゃ安心感があった」というアイアンショットも垣間見え、いいショットを振り返ることができているのも大きな一歩目だろう。

次のアリゾナ戦までの2週間は、この連戦での課題を克服していく調整を進める。そのなかで「ミスの傾向が全部右なので、やらなきゃいけないことはわかりやすい」とポイントは明確。そのことは渋野も「救い」と話す。

「去年浮き沈みが多すぎたので、自分の気持ちにも負けてしまっていた。諦めが肝心とも言うけれど、諦めない気持ちも必要だから、一瞬一瞬を大事にしたい」。米ツアー2年目のシーズンは試行錯誤とともにスタートしたが、まだ始まったばかり。一歩ずつ歩みを進めていき、ひとつずつ階段を上っていく。(文・笠井あかり)

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