『4.9915』からの成長 山内日菜子が2週連続Vへ好発進

山内日菜子が難関・葛城でも好発進を決めた(撮影:上山敬太)

<ヤマハレディースオープン葛城 初日◇30日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6480ヤード・パー72>

地元・宮崎県で行われた先週の「アクサレディス」で、ツアー初優勝を挙げた山内日菜子が勢いそのままに“難関・葛城”も攻略した。「緊張はなかったですね。一日楽しくプレーすることができました」。余計なプレッシャーもなく、急きょ決まった試合で落ち着いたプレーを続けた。

稲見萌寧、吉田優利とともに回る、午前の注目組でのプレーで奪ったバーディは3つ。さらにボギーフリーというのもお見事だ。15番は残り50ヤードを58度のウェッジで1メートル、18番は残り90ヤードから52度でここも1メートルにつけた。後半の3番は残り80ヤードから奪ったバーディで、いずれも「先週よりもいい」というショットをピンに絡めた。

この3つのバーディはすべて「昔から課題にしていた」というパー5で奪ったもので、それも山内の気分をよくする。2016年のプロテスト合格後、キャリアのなかで唯一レギュラーツアーにフル参戦した19年の『パー5平均スコア』が“課題”としてきた理由だ。山内のスタッツは『4.9915』で96位。伸ばしたいパー5で、しっかりと伸ばしきれないことがレギュラー定着を阻んできたと考えてきた。ちなみにこの年は34試合に出場し、予選落ちは19度。賞金ランクも90位とふるわず、QT行きを余儀なくされた。

それ以降、マネジメントなども意識してきたという。「(以前は)本当に何も考えてなかったというか、ティショットして、セカンドで何ヤード残すとか、きちんと何番で打つというイメージもしていなかった。ここ最近は何ヤード残して、何番で打つということができています」。この日も、15番は右側のバンカーを越えておきたいとセカンドで3番ウッドを握ったが、ほか2つは残す距離を計算して2打目は4番ユーティリティで刻むという選択。ピンから逆算し「狙いやすい場所を考えるように」した結果が、スコアに現れた。「父と話して、パー5でバーディを獲れている選手が上位にいくのはわかっていた」。初日3アンダーは6位タイ。その取り組みの効果を実感する一日でもあった。

さらにフェードだった持ち球を、昨年途中からドローに変えることで、グリーンにショートすることが減ったとも。なかなかレギュラーツアーを主戦場にすることできなかった、ここまでの8年間の試行錯誤ぶりもうかがえる。

先週は、2002年のQT制度開始後、最も低いQTランク(181位)の選手としてレギュラーツアー優勝。“史上最大の下剋上”と大きな話題になった。出場できる試合が不透明だったところから、一気に今季さらに来季のフル出場権(一部大会を除く)を手にしたシンデレラは、「ショットが安定してくれているので、しっかりとマネジメントして。あとはパターが入ってくれたら」と2週連続優勝へ好スタートを切った。

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