【インタビュー】3500人の大観衆と“神試合”。北海道・水上玄太「感極まっちゃった」
3573人──。
入場者数のアナウンスが流れると、「きたえーる」にどよめきが起こった。
ここまで最下位のエスポラーダ北海道がホームの雰囲気を味方につけて、優勝争いを演じるペスカドーラ町田に6-1で大勝した。
タイムアップから90分後。4点目を決めた選手兼GMの水上玄太がミックスゾーンにやってきた。
ずっと変わらない人懐っこい笑顔の裏側には、GMとして、エースとしてクラブを背負う責任感を抱えていた。
不安だし怖かった
──ちょうど、僕が北海道の実家に帰っていたんです。エスポラーダ北海道の試合があるということで来てみたら、座る席が見つからないぐらい埋まっていてびっくりしました。
ありがとうございます。
実は、今年けっこう集客に苦戦してたんです。というのも、去年ぐらいからちゃんとチケットを購入してもらおうとシフトチェンジしていて、無料招待をほとんどしていなかったんです。
今日はトップパートナーの明日佳グループの15周年を記念するチャリティマッチなので、明日佳グループと関わりのある企業さんを中心に、ぜひチケットを購入してくださいとお願いをして。
ただ、北海道マラソンもかぶっているし、天候もちょっと良くなかったから、僕らの計算でも、「3000人ギリギリ届くか?」っていうぐらいの予想だったのですが、フタを開けてみたら3500人超えるお客さんが来てくれて、本当によかったなあと。
──エスポラーダ史上でも指折りの観客数だったのでは?
そうですね。カズさん(三浦知良)が来た時が5300人で最多だったので、それに次ぐくらいの数ですね。今回は先着でタオルマフラーを配布する企画をしていたのですが、どれくらいの人たちに周知できているかも、SNS上だとわからなくて。チケットの前売りも今までよりは多かったけど、本当に不安だし怖かった。
──選手としてというより、GMとしての不安。
そう。中身を知っているし、明日佳グループの冠試合なのにガラガラっていうのは、申し訳ないというか、やばいよなと思って。結果的に多くの人が入ってくれて、試合も勝つことができました。
──水上選手、GMとしては崖っぷちのような気持ちだった?
僕のなかでは、もうけっこう崖っぷちでした。F2降格もある順位だし、リーグ戦も半分経過したんだから、もっと頑張らなきゃダメだろと。言い方は悪いかもしれないんですけど、若いなっていうか、くだらない失点が多くて。練習の時からそれが出てたりするので、今週は特に厳しい声もあげながら準備してました。
みんなで粘り強く戦えば、こうやって先制して加点することもできるし、(鈴木)裕太郎のゴールで沸いて、(室田)祐希のゴールでさらに会場のテンションが上がったのもわかったし、3、4点目と決まっていくうちに、どんどんホームの雰囲気になっていたなと。それが町田に勝てた要因だったと思います。
──今日来たお客さんの中には、エスポラーダをめちゃくちゃ応援しているかというと、たぶんそうじゃない人もいたと思います。
そうですね。そこは、サッカー少年団の子どもたちや札幌第一高校サッカー部の学生とかが、コアなサポーターとの緩衝材になって、応援に乗っかって声を出してくれたので、全体的に盛り上がったんだと思います。やっていてもありがたかったです。
景色が変わることを信じていた
──試合前は観客席も気になるんじゃないですか?
はい。それは去年ぐらいからもうずっとです。今日もアップの時はまばらだったから裕太郎とは、「大丈夫かな?」って話をしていて。ただ、昔から試合前はガラガラでも入場した時にめっちゃ人が入ってるっていうのを何度も経験してるんですよね。だから景色が変わることを信じようって言いながら、アップを終えました。
そしたら本当に入場した時にびっしり観客席が埋まってたので、それだけでちょっと感極まっちゃって、あとはもう結果だよなって。危ないシーンもありましたけど、(関口)優志を中心に、しっかり我慢して。長く在籍してる裕太郎のゴールから始まって、エースの祐希が追加点を決めて。
──そして、水上GMも自ら決めて、最後にGKの関口選手も決めて。
あれ? 僕のオウンゴールになってないんですか!
──(公式記録を見ながら)4点目は「水上玄太」になってます。
得点者だけ見たら「若手、大丈夫か?」って感じだけど(笑)。
──確かに。でも、みんなが知っている選手とか決めてほしい選手がちゃんと決めて大差で勝つことができました。何年かに1回の神試合かなと思いますけど。
うん。もちろん若手が取ってくれたらよりいいんですけど、僕たちが理想としてたというか、苦労してきたメンバーがしっかり結果を出してくれました。個人的にもすごくうれしいゲームになりましたね。
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