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「ここ数年のクリーブランドじゃない」ヤニスも称賛するキャブズが今季好調の理由は「守備で100%出し切るチームに」<DUNKSHOOT>

今季好調のキャブズに対し、ヤニス(左)は「ここ数年のクリーブランドじゃない」と称賛する。(C)Getty Images
 現地時間1月26日、クリーブランド・キャバリアーズはホームのロケットモーゲージ・フィールドハウスでミルウォーキー・バックスと激突。昨季王者相手に115−99で勝利を収めた。

 バックスはヤニス・アデトクンボが26得点、9リバウンド、クリス・ミドルトンが21得点、4アシスト、ボビー・ポーティスも22得点、7リバウンドと3選手が20点超えを記録。しかしビッグ3の一角ドリュー・ホリデーがフィールドゴール2/9で4得点と不発に終わり、キャブズとの今季戦績を1勝2敗とした。

「僕らが知っているここ数年のクリーブランドじゃない。彼らはいいチームだ。今の彼らは僕らよりもいい戦績を残している。警戒すべきチームであり、もっと入念にスカウトしないといけない。それに、彼らのことを今よりもっとリスペクトしなきゃならないね。彼らはプレーオフチームであり、タイトル獲得のために戦っている」
  試合後にアデトクンボがそう話していたように、30日終了時点でバックスが31勝21敗(勝率59.6%)なのに対し、キャブズは30勝20敗(勝率60.0%)。イースタン・カンファレンス5位の前者と同4位の後者はゲーム差こそないものの、レギュラーシーズン50試合前後を終えた時点でキャブズがバックスを上回りプレーオフ進出圏内にいる事実は、今季最大級のサプライズと言っていいだろう。

 キャブズは昨季まで3シーズン連続で勝率3割前後と低迷し、プレーオフ出場を逃していた。そうしたなか、昨季途中のトレードでビッグマンのジャレット・アレン、今オフのトレードでストレッチ4のラウリー・マルッカネンを獲得し戦力を補強。そして昨年のドラフト1巡目3位で多彩なビッグマンのエバン・モーブリーを指名し、着々と再建の準備を整えていった。

 そうして迎えた今季は、開幕から好調をキープ。しかし序盤戦で得点源のコリン・セクストンが左ヒザの半月板断裂、さらに昨年12月末にはベンチから貴重な働きを見せていたポイントガードのリッキー・ルビオも左ヒザ前十字靭帯断裂と、キープレーヤーが2人も今季絶望となっていた。
  そんな危機的状況のなか、1月3日に3チーム間のトレードで2度の優勝経験を持つベテラン司令塔のラジョン・ロンドを獲得してプレーメーカーを補充すると、10日のサクラメント・キングス戦から5連勝。ここ9戦で8勝と一層調子を上げており、セクストンとルビオの戦線離脱を機にチームはさらにまとまりを見せている。

 バックス戦ではダリアス・ガーランドが19得点、8アシスト、アデトクンボ越しにダンクを炸裂させたモーブリーが16得点、7リバウンド、2ブロック、アレンがダブルダブル(10得点、10リバウンド)をマークしたことに加え、ベンチスタートのケビン・ラブがチームトップの25得点に9リバウンド、2スティール、シェド・オスマンが23得点、4アシスト、ロンドが5アシストを記録。試合後、チーム最古参のラブはキャブズの現状についてこう話していた。
 「僕らがハードにプレーして自分たちのシステムを忠実にこなせれば、どんな相手でも倒せる気がするね。今夜は強豪チームを下した。でも僕らとしては『また同じことを繰り返せるのか?』って感じなんだ。自分たちが望む位置へ行くべく、僕らは毎晩やるべきことを遂行していく。リーグでリスペクトも欲しいし、相手チームには僕らが這い上がって特別な何かをやってやりたいんだと分かってほしいね」

 今季のキャブズの根幹となっているのはやはりディフェンスだろう。アレン、モーブリーといったサイズのあるビッグマンたちを中心に、ディフェンシブ・レーティングでリーグ3位の105.0と高数値を残している。

「シーズンを迎える時、このチームにはアイデンティティがいくつかあった。僕らはリーグで最もハードにプレーするチームに、そしてディフェンスで常に100%の力を出し切るチームになりたかったんだ。今夜(バックス戦)は完璧にそれができたと思う。もちろん、浮き沈みはあるけど、全体的に見れば僕らは自分たちのアイデンティティにこだわって実行できているし、それがこのチームを良い方向へと導いてくれているね」
  チーム全体でディフェンスに取り組んでいることを、そう誇らしげに話したアレン。リーグ上位の守備力こそ、今季キャブズが大崩れしない最大の要因と言えるだろう。

 そしてJB・ビッカースタッフHC(ヘッドコーチ)は、今季のチームにはケミストリーが芽生えていると話した。

「選手たちはお互いを信じている。何も恐れたりしないんだ。この先なにがあろうと、それが良いか悪いかに関係なく、彼らは互いを支え合っている。このチームはチャレンジをしていて、決して手を引くことはない」
  イーストは1位のマイアミ・ヒート(32勝18敗/勝率64.0%)から6位のブルックリン・ネッツ(29勝20敗/勝率59.2%)までわずか2.5ゲーム差の大混戦。さらに7位のシャーロット・ホーネッツ(28勝23敗/勝率54.9%)から12位のニューヨーク・ニックス(23勝27敗/勝率46.0%)までも4.5ゲーム差と、1試合の勝敗で順位が変動する様相となっている。

 キャブズがこのレースを乗り越え、プレーオフ進出を飾ることができれば、若手やベテランたちにとって大きな自信となるに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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