アイバーソンと並んだエンビード。「健康だったら1万5000点に到達してた」と“らしさ”も全開<DUNKSHOOT>

新たな勲章を手にしたエンビード。健康体を維持できれば、今後もさらなる栄誉に浴せるだろう。(C)Getty Images
現地時間12月26日、敵地キャピタルワン・アリーナでワシントン・ウィザーズと激突したフィラデルフィア・セブンティシクサーズは117-96で一蹴。今季戦績を17勝16敗(勝率51.5%)とした。

シクサーズの大黒柱ジョエル・エンビードは、フィールドゴール12/17(成功率70.6%)、フリースロー10/11(成功率90.9%)とショットを高確率でヒット。いずれもゲームハイとなる36得点、13リバウンドに2ブロックをマークし、勝利に大きく貢献した。

昨季までの相棒ベン・シモンズを欠いているうえ、自身も含めて複数の選手たちが新型コロナウイルスの安全衛生プロトコル入りによって離脱。現在チームはイースタン・カンファレンス6位。それでも、エンビードはここまで平均25.5点、10.9リバウンド、4.1アシスト、1.1スティール、1.5ブロックと、今季もオールスター級の成績を残している。

そしてウィザーズ戦を終えたエンビードは、レギュラーシーズン282試合目を終えて通算7017得点に到達。シクサーズのフランチャイズ史上、300試合以内で通算7000得点に到達したのはアレン・アイバーソン(元シクサーズほか)とエンビードのみと、新たな勲章を手にした。
「最高だな。もちろん、自分がもっと健康だったらとは思うよ。(もし健康体だったら)たぶん今頃1万5000得点には達していただろうから」

エンビード自身がそう振り返ったとおり、カメルーン出身のビッグマンは2014年のドラフト1巡目3位でシクサーズから指名されるも、最初の2シーズンを足のケガのため棒に振り、2016-17シーズンにようやくNBAデビュー。その後も相次ぐ故障に見舞われ、1シーズンに70試合以上プレーしたことは皆無。しかし、毎年平均20点以上をマークしてきただけに、もっと早い段階で7000得点以上を積み上げていた可能性は高い。

昨季のエンビードは平均28.5点、10.6リバウンド、1.4ブロックを記録し、シクサーズをイーストトップの49勝23敗(勝率68.1%)へ導く原動力となったことで、MVP投票で2位にランクイン。リーグトップレベルの選手としての地位を確立している。
ただ、オールスター選出4度を誇る27歳のスタービッグマンは、「その記録は素晴らしいこと。でもフォーカスしていることじゃない。ゴールはいつだって、チャンピオンシップを勝ち取るチャンスを掴むべく、毎日成長していくこと」と語る。

とはいえ、16歳でバスケットボールをプレーし始めたエンビードにとって、ここまでのキャリアは「クレイジーだ。こんなチャンスを手にするだなんて思ってもいなかった」と自身が明かしたように、十分誇れるものと言っていい。

だからこそ、エンビードはドラフト指名されたこの地で王座を勝ち取るべく、シクサーズを引っ張っている。
「ここにやってきた時、最初から多くの人たちが俺のことを信じてくれた。それが、俺をもの凄くハードな練習へと突き動かしてくれたんだ。カレッジ(カンザス大)へ入った時でさえ、俺は十分にいい選手ではなかった。そこから一日一日、もっといい選手になるべく駆り立ててくれたのさ。人々が信じてくれたこと、カレッジに行ったこと、それが俺の望んでいたことなんだと思うね」

昨季までの72シーズンで優勝3度、プレーオフ進出51度を誇る名門で、エンビードは着実にレガシーを残している。シクサーズを1983年以来のNBAチャンピオンへと導くべく、大黒柱の挑戦はこれからも続いていく。

文●秋山裕之(フリーライター)

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