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“情報は武器になる” 指導者必見!練習試合での心得|頭で勝つ!卓球戦術

2021.11.19 文:若槻軸足(卓球ライター)
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

今回の記事では「練習試合での心得」というテーマでお話していく。

今回は指導者向けのテーマだ。中学校や高校の部活動で、誰しもが練習試合というものを経験したことがあるだろう。相手校に赴き、あるいは迎えて試合形式で数多くの選手と対戦ができる、

両校にとって非常に有意義な時間である。その貴重な機会をなんとなくで終わらせてしまうのか、本番の試合に役立てるものできるのかは、指導者の手腕に関わってくる。今回はそんな練習試合のときにやっておくといいことについて、お伝えしたい。

このページの目次

  • [6 若槻軸足が書いた記事はこちらから]()

卓球の練習試合の心得①しっかりと情報を収集させる

結論になるが、練習試合で最も大切なことはしっかりと情報を収集させることだ。

指導者は練習試合で、一人の選手の試合を最初から最後まで観ることは不可能だ。多くの選手が同時に試合をしており、円滑に進むよう選手に指示を出し、相手チームの指導者も含めて様々な気遣いをしながらやらなければならない。そんな中、急に選手から「ゲームを取られたのでアドバイスをください」と求められても、しようがないのというのが現実だろう。

なので私は必ず「何で点を取られたのか?」と聞くようにしている。相手のサービスが取れなくて点を取られたのならば、それがどういうサービスなのか、多いのはオーバーミスかネットミスか、まで聞く。

あるいは、相手に攻められて点を取られたと選手が言えば、それはツッツキのボールを打たれたのか、上回転のボールを打たれたのか、フォアかバックか、といったところを聞いていく。そうすることで、選手自身に自然と考える癖がつく。

よく指導者が選手に「考えて試合をしろ」と檄を飛ばすことがある。「考える」とはすなわち、情報を収集し、その情報を元に判断を下し、実行するということだ。まずは情報がなければどうしようもないのである。その情報を収集するのに最も分かりやすいのが、どんなプレーで点を取られているのかということになるのだ。

ちなみに負けたときだけでなく勝ったときも同様に、自分が何をして点を取っていたのか、を整理して理解しさせることも非常に重要になる。

むしろ勝ったときほどそれがおろそかになりがちである。「頑張ったらなんとなく勝てました」では、次回の対戦で対策を寝られてリベンジされるのがオチだ。勝ったときも、なぜ勝てたのか、自分が何をして点を多く取っていたのか、をしっかりと整理させるように心がけよう。

テレ東卓球塾## 卓球の練習試合の心得②収集した情報を共有する

練習試合の場では大きな紙に選手の名前が書かれた対戦表を印刷し、そこへ試合のスコアを記入させることが多いだろう。しかし、数字が書かれただけの対戦表など、全く意味がない。

必要なのは先程も述べた、「何で点を取ったか/取られたか」の情報である。それをしっかりと1試合ごとに自分の言葉で記録することで、常日頃から選手が考えたプレーをする癖付けになる。

さらに、それらの情報をチーム内で共有することがとても重要である。つまり、本番の試合で初めて対戦する選手であっても、チーム内の誰かが過去に対戦していれば、そのときの情報から相手の弱点を見つける。日頃の練習試合から情報を蓄積し、チーム内で共有しておけば、いざというときに必ずや大きな武器になってくれる。

そういった意味では、練習試合はとてもいい情報収集の場なのである。

だから、1試合毎にスコアだけでなく、何で点を取った/取られたのか、どんなサーブが多いか、競った場面では何をしてきたか、といったことを、簡単でもいいのでとにかく記録させるのだ。

やり方はもちろん紙でもいいし、タブレットなりPCなりを使ってもいい。チーム内のデータベースとして情報をためていくことが、今後のチーム全体の発展につながると私は考える。

卓球の練習試合の心得③上位層の特徴から全体の傾向を掴む

そうして収集した相手チームの生の情報は、チーム全体の特徴を掴むことにもつながる。例えば、一番強い選手が、巻き込みサーブが得意で試合に勝てているなら、2番手以降の選手も巻き込みを主体とした、似たようなプレースタイルになってくるということが言える。

これは私が指導に行っている中学校で実際にあった話だ。

相手チームの上位層はみな回転量のある順横サービスを得意としており、それぞれの得点源になっていた。と同時に強力なサーブであるが故に、レシーブがしっかり返ってくることに慣れておらず、3球目攻撃があまり上手くないことも共通して見られた。

そしてその傾向は見事にチーム全体に当てはまっていた。

私がその場でレシーブを細かく指示したのと、日頃の指導から回転に対応した角度を出して「とにかく入れる」ことが大事だと言い続けてきた甲斐もあって、試合の中でレシーブが修正できた選手達は、ほとんどが勝ち越すことができた。

こうしたチーム全体の特徴は、個々の選手をしっかりと観察しないと絶対に見えてこない。しっかりと指導者が情報をとりまとめて整理して、チームの共通認識としておく必要があるのだ。

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卓球は頭脳戦だ。ゆえに情報は武器になる。プロ選手達も、試合の前には必ず相手選手の過去の試合のビデオを何回も見て、相手の特徴や傾向を掴んでから試合に臨んでいる。

それが重要なのは中高の選手達も同じだ。

私も全日本マスターズに出場した際、1回戦の相手の情報は名前しかなかったが、その名前をFacebookで検索までした。掲載されている写真や職業、趣味といった情報から「おそらくドライブ主戦の素直な攻撃型だろう、粒高などの変速型ではないはずだ」などという予測を立てたくらいだ(実際その予測は見事に的中して勝利できた)。

中学高校の活動で同じ選手と対戦する、あるいは過去にチームメイトが対戦経験のある選手と対峙することは非常に多いだろう。

そんなときにより試合を優位に進めるためには、情報が武器になる。そして練習試合は、その情報収集のうってつけの場なのだ。指導者の方、特に技術的な指導ができない方であっても、選手から貴重な情報を集めて、整理しておくことが、チーム全体にとってとても良いことである。

ぜひ試して頂ければ幸いである。

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