• HOME
  • 記事
  • 卓球
  • 意外と重要 多球練習の球出し側のコツ|頭で勝つ!卓球戦術

意外と重要 多球練習の球出し側のコツ|頭で勝つ!卓球戦術

卓球技術・コツ 意外と重要 多球練習の球出し側のコツ|頭で勝つ!卓球戦術

2021.06.21 文:若槻軸足(卓球ライター)
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

今回は多球練習の球出し側のコツというテーマでお話していく。大人になるとなかなかやる機会の減る多球練習だが、その重要性は言うまでもないだろう。

卓球を始めたばかりの初級者の方にとってはなおさらである。なので中学高校の部活動では積極的に取り入れてもらいたいのだが、球出しをする側にも一定の技術を要することもまた事実である。

顧問の先生、あるいは仲間や先輩で上手に球出しができないといったケースも少なくない。そこで今回は、多球練習の球出し側のコツについて、いくつかポイントを絞って考えていこう。

>>卓球初心者がやり込むべき3つのオススメ多球練習|頭で勝つ!卓球戦術

このページの目次

  • [5 若槻軸足が書いた記事はこちらから]()

多球練習の目的は3つ

まず多球練習をする目的から考えていこう。

もちろん細かく考えれば色々とあるのだが、まずおおまかには考えると次の3つに大別されるだろう。

1. 単独の技術を覚える or 質の向上を図る
2. 実戦のパターンを想定した練習をする
3. 実戦より負荷を上げて反応や身体の動きなどを鍛える

といった感じだ。

ボールそしてこれらのどの目的であっても、大前提として「実戦で飛んでくる質のボールを出す」ということだ。実戦ではありえないテンポ、ありえない球威のボールを出しても全く練習にならないので、そこは注意しよう。

以上をふまえた上で、実際によくある多球練習のメニューを見ながら具体的なコツについて見ていこう。

多球練習の球出し側のコツ

下回転の一本打ち

誰しもが通ってきたであろうメニューである、下回転の一本打ちだ。ツッツキを想定した下回転のボールを同じコースにゆっくり送ってもらって、フォアドライブ、あるいはバックドライブなどを打つ練習だ。

出す側はバックサイドに構え、台に軽くバウンドさせて、それをすくうようにボールの底を擦って送球する。このときのコツとしては、まず回転量はあまり気にしないということだ。

写真:多球練で球出しをする宮木監督(東山高校)/撮影:ラリーズ編集部
写真:多球練で球出しをする宮木監督(東山高校)/撮影:ラリーズ編集部「強く下回転をかけないといけない」と思うと力みが出て、ボールにバラつきが出てしまう。より大切なのは回転量よりも、送るボールの高さ、深さ、コースをしっかりとコントロールできることである。なるべく狙った場所に狙った質のボールを送れるように心がけたい。

またこのとき慣れてない方は、上から叩きつけた直線的な弾道のボールを送ってしまうというのがありがちである。その原因は最初のバウンドが高すぎることだ。

なるべくネットと同じくらいの高さに左手を構えて、そこから手を離せば低いバウンドで済むので、必ず弧線を描いた山なりのボールになり、練習者が打ちやすい質のボールになってくれるはずだ。

上回転を速いテンポで連続して打つ練習

続いては上回転のロングボールで、パンパンパンと速いテンポで打つ練習だ。単純にフォアハンドを習得したい場合や、フットワーク練習をする際に使われる。

このとき球出し側は、バックサイドのしっかりエンドラインの位置でボールを送るようにしよう。そして、「ポーン、ポーン」という単なる棒球ではなく、しっかりと上回転をかけて送球するようにしたい。これらはもちろん実際のロングボールのラリーのときと状況を近づけるためだ。

このときも左手でボールを持ち、一旦台にワンバウンドさせて打つようにするのがいいだろう。練習者が打ったボールが、台にバウンドするのと同じタイミングで送球者が次のボールをバウンドさせるようにすると、練習者もリズムがとりやすい。

ただこれは右手でボールを打ちながら左手で次のボールを掴んで、といった動作になるので、10球20球と切れ間なく続けるためには練習が必要だろう。膝を使ってリズムを取りながら、テンポよく続けられるようにやってみよう。

上記を組み合わせたシステム練習

さらに応用として、上記を組み合わせたシステム練習の場合も考えてみよう。たとえば、フォア前の下回転サーブをストップ、バックへのツッツキをバックドライブ、ブロックされたボールを回り込んでドライブ、さらにブロックで甘く返ってきたボールをスマッシュ、といった感じだ。

こういったシステム練習で球出し側として注意することは、まず練習者がどういった展開を想定しているのか、きちんと共有することだ。

練習者の意図を汲み取れていなければ、生きた練習にはならない。それに実際は考えにくい展開の練習をしても意味がないので、そこもしっかりと考え、練習者とコミュニケーションをしっかりと取ることが大切である。

またその想定内容によっては、必ずしもすべて多球でやる必要はない。

たとえばフォア前の下回転の処理を、対戦相手のサーブだと想定するのなら、球出し側は実際に下回転サーブを出してもいいわけだ。そして練習者がストップしたボールを、これまた実際にツッツキをしてやる。その後から、左手に持ったボールをどんどんと送球していく、といったやり方をしてもいいのだ。

あるいは、球出し側が右利きなら基本的にはバックサイドからの送球になるが、フォアサイドからのボールへも対応したい場合は、もう一人の選手や指導者にフォアサイドから球を出してもらったり、あるいはフォアサイドでブロックしてもらったりしてもいいだろう。

こういった工夫をすることで、コート全面を使ったより実戦に近い練習にすることができる。ブロック要員の選手の練習にもなるし、柔軟な考え方で練習メニューを組み立てていこう。

関連記事