【#4】大化け選手を探せ 寺谷が発掘した「長谷川唯」というダイヤの原石(東京ヴェルディアカデミー寺谷真弓氏インタビュー)
寺谷の考える「上手い」と「巧い」の違い
20年以上にわたって、数多くの選手の紆余曲折を見つめてきた寺谷。永里のように中学1年から完成している選手もいれば、早熟で期待されたにも関わらず伸び悩んだ選手もいる。一方で長谷川のように高校生になって開花する選手もいる。
寺谷が考える「いい選手」の定義とは「“上手い”ではなく“巧い”選手」だ。一言で言えば「上手い」はテクニックのみが優れている選手で、「巧い」のはチームを勝たせるためにどうすればいいか、考えることができる選手のことだという。
「大人のサッカーに入っていくうえでは、テクニックが優れているだけはダメ。チームを勝たせるために、ゲームを読んで、状況を把握して、判断を下す。そういう“巧さ”が必要になる。そのために、何をどう使って表現していくか、技術を発揮していくかというところや、瞬時に考える力を身につけることが一番大切なんです。そこをはき違えて、小手先の上手さばかり追い求める人が多いな、と感じています」
現在、寺谷が最も「巧い」と考える選手を訪ねた。寺谷は少し考えた後に「阪口夢穂ですかね…」と答えた。
阪口は澤穂希とともにボランチとしてなでしこジャパンの躍進の原動力となった選手だ。中央でのゲームの組み立てだけでなく、元フォワードを活かした得点力も見どころの一つ。守備にも積極に取り組み、オールラウンダーと言える魅力を備え持つ。
「ゲーム状況を把握して、判断を下して、先を読む力は阪口がやっぱり図抜けてますね」と評する。
だが、阪口も澤穂希と同じく、なでしこジャパンからは退いている。それと時を同じくして、なでしこジャパンはビッグタイトルからは遠ざかっている。今後の日本の女子サッカーはどうなるのだろうか。なでしこジャパンのこれからを寺谷に聞いてみた。
(第5話【なでしこジャパンは弱くなったのか? 変わる女子サッカーの潮流】に続く)
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