今季大注目のヤングスター・松崎快。変幻自在のドリブルは浦和を救うか?

ラストチャンスを掴んで水戸入団

プレーの質は上がっているはずなのに、なかなか評価されない。4年生になって複数のクラブが興味を示してくれたが、実際に練習参加をしても正式なオファーは来ず。その中で水戸が文字通りラストチャンスをくれたのだった。

時期はもう12月。ほとんどの大卒選手が内定先を決めているなか、彼は2度目となる水戸の練習に参加をした。ちょうど水戸は長谷部茂利監督(現・アビスパ福岡監督)が退任し、秋葉忠宏監督が就任するタイミングだった。来季の戦力確保のために秋葉監督が見つめるなか、松崎は軽快なプレーを見せた。

なかでも流通経済大との練習試合で、彼は出色の活躍を見せる。右サイドハーフでプレーをすると、サイドからの鋭い突破でチャンスを演出。途中からトップ下、左サイドハーフとポジションを移しても、変わらずドリブルと連係でチャンスを多く作り出した。

「もう後がないという必死さはもちろん、どのポジションでも彼のところにボールが集まるし、ボールをスムーズに繋げるんです。ボールに関わり続けられるプレーにサッカーIQの高さを感じた」と、西村卓朗GMが語ったように、首脳陣に一発回答をしたことでプロサッカー選手への道は拓けた。

ついにJ1の舞台に立つ

プロ1年目でリーグ33試合に出場を果たすと、昨年はチーム最多の41試合に出場し、8ゴール6アシストと大車輪の活躍を見せた。その活躍が認められ、浦和が正式オファーを出し、水戸も彼のJ1挑戦を快く送り出した。

浦和には、昨年8月に水戸から『個人昇格』を果たした平野佑一がいる。抜群の展開力と正確なキックを誇る平野は、半シーズンで見事に貴重な戦力として頭角を現した。実は松崎が水戸に加入した年の春に、浦和との練習試合を行ない、5−5の乱打戦となった。この試合で平野と松崎のホットラインが形成され、平野のミドルパスと松崎のドリブルで浦和の守備陣を何度も揺さぶった。

半年の歳月を経て、浦和でこのホットラインが復活する。平野だけではなく、どの選手ともリンクすることができる松崎のことだ、シーズンを通してチームにとって必要不可欠なピースになることは間違いない。そこで持ち前のフィニッシュワークも発揮できた時、彼はさらなるステージを駆け上がっていくかもしれない。

■プロフィール
安藤隆人(あんどう・たかひと)

1978年2月9日生まれ。岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに転身。大学1年から全国各地に足を伸ばし、育成年代の取材活動をスタート。本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、柴崎岳、南野拓実などを中学、高校時代から密着取材してきた。国内だけでなく、海外サッカーにも精力的に取材をし、これまで40カ国を訪問している。2013年~2014年には『週刊少年ジャンプ』で1年間連載を持った。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)など。

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