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【新時代サッカー育成対談】幸野健一×カレン・ロバート|「元Jリーガー経営者はなぜグラウンドを作るのか?」|後編

掲載協力・WHITE BOARD SPORTS


■登壇者
幸野健一|プレミアリーグU-11実行委員長/FC市川GUNNERS代表/サッカーコンサルタント
・カレン・ロバート|房総ローヴァーズ木更津FC代表

■ファシリテーター
北健一郎|サッカーライター/ホワイトボードスポーツ編集長


サッカー人口を増やすためにグラウンドの数を増やす

──みなさんもグラウンドを作る際には、ぜひ参考にしてください。参加されている方のなかには、保護者の方も多いと思います。実際に子どもが、どういった環境でプレーしているかもすごく重要だと聞きます。

カレン グラウンドは広い方が良いですね。フットサルコートの大きさで、多いときには30人で練習することがあります。小学校低学年ならば仕方ない部分もあります。技術的な練習が多い中学生も、狭い場所でプレーしているので、そこは日本全体の課題だと思っています。

日本の選手は、海外の選手と比べるとキックの技術は高くない。それはボールを蹴る機会やシュートを打つ機会があまりにも少ないからです。足元は長けていますが、そこも海外の基準で見るとそこまで技術があるわけではない。キック力、ダイナミックさ、競り合い、テクニックなど、総合的に長けてないと、海外で通用する選手は生まれてこないと感じますね。

幸野 全く同じ意見で、日本ではサッカースクールと呼ばれていますが、そのほとんどがフットサルスクール。そもそもプレーしているグラウンドの多くがフットサル場です。そういうスクールの子が、私のスクールに来ると視野が極端に狭い。10mほどしか見えていないので、逆サイドにボールをけることができない。

普段から小さなスケールでやっていると足元の技術は美味いですが、大きなスケールになったときにプレーができない。長いボールを蹴ることができません。日本だと、フットサル場でサッカーをやっている子どもたちが多いと思います。私は、広いピッチでしっかりと“サッカー”というものを教えたいと思っています。できれば、サッカーは広い場所でやらせてあげたいですね。

──さっきボビさんが「広いグラウンドのほうがいいですよ」と言っていたのは、すごくざっくりしているなと思いましたが、これほど深い意味があったんですね。

幸野 ボビの補足したから(笑)。

カレン ありがとうございます(笑)。その話に通ずるのですが、最近はJリーグや日本代表でプレースキッカーが減っていると思います。昔はプレースキッカーといえば、中村俊輔さんなどがいました。でも今はそういう選手がいなくて、今のサッカー環境がそうさせているのかなと感じます。

実際の相互関係は分かりませんが、やっぱり正式なグラウンドサイズでシュート練習やフリーキックの練習をする機会を増やしてあげたいなと思っています。昔は、中学校の部活でやっていましたが、今はクラブでプレーする子どもたちが多い。街のクラブだと、フットサルコートでいろいろな学年の選手が入り混じって練習しています。中学生以上は、中学生以上でやらせる。そのためにグラウンドを広くしていきたいですね。

──東京に住んでいると、サッカーが思いっきりできるようなグラウンドや公園は多くありません。大きい公園でもボール遊び禁止がほとんど。サッカーをやりたいならスクールに通うしかないですが、ケンさんがおっしゃるように、小さなフットサルコートでプレーします。小さいコートのプレーはいい面がありつつも、ロングボールを蹴る機会はなく、それがキック力の低下に繋がる。これは難しい問題ですね。

幸野 実際にどれくらいグラウンドが足りていないか千葉県を例にすると、グラウンドがある市川市は人口が47万人。照明が付いているフルコートのピッチは私のところだけで、照明がないグランドがもう1つあるだけです。47万人に対してグラウンドは2つだけ。隣の船橋市も人口60万人に対して2個なので、合わせて100万人に4個しかない。これは本当に少ない。

しかし海外だと、市川市とほぼ同じ48万人のルクセンブルグは100個以上のグラウンドがあります。ヨーロッパでは、これが普通です。そこに追いつくのは無理だとしても、日本のサッカーが強くなるためには競技者人口比率っていう数字をあげなければいけない。

FIFAランキングベスト10の国は競技者人口比率が6%以上あります。日本は3.8%しかない。そして日本は、この50年間でベスト10入りをしたことがありません。でも日本が目指しているのはベスト10。そのためには、全てのカテゴリーのサッカー選手人口を倍にしないと足りない。

そこのボトルネックは何かといえば、ただでさえ足りないグラウンドです。競技人口を増やすためには、グラウンドの数も倍にしなければいけない。

例えば「今サッカーやりたいね。じゃあサッカースタジアムを借りよう」となっても、一般の方がすぐに借りられるスタジアムはありません。特に首都圏では、サッカーをしたくてもできない。だからこそグラウンドを作ることが、喫緊の課題です。新設のグラウンドができれば一番いいですが、既存のグラウンドの有効利用化でもいい。

私はグラウンドマニアなので、車で走っていると日曜日なのに昼間に使われていないグラウンドを見つけて、なかに入ってみます。色々と調べてみると、効率が悪いグラウンドが結構あります。

──死んでいるグラウンド?

幸野 そうです。東京都でも小学校に照明がついていない区があります。そこを改善し、昼間は子どもたちが使って、夜は大人が使う。グラウンドを有効活用することが大事で、あらゆる手段をくしして、利用できるグラウンドが増えると、サッカー人口の増加にも繋がるはずです。

──なるほど。ボビさんも同じような思いがあって、日本ではあまり浸透していない“”グラウンドを作ることに挑戦しようと思ったのですか?

カレン いや、僕はそこまで大きなスケールではありませんでした。全ては千葉県への恩返しから始まっています。育ててくれた千葉県のためにやっていきたい。まずは自分が手の届く範囲の、千葉県のサッカー環境をよくするために、グラウンドを作っています。

──最近も新しいプロジェクトを発表されましたよね?

カレン フットサルコート2面と、繋げて広く使うことが可能なフットサルコート3面を印旛郡栄町に作っています。僕は、都市部や人が多い地域にグラウンドを作るよりも、マンションや家を建てた方が経済的だと思っています。一方で、人が減っている地域にはチャンスがある。

人が減って、街自体も困っていますし、市としても何かしなければいけないと思っています。そこにこういうグラウンドを作ることで、人がくるようになります。街や市の活性化につながりますと説得できる。市外や県外から人がくるようになったという例を作ることができれば、サッカーを知らない行政の方や企業の方を説得しやすくなります。

そういった良い事例をこの千葉県で作って、千葉県から発信していけたらなと思って、リスクを背負ってやっています。

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