
中井卓大 (Photo by Koji Watanabe/Getty Images)
11月20日から開催されたカタール・ワールドカップは、アルゼンチンの36年ぶりの優勝で幕を閉じた。日本代表はグループステージでドイツ、スペインを破るジャイアントキリングを起こし2大会連続ベスト16へ進出。クロアチアにPKの末敗れ、ベスト8への道はまたもや阻まれた。そんな中、4年後にカナダ、メキシコ、アメリカの共同開催となる2026年大会に向けて、新たな日本のホープとなり得る選手は誰なのか。今回は2024年に迫ったパリ五輪世代から、2026年W杯へのメンバー入りが期待される選手を選んでみたい。(文・井本佳孝)
(Photo by alphaspirit)
藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)
東京ヴェルディユース出身の藤田は、徳島ヴォルティスを経て加入した横浜F・マリノスでJ1優勝を経験。7月にはE-1選手権の日本代表に選出され、A代表のキャリアを積むなど、飛躍的なシーズンを過ごした。身長は174cmと高くはないものの、中盤での激しい攻防を厭わないダイナモで、的確なパスやドリブルで攻守両面に貢献できる選手である。パリ五輪世代でも中盤のキーマンとして要になることが期待されている藤田は、五輪を経由してのW杯行きが期待できる選手であることは間違いない。
松木玖生(FC東京)
青森山田時代に高校三冠を成し遂げた松木は、鳴り物入りでFC東京に加入した2022年シーズン、開幕から先発に名を連ねるなどリーグ戦31試合出場で2ゴールを記録した。高校時代はフランスのリヨンに練習参加するなど将来的な海外移籍が期待される松木も、23歳を迎える2026年W杯でのメンバー入りが視野に入る選手のひとり。強心臓ぶりも魅力なレフティーが、遠藤航、守田英正、田中碧といったカタール大会を経験した面々に入り込んでいけるかは注目していきたい。
中井卓大(レアル・マドリード・カスティージャ)
中井卓大 (Photo by Koji Watanabe/Getty Images)
カタール大会ではバルセロナのカンテラ出身の久保建英がW杯のピッチを踏んだが、同じくスペイン経由での五輪出場やW杯入りが期待されるのが“ピピ”こと中井だ。「ピピ」という愛称は、幼いころ泣き虫だったことに由来する。 しかしながら年を経るごとに、肉体的にも精神的にもたくまくなり、2014年にはレアル・マドリードの下部組織で着実にキャリアを積み、今季からはリザーブチームであるカスティージャまで昇格した。狭き門のレアルAチーム入りという日本人未到の地へ向けて挑戦を続ける中井。世代別代表の親善試合で松木と中盤センターでコンビを組むなど、スペイン、日本代表でのさらなる飛躍が待たれる逸材である。
鈴木彩艶(浦和レッズ)
カタール大会でメンバー入りした3選手が全員30代を迎えていることから、この4年で確実にメンバー入れ替えが起こり得るのがGKのポジション。アメリカ生まれで190cmという日本人離れした体格をもつ鈴木は世代別代表にも名を連ね、将来の日本を背負うであろう守護神として期待がかかる。Jリーグでは2021年にニューヒーロー賞を受賞し、日本代表としても今年のE-1選手権で初招集されA代表としても一歩を踏み出した。東京五輪で同じくメンバー入りした谷晃生といった若手らが、W杯で守護神に君臨した権田修一にどれだけ迫れるかは鍵を握るだろう。
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細谷真大(柏レイソル)
森保一監督の日本代表で、最後までレギュラーが定まらなかったのがFWのポジション。長らく主軸を張った大迫勇也がW杯ではメンバー落ちし、前田大然や浅野拓磨といったスピードを生かして守備面でも貢献できる選手達が重宝された。そんな中、本格派ストライカーとして日本の若きエースとして注目されるのが柏レイソルの細谷。21歳のホープは2022年のヤングプレーヤー賞を受賞し、リーグ戦でも8ゴールと結果を残した。E-1選手権でA代表にも名を連ねている細谷はスピード、パワーを兼ね備えたオールラウンダーで、自身のお手本としてイングランド代表FWハリー・ケインを挙げている。細谷のこの4年間での飛躍は、日本のエース争いを考える中で鍵を握るだろう。
チェイス・アンリ(シュツットガルトII)
吉田麻也、冨安健洋、板倉滉といったDFが海外クラブでレギュラーを張り、W杯の舞台でも奮闘するなど、着実に日本の守備陣のレベルは高まりを見せる。そんな中、高校から海外挑戦を果たし、日本の新たな“怪物CB”として飛躍が期待されるのがチェイス・アンリ。遠藤、伊藤洋輝がプレーするシュツットガルトのセカンドチームでプレーする18歳は圧倒的なフィジカル能力が最大の武器で、元日本代表DF内田篤人も太鼓判を押す。早くから欧州のレベルで研鑚を積み、新たな日本の最終ラインを背負う存在として名乗りを挙げたい。
福田師王(神村学園→ボルシアMG)
チェイス・アンリに続いて高校からの欧州行きを果たしたのが神村学園の福田師王。今冬の高校サッカー選手権では得点王候補として注目を集めるストライカーは、板倉もプレーするブンデスリーガのボルシアMG入りを決めた。左右両足でのシュート力やゴール前での駆け引きに長けており、“高校最強FW”の名にふさわしいポテンシャルを備える。最後の選手権でその存在で証明し、ドイツの地でストライカーとして飛躍できるか。18歳がどれだけ成長できるかは、パリ五輪や2026年W杯を戦う日本にとっても大きい。
新たなスターが生まれるか
(Photo by Artsanova)
ベスト4に終わった東京五輪やベスト16で終わったカタールW杯の結果を受けて、パリ五輪や2026年W杯を戦う日本代表には、五輪でのメダル獲得やW杯でのベスト8進出が現実的な目標として視野に入ってきた。そんな中、堂安律、田中、板倉といった五輪を経てW杯の代表入りを果たした先輩に続く新たなスターが現れるか。日本代表が“新たな景色”を見るためにこの4年間で新たな若手の飛躍は待たれるところである。
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