最高の一瞬『得意技_柔道』

 

今回からは、私がこれまで撮ってきたなかで、「最近話題のアスリート」ということで写真を紹介していきたいと思います。

 

最初は、今年のパリ五輪代表が内定している柔道女子52kg級の阿部詩です。

 

私が撮影したのは2019年8月に東京の日本武道館で行われた、世界選手権でした。当時阿部詩は19歳で日本体育大学の1年生。

 

この写真はその決勝戦の撮影開始から30コマ目のカットで、阿部詩の得意技である袖釣込腰(そでつりこみごし)で「一本」を取った瞬間です。試合開始からわずか30秒の出来事でした。

 

自分が撮影した写真を見返してみると、開始直後に2人が組み合ったシーンから始まっていて、阿部詩はその時から相手の両袖を掴み、いつでも技をかけられる状態でした。

 

11カット目からは袖釣込腰に入るシーンを写していて、相手の前方に体を入れて左手で袖を持ち上げ、そのまま肩越しに相手をくるりと畳に叩き落しています。その瞬間、阿部詩の右足は相手の左足を引っ掛け、相手を制御不能にしているのが写真からわかりました。

 

東京五輪では、兄の阿部一二三とともに金メダルを獲得している阿部詩ですが、今年も金メダル獲得が期待されます。

 

 

▼高橋 学(たかはし・まなぶ)

1975年、福島県福島市生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科でスポーツフォトを専攻。1996年より(有)ジャパンスポーツで実績を重ねてフリーランスに。現在はサッカー、フットサル、陸上、フィギュアスケートなど様々なスポーツを取材している。

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