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FC東京の経営権取得で話題!ミクシィはスポーツ界に革命を起こせるか?

堀米雄斗が表現する若い世代の世界観

──堀米選手との出会いは、どういうきっかけで?

木村 エージェントさんからのご紹介です。「すごく有望なおもしろい子がいるよ」ということでお会いして、「すごいね」、「いいね」、「スケボーかっこいいな」と。東京オリンピックの活躍が象徴的ですけど、新しい若い世代にとっての“ソーシャルグッド”を体現してくれるアイコンだなと思いました。

──これまでのスポーツとは、方向性が違いますよね。

木村 若い子たちが「かっこいい」とか、失敗しても助け起こしたりとか、その感じに寄っていかないと、全然イケていないだろうな、と。

その世界観がこれからの時代に合っていると感じましたし、そういう人たちを応援したいなと。実際に関わってみると、やはり若い人への影響力はすごく強いと感じています。

──堀米選手に対しては、どんな印象をお持ちですか?

木村 それこそ、「本当に最近の子って真面目だな」と。純粋に競技を極め、うまくなりたいということだけにフォーカスしてやっているんですよ。しかもそれを、昔のスポ根的に眉をひそめながらやっているのではなくて、ひょうひょうとしていて、楽しくやっている感覚がすごいなと思いましたね。

もちろんそれは、天才的にヘラヘラと笑って、あっさりやってのけているという感じでもない。ひたむきだし、必死に、でも本当に楽しそうにやっているんですよね。

──他のことにとらわれず、純粋に競技に向き合っていますよね。

木村 そうですね。「いいトリックを決めたい」という想いを持っていますよね。もしかしたら彼が優勝しなかったとしても、他の人を讃えていたんじゃないでしょうか。純粋に、仲間もライバルも含めて、高いレベルをみんなで目指している感覚を受けますね。

──まさにXFLAGの目指すイメージを体現している選手のように感じます。堀米選手の金メダル獲得後はXFLAGへの注目も高まったと思いますが、変化を感じましたか?

木村 どこまであったかはわからないですけど、スポーツの印象がより強くなったかもしれないですね。今までだとFC東京や千葉ジェッツにロゴが入っていましたけど、それはゲームのパブリッシャーブランドとして、広告で入っているくらいの感覚が強かった。

でも、所属選手があのような成果を出してくれたことは、まるで違う意味を持ちました。他に主体があるなかの一つとしてスポンサーをしているのと、主体となって選手を輩出したのとでは、ブランドの持つイメージがだいぶ変わったように思えます。

木村社長はなぜスポーツにベットする?

──スポーツベッティングのお話も聞かせてください。XFLAGの流れからすると、どういう位置付けになってきますか?

木村 友達や仲間とワイワイ盛り上がれる場所や機会を提供するというのがmixiだったり、XFLAGだったりの役割です。それ対してスポーツベッティングは、スポーツの熱量に対して、自分の感情や熱量を“乗っける要素”が強いものだと思います。

今、アメリカでもブームが来ていますけど、日本のスポーツビジネスはいつもアメリカに先を越されて、本当に悔しい感情を持っています。totoのようなスポーツくじは先にやっていたわけですから、なぜ日本で先にできなかったのかと。

スポーツの楽しみ方にさらに彩りを加え、かつスポーツ財源としてフィードバックされていく。しかもmixiやXFLAG的にはワイドで盛り上がるということを、弊社のスポーツベッティング「TIPSTAR」で実現したいと強く思っています。

──いずれ、ベッティング事業の海外展開は考えていますか?

木村 もちろん、あり得ると思います。海外のベッティングサービスを研究していくなかで、僕らがやりたいソーシャルアプリケーションを担うサービスがまだないんですよ。

友達と勝った、負けたで一喜一憂するサービスがいまだにないので、そこにチャレンジしていきたい。コミュニケーションというものは、万国共通のニーズがありますから。

──スポーツベッティングの今後の具体的な展開、仕組みをどのように考えていますか?

木村 2つあります。一つは、「インプレイ」ですね。賭けの試行回数を上げないと売り上げは上がらないということです。たとえばtotoであれば、基本的に週1回しか賭ける機会はないですが、海外のベッティングは試合中に何回も賭ける回数があります。

やはり、試行回数を増やす「インプレイベッティング」は、日本のスポーツ関連のマネタイゼーションを考える人たちが共通してやらなければいけないと思います。

もう一つは、ソーシャルベッティングです。

私たちは1人で黙々と賭けに没頭する世界観をよしとしていません。それでは1人でパチンコ屋さんにいるのと変わらないので、本質的に進歩がないからです。やはり友達と一緒に賭ける体験ができるようになると、大きく変わるのではないかなと思っています。

──日本では、「スポーツビジネス」という言葉はあるのに、あからさまに「稼ぐ」という表現を加えると、途端に反発を受けやすくなる嫌いを感じます。日本において「スポーツで稼ぐ」という発想は、そもそも成り立つのでしょうか。今、世界的にも「未来はベッティングにある」と言われていますが、ほかにもアイデアがあるのでしょうか?

木村 その一つとして、「Fansta」みたいな、飲み屋に集まってスポーツ観戦をする場所、機会を提供したいと考えています。

特に注目したいのは、プロスポーツのアウェイ戦です。

アウェイ戦はものすごく熱量の高い人は観に行くかもしれないですけど、それ以外は自宅などで観ると思います。そういう人たちが集まって試合を観ることのできる機会を作れたら、アウェイ戦のマーケットがもう一つできるのかなと思います。

それに、スポーツチームの振興、集客、ファン獲得という観点で考えても、ユーザーとのタッチポイントとその時間を増やしていくことが重要だと思っています。

たとえばアウェイで7連戦の間は、ホームタウンがずっと静かになってしまいますよね。であれば、その期間中もホームタウンをお祭りにしてしまえば、スポーツの捉え方も変わってくるんじゃないかなと。

──その空間でスポーツベッティングも行なわれるのでしょうか?

木村 将来的にはそうですね。日本のライブビューイングのカルチャーを一緒に作っていきたいし、実際にそういうジャンルにも出資をしていたりするので。

──スポーツは、あれこれ考える必要がないくらい、本質的に素晴らしいものだと思います。だからこそ、企業としてそこに投資し、トライしていく価値があるのですね。

木村 間違いないですね。ただ日本人の場合、もしかしたらそこまでスポーツが好きな人は多くないかもしれないのですが……(苦笑)。

──オリンピックなどでも、盛り上がり方が瞬間的だったりしますからね。文化として根付いているものがあるかというと、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

木村 そうですね。だからこそ、スポーツビジネスの難しさを本当に痛感しています。それこそコミュニティじゃないですけど、ある特定の、スポーツが好きな人たちの熱がグッと高まって、そこに集まって、ビジネスをしているような感覚はけっこうありますね。

僕が普段からかかわっているような人たちを含め、もっといろいろなビジネスパーソンがスポーツの世界に来てくれたらいいのにと思います。ただ、古参が集まっているコミュニティってなかなか入りにくいんですよね(笑)。

──だからこそ木村社長は、閉じられた「コミュニティ」ではなく、外に開かれた「ソーシャルネットワーク」に未来と可能性を感じてきたのですね。それで東京の真ん中から、「打倒・アメリカ」のような勢いでチャレンジを続けているように見えます。

木村 実は、「一番になりたい」という感覚はあまりありません。なにより「楽しい」を選んでいきたいので。でも、僕の周りにいるビジネスパーソンたちが「アメリカはこんなすごいぞ」と、自慢げに教えてくれるんです。それを見て僕は、「ああ、すごいな。悔しいな。でも、楽しそうだな」と思って、やっぱり楽しい道を探っていくんです。

■プロフィール
木村弘毅(きむら・こうき)

電気設備会社、携帯コンテンツ会社等を経て、2008年株式会社ミクシィに入社。ゲーム事業部にて「サンシャイン牧場」など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。 2014年11月、執行役員就任。2020年4月より、代表取締役社長。

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