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日本サッカー界に帰ってきたフジタ。JFAと進める、芝生のある街づくり【JFAパートナー企画 #4】

左が営業担当の大森洋次郎氏、右がJFA マーケティング部部員 青地俊彦氏

2019年11月、建設会社の株式会社フジタは『JYDグリーンプロジェクトパートナー』として、JFAと共にグラウンド整備を通じた街づくりに取り組んでいます。

J1リーグ所属・湘南ベルマーレの母体となるチームを創設するなど、Jリーグ開幕以前から日本サッカーと深い関わりのあるフジタ。今回は、同社営業担当の大森洋次郎さんに、JFAとパートナー締結を結ぶまでの経緯や、日本サッカー界におけるグラウンド施設の重要性について伺いました。

〈JFA Youth &Development Programme 連載記事はこちら〉
#0 日本サッカー協会が目指す、パートナーシップのあり方。サッカーだからこそできる課題解決

#1 「当たり前にある安心」を求めて。モルテンは黒子として日本サッカーを支え続ける

#2 すべてのサッカー選手のケガを防ぐために。ニチバンがJFAと組む理由

#3 「25億人の生活を向上させる」JFAとPHILIPS、合致した目的地。

#5 日本総研が目指す、「サッカーから始まるまちづくり」とは?

#6 「24時間365日、ポケモンのことを考えている会社」は、なぜJFAと契約したのか。

積み上げてきた歴史に、ヒントがある

『JYDグリーンプロジェクトパートナー』締結のきっかけは2019年です。

実は、フジタOBの上田栄治さんが、スポーツ施設の運営などを行なっている株式会社Jヴィレッジの副社長を務めているんです。その繋がりから、フジタの社員で一度、Jヴィレッジの天然芝ピッチを視察したいと相談しました。

すると、上田副社長から池田省治さんを紹介していただいたんです。まずは池田さんのところへ行ってみては、と。池田さんは、国立競技場や味の素スタジアムなどの芝生を管理しているグリーンキーパーの第一人者。実際に私たちは味の素スタジアムまで足を運んで、池田さんから芝生についての熱いお話を何時間にも渡ってお聞きして、そこでJYDの存在も教えていただきました。

近年、国をあげて芝生をテーマにした街づくりが話し合われています。そして、フジタは「“高”環境づくり」をスローガンに掲げ、創業以来100年以上にわたり、建設事業を通じて社会に貢献するとともに、新たな価値を創造するため今日も様々なチャレンジを続けています。その中でも街づくりを得意としています。その強みを生かして、フジタが芝生を活かした環境づくりの一助になれるのではないか、と以前から考えていました。

フジタの歴史において、サッカーは欠かせません。1968年に湘南ベルマーレの前身となるサッカーチームを創設し、日本サッカー発展への支援を続けてきました。社内にもサッカーに対して熱い想いを持った人が多く、JYD締結を後押ししてくれました。時代の流れと、フジタの歴史が繋がり『JYDグリーンプロジェクトパートナー』締結に至りました。


フジタは1970年代に数々の国内タイトルを獲得した

フジタはJリーグが開幕した1993年頃、ベルマーレの支援だけでなく、スタジアムの建設にも数多く関わっていました。しかし、1999年にベルマーレの支援を停止してからは、スポーツとの関わりが少し薄れていた部分があったように思います。2002年の日韓ワールドカップにも関わることはありませんでした。

そんな中、2013年に大和ハウスグループ入りをしたことがひとつの転機になりました。事業の再構築をするにあたり、フジタの歴史の棚卸しをしたんです。そこで、フジタの歴史に、サッカーは欠かせないな、と再認識されました。

歴史は、財産だと思うんです。これまで積み上げてきたものの中に、今後のヒントがある。しかし、時代に合わせて新しいものを追い求める中で、どうしても忘れがちになってしまう部分でもあります。

フジタは、日本サッカー界でも先駆者として活動してきました。フジタの歩んできた歴史と、これから進むべき道のりを再度見直しました。


レモンガススタジアム平塚はフジタ竣工


2017年より湘南ベルマーレのユニフォームスポンサーに復帰した

注目を集める『芝生』の可能性

芝生の可能性には、私たちも注目しています。芝生の上では転んでもけがをしにくく、子どもたちや、お年寄りも心配なく体を動かせます。

それに芝生の広場があれば、地域住民の交流の場になります。災害時には仮設テントを建てたり、救助ヘリを着陸させたり、スポーツだけではなく、街づくりや防災など、活用の幅は広がっていくと考えています。

グラウンドの芝生化は、サッカーレベルの向上にも繋がります。芝生のグラウンドが少ない地域では、スライディングが苦手、ゴールキーパーが育たないと言われることがあります。なぜなら、転ぶと痛いから。幼少期にその感覚がすり込まれて、スライディングを躊躇したり、タイミングが遅れたり。ゴールキーパーも横に飛ぶことの恐怖心が無意識に残ってしまうんですよね。

一方で、環境が整っているヨーロッパでは、ゴールキーパーは花形のポジション。グラウンド環境の差は、こういった部分にも表れます。

スポーツ施設の建設事業を取り巻く環境も、時代と共に変化しています。Jリーグ開幕当時は、リーグが示すスタジアム要件を満たせるかどうかがテーマでした。しかし、今では街づくりの一環としてスポーツが捉えられています。VIPラウンジやバラエティシート、商業施設などとの複合化など、365日にぎわいを生み出せる施設が求められています。

日本政府がスポーツ庁を立ち上げたように、国や自治体の政策にスポーツが盛り込まれたのは、JFAやJリーグが積み上げてきた活動の成果ではないかと思います。

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