柳田舞(クリケット日本代表)が、競技を通じて得られたこと。

今回はクリケット女子日本代表で早稲田大学4年の柳田舞選手にお話を伺いました。クリケットはイギリス発祥のスポーツで、バットとボールを用いて1チーム11人で対戦する競技です。野球の原型とされており、世界の競技別スポーツ人口においてはサッカーに次いで2位と言われています。

ソフトボールからクリケットに転身

——まずはクリケットを始めたきっかけを教えてください。

中高はずっとソフトボールをやっていました。ただ大学では新しい別のスポーツをやりたいと考えていたので、いろいろと探していたんです。そこでクリケットに出会いました。野球の原型ということでソフトボールとも似ていると思いましたし、今まででは考えられなかったような「日本一」に自分もなれるかもしれないというところに惹かれました。

——他にも競技を調べたりしたのですか。

いくつかピックアップはしていました。アルティメット、スカッシュ、ラクロス、女子野球などです。その中でサークルの雰囲気もよかったので、大学のクリケットサークルを選んだのが競技を始めるきっかけです。

——ソフトボールからクリケットに活かせた部分はどういったところがありますか。

肩が強かったので投げる部分や、打ち方も野球のように打つ方法もあるので、そういった部分は活かせました。反対にボウラーをやる場合には投げ方が違うので大変でした。肘を入れて投げてはいけないので、野球経験者はどうしても癖があるので苦労している人が多いです。私は慣れたので、むしろ今は投げる方をメインにやっています。

※ボウラー:野球でいうところのピッチャー

——クリケットの魅力を教えてください。

大学のサークルのキャプテンをしていたのですが、ボウラーが変わる度に守備位置を動かすなど、いろいろと戦略的に考えてプレーしなくてはいけないところがあります。頭を非常に使うので難しくもあるのですが、面白いです。野球よりもアウトを取るプロセスを突き詰めるところがあると思います。

——戦略を動かすタイミングはいつなのでしょうか。

ボウラーは6球で交代しないといけないのですが、その度に考えて動かします。例えばボウラーが速い球を投げる人であれば縦に守備を集めます。それはあまり野球のように大きくスイングされないからです。一方変化球などの遅い球を投げるボウラーの場合は打ったフライをキャッチしてアウトを取るために横に広がる傾向にあります。

——キャプテンとして意識されていたことはありますか。

競技を真剣にはやることはもちろんですが、基本的には楽しくやってこそだと思っているので、試合の時はあまりピリピリしないようにしていました。楽しんだ方がベストなプレーができると思うので、しっかりと声を出したりして、メリハリを付けつつ、ポジティブにやるようにしています。

競技をする上での喜びと苦労

——クリケットをしている上で苦労したことを教えてください。

練習場所に苦労します。公園は禁止されているところがほとんどですし、河川敷も他の競技が使っていることが多いです。やる時は周りに人もいるので狭いところで工夫してやっています。

——なかなか広いグラウンドを確保することは難しいですよね。

柳田舞

——反対に嬉しかったことを教えてください。

大学の試合で優勝できたこともそうですし、日本代表として国際試合に出られるようになったことも嬉しかったです。人生が変わるくらいいろいろな経験ができるようになりました。

——クリケットを始めるにあたっての周囲のリアクションはいかがでしたか。

親は特に賛成も反対もしなかったですし、あまり関心がなかったようです。でも最近になってようやくルールなどに興味を持ち始めてくれています。アジア大会にも出ていたので、もう少し早くてもよかったのではないかなとは正直思います(笑)ただお金の部分で補助してもらっているところもあるので、感謝しています。遠征費等でどうしてもお金がかかってしまうので。

——道具はそれぞれ個人で用意しているのでしょうか。

真剣にやるとなるとバットや防具を自分で用意しますが、日本では買えないのでネットで買うことになります。重いので送料もかなりかかります。代表選手はやはり見て買いたいので遠征で行った時に買います。

ただバットは見るだけでなく、実際にボールを弾かせてみないと善し悪しは分かりません。オーダーメイドのものもありますが、それなりに値段が高いです。道具の値段はピンキリですが、一般的に大学生が使っているようなものは2万円しないくらいだと思いますね。

柳田舞

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