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尾崎惇史は、どうやってインラインアルペン代表に上り詰めたのか?

仕事と競技の両立に苦労しながらも、練習拠点をイタリアに移す。

――競技の魅力を教えてください。

スピーディーで興奮しますし、道路という日常空間でやるというのは面白いと思います。普段通っている道を時速40kmを越えるスピードで人が駆け抜けていくわけですからね。スピードスケートと違って筋力もあまり必要としないですし、坂道でやらなければいけないわけでもないので、競技でなくても平坦な道にコーンを置いて滑るだけでも楽しいと思いますね。

インラインアルペンはターンだけでなくスケーティングの要素もあるので、スキーとスケートの両方の面白さがありますし、河川敷に行けば誰でもできるハードルの低いスポーツです。

――インラインアルペンの強豪国はどこなのでしょうか。

最も盛んな国はドイツですが、チェコ、ラトビアなども強豪国といえます。近年はスペインやポーランドなども盛んになってきております。実はスキーで有名な国が必ずしも強いわけではないんです。

――その中で尾崎さんは今、イタリアのチームに所属しています。

2013年に選手として復帰する時に、せっかくだからもっと面白いことにチャレンジしたいと思いました。そこで海外に目を向け、当時破竹の勢いで順位を上げていたイタリアで練習したいと思い、現地の人に話して練習参加をさせてもらって、チームの一員にもなれたんです。

尾崎惇史

――活動資金に困るスポーツ選手も多いですが、尾崎さんはどのようにして仕事と競技を並行させてきたのでしょうか。

僕は当初、IT企業のエンジニア・研究者として週5で働いていました。当時の会社の先輩からは“低いレベルで考えて、高いレベルでプログラミングを書け”と教わりました。この考え方は競技でも何にでも当てはめることができると思います。レース前の段階ではより低い、細かいレベルのことまで考えたとしても、本番ではそれをまとめて高いレベルの考えを持って臨むということですね。

その中で、水曜だけ早めに帰って練習をする以外は土日にトレーニングに打ち込む生活を送っていました。

ですが、もっとスポーツと仕事を両立したいと思い、早稲田大学大学院のスポーツ科学研究科に行くことにしたんです。大学院に入ってからはある程度余裕ができたので、練習に重点を置くことができましたね。

――それでも収入は得ていかなければなりませんよね。

以前は研究助手や、ランニングや自転車競技の分析の仕事などを通して収入を得ていました。現在は研修講師の仕事や、短期のシステム開発の仕事などで収入を得ています。

――道具はご自身で購入しているのでしょうか?

はい。所属しているイタリアのチーム経由などで購入しています。スポンサードして頂いているわけではないので。ストックはスキー用のものを使うので、普通に買います。

インラインアルペン日本代表

インラインアルペン日本代表(左から2番目が尾崎選手)

時速40kmで転倒!その時起きた、衝撃の出来事。

――かなりスピードが出る競技ですが、思わぬハプニングが起こることもあったのでは?

40kmもスピードが出ているので、クラッシュすると大変です。私自身もたくさんえらい目に遭ったことがあります(笑)例えば脇腹の肉が取れて、血だらけになったことがあります。転んだ時にゲートの台座に当たって削れたんです。その時は止血剤を使って練習を再開したんですが、その日のうちにまた反対の脇腹を打ってしまって、両方の脇腹の肉が取れてしまいました(笑)。

僕のように競技となると車と同じくらいのスピードが出るので危険も伴いますが、一般の人でしっかりと全身プロテクターを付けていればそんなことはまず起きませんので安心してください!

――コース取りも当然会場となる道路によって変わってくると思うのですが、どのように決めているのでしょうか。

以前は海外のトップ選手を参考にして決めていました。ですが、私と似たタイプの技術や体格を持つ選手は少ないので、最近は周りを気にせず自分の滑りに集中しています。

――試合の時は自分の順番が来るまでにすごく緊張しそうですね。

緊張しないタイプだったんですが、スキーを初めて数年後にひざの怪我をしてからは緊張するようになってしまいました。それまでは試合前に、「もしかしたら表彰台に立っちゃうんじゃないか」というようなポジティブなことしか頭に浮かんでこなかったんですが、怪我をしてからは「失敗したらどうしよう」と考えるようになりましたね。

――緊張に対処する方法はありますか。

緊張感と向き合うのも必要ですが、結局のところ最後は自分の技術が大切だと思っています。「心・技・体」の中でも「技」が一番重要で、「心」も「体」も技術を出すための要素でしかないと考えているんですよ。たとえ心がボロボロな状態でも、筋力がない体でも、テクニックでカバーできるはずだ、と。だからとにかく技術力を高めていくしかないですね。

――今後の目標を教えてください。

ワールドローラーゲームズで結果を出すことを第一目標としています。私は超一流アスリートとは違って子供の頃から培ってきたものはないわけですが、その壁を破りたいですね。別のスポーツをやっていてもトップレベルになれるような、本格的なアスリートがインラインアルペンには世界で15人くらいいるので、その中に入れたらもう満足だと思っています。

昨年、一昨年とイタリアで練習を積んできて、インラインアルペンの基礎的な部分を学んで、完走率を上げることができました。タイムも徐々に上がってきてはいます。でもそれだけで届く世界ではないので、もっといろいろなことにチャレンジしていきたいと思います。

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

まだまだ知られていない競技ではありますが、日常的な空間で行われていて、見てもやっても楽しいスポーツだと思います。2018年には世界選手権が日本で行われるので、ぜひ会場に足を運んでみてください!もしかしたら今から始めれば出場にも間に合うかもしれません。なので選手の方にも興味を持って頂ければと思います。

<了>

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