最高の一瞬『大坂なおみ(テニス)』

2018年8月、テニスの4大大会(※)の一つである全米オープンで、日本人初のグランドスラム優勝を飾った大坂なおみ。さらに、2019年1月の全豪オープンも制し、グランドスラム連覇。同年1月28日付けの世界ランキングでは、男女を通じてアジア人初の1位となりました。

この写真は2019年全豪オープンで、決勝前の練習を終えてロッカールームに引き上げるところです。対戦相手は第8シードのペトラ・クビトバ(チェコ)。勝ったほうが世界ランキング1位となる大事な一戦なのですが、とても決戦前の一コマとは思えません。

顔をくしゃくしゃにしてスマホのボタンを押すファンの女の子と、自撮りに付き合う大坂。そのときのファンの女の子の気持ちを共有して、皆さんにも喜んでもらえたらうれしいですね。

後からわかったことですが大坂自身、このときにコーチとギクシャクしていたそうです。そんな精神面で極限状態だったのに、こうしてファンとの触れ合いでリセットし、決勝では第8シードのペトラ・クビトバを2−1で下して全豪オープン初優勝。まさしくファンから力をもらったような感じです。

最近、スポーツファンの皆さんは、同じような光景をご覧になりませんでしたか? そう、8月に全英AIG女子オープンを制したゴルフの渋野日向子選手です。渋野選手も最終日、スタート前にもかかわらずファンに写真やサインをサービスしていました。大坂21歳、渋野選手20歳。最近の若い選手は、昔と違ったプレッシャーの跳ねのけ方を身につけているのかもしれません。そして、ファンはますますその選手に引きつけられ、そのスポーツ自体も発展を遂げていくのではないでしょうか。

※全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープン。総称して「グランドスラム」と呼ぶ

▼真野博正(まの・ひろまさ)

1959年、島根県で生まれて山口県で育った。大学卒業後、大手出版社のカメラ専門誌を経てスポーツフォトグラファーに転身。テニスやサッカーなど各スポーツ界で活躍。特に、テニスの分野では第一人者であり、4大大会の撮影実績は28年にわたる。

関連記事