音楽のチカラが示す、トップリーグ活性化のためのヒント[PR]

トップリーグの開幕を1か月後に控えた2019年12月18日(水)、対話を通じてラグビーの未来像を検討するトークセッション「ノーサイド・ダイアログ」が丸の内で開催された。

「ノーサイド・ダイアログ」はもともとW杯を盛り上げることを目的に三菱地所株式会社が展開していた「丸の内15丁目プロジェクト」の一環のイベントだったが、トップリーグにもW杯の盛り上がりを繋げようと閉幕後も引き続き実施されている。主催は株式会社Future Sessions。

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この日のテーマは「音楽×ラグビー」。一般応募でテーマオーナーに名乗りを挙げた2名と、ラグビー番組のテーマソングを歌う歌手・田中美里さんが語ったあと、30名の参加者が対話を通じてラグビーの可能性を探っていった。

音楽は“引き上げ役”

参加者は、大学生からメーカーやIT企業に勤めるサラリーマン、W杯イヤーに定年退職しセカンドライフを楽しんでいる方まで総勢30名。定員いっぱいに集まった面々には、オールドファンと“にわかファン”の双方が揃った。

この日の目的は、“音楽とラグビーを掛け合わせて何ができるか”の可能性を探っていくこと。最初に、2名のテーマオーナーがプレゼンを行った。

1人目のテーマオーナーは斎藤達章さん。W杯が始まる1か月前にクラブチームでラグビーを始めた、クラシック好きの現役大学生だ。斎藤さんが紹介したのは、ラグビーにまつわる音楽の数々。W杯のテーマソング「ワールドインユニオン」や日本代表のチームソング「ビクトリーロード」、大学ラグビーの部歌、ラグビードラマに使用されていた「馬と鹿」など、W杯だけでなく世界のラグビーシーンを彩ってきた曲について語った。

2人目のテーマオーナーは小澤優さん。母校が強豪校ということもあり中高生時代からラグビーファンという社会人だ。4年前の二の舞を演じさせたくないとの強い想いから、にわかファンをコアファンに引き上げる方法を考え、“音楽”という結論にいたったという。「音楽は歌うだけなら道具もいらず、誰でもすぐにできる」と話しながらイメージとして紹介したのが、アイルランドサポーターが日本代表を応援する気持ちを込めて歌ってくれた「Stand up for the Japanese」の動画である。

誰もがすぐに口ずさめる曲を全国に普及するモデルケースとして、ゲストの田中美里さんと元日本代表の廣瀬俊朗氏、村田匠氏の取り組み「スクラムユニゾン」を挙げ、「ラグビーのイメージとして、ノーサイドの精神は根付いたはず。次はラグビー文化を根付かせる番だ。そのために音楽をテコにしたい」と締めくくった。

観客も“参加”できるトップリーグに

続いてスペシャルゲストである歌手の田中美里さんが、自身とラグビーとの関係性や、W杯を終えた今見えるものについて語るトークライブへ。

田中さんの父親は慶應義塾大学ラグビー部時代に大学選手権優勝を経験し、卒業後は東京ガスでプレーをしていたラガーマン。そして母親は大の音楽好きであったため、幼い頃からずっとラグビーと音楽が身近な存在だったという。

中学生のときにオーディションに合格し歌手としてデビューしたあと、仕事を通じてバンド(音楽)とラグビーの共通点に気がついたと語る。「バンドは仲間のために音を鳴らし、全員でひとつの興奮をつくっている。一方ラグビーも仲間のためにプレーして、全員でグルーヴを生み出している。音楽とラグビーは繋がっているんだ、と思ったんです」。

ラグビーの仕事を徐々にするようになり、ラグビー番組のテーマソング「Go Forward」を担当するまでに。しかし、W杯に当たって自分にできることが何かは当初わかっていなかった。「そんなときに廣瀬さんから、各国のラグビーアンセムを歌う『スクラムユニゾン』をやらないかと声をかけてもらったんです」。これだ!と思うと同時に、自分で気がつけなかったことに悔しさを感じたそうだ。

YouTubeで歌唱動画を公開したり、イベントで歌唱指導をしたり、会場でゲリラスクラムユニゾンを実施したりとスクラムユニゾンの活動は多岐に渡った。W杯を観戦し選手が試合前にアンセムを聴いて歌って涙する姿に、アンセムがいかに特別なものなのかを改めて感じとったそうだ。

また、W杯はお酒を飲んだりメイクをしたり歌って応援したりと、熱をもったファンが“参加”したからこそ盛り上がったと分析し、「トップリーグにもW杯のようなお祭り感を出したら、新規のファン獲得に繋がると思う。ワークショップで皆さんのアイデアを伺いたいです」と話して結びとした。

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