THINK SPORTS『ライバルとの物語』

隣の中学校にライバルがいた。1年に数回大会があったから、そのたびに何度も会場で顔を合わせ、何度も対戦した。

強い相手だった。体をぶつけあったときにわかる体幹の強さ。ものすごいプレッシャーを感じたが、負けるわけにはいかない。

意地の張り合いは、たびたびヒートアップ。熱くなりすぎて試合中に口ゲンカすることもあった。会心のプレーでやっつけたこともあったし、夜、悔しすぎて眠れないほどの敗戦もあった。

いつのころだろうか、試合前から相手を意識するようになっていたのは。次の対戦では相手を上回れるよう、意地だけで練習をしてきた。試合前日は緊張で眠れないほどだった。

「おや、あの後ろ姿は?」

まさかとは思いつつも速足で追い抜き、横目で確認した。やはりアイツだった。10年たっても変わっていないとは……。いや、10年たっても特徴を覚えている自分にビックリした。

「久しぶり!」

「おー、元気だった?」

当時はゼロに近かった会話が繰り出される。

「まだ、やっているの?」

「それが、やっているんだよ!」

連絡先を交換し、今度一緒にプレーする。なんかやる前から元気になってきた。明日は軽く走っておこう。

どんなレベルの世界でも、スポーツにはライバルがいる。そのライバルが自分の人生を豊かにしてくれるのだから、やはりスポーツは面白い。

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