最高の一瞬『メダリスト勢ぞろい(レスリング)』
2016年のリオデジャネイロ五輪の表彰式が終わった翌日に、解団式で女子レスリングの選手たちが集まるタイミングがあり、お願いして撮らせてもらったものです(写真前列左から伊調馨、渡利璃穏、土性沙羅、川井梨紗子、登坂絵莉、吉田沙保里)。
前回のロンドン五輪までは女子は4階級だったのですが、このリオデジャネイロ五輪では6階級に増えました。そして出場した6人のうち、金メダル4つ、銀メダル1つという素晴らしい結果でした。
そこで出場した全員で撮れないかなと思ったのです。こういう機会は滅多にないので、撮れてよかったです。
吉田選手、伊調選手にお願いして快諾してもらいました。吉田選手は決勝で負けたショックもあっただろうに、いつもの明るい対応でした。サービス精神旺盛で、本当に感謝です。
伊調選手が笑顔を見せてくれています。世界選手権で優勝し、オリンピック出場を決めても笑顔のない彼女が微笑むのはオリンピックで優勝したときくらいです。
このとき吉田選手は足を引きずっていて、「筋肉痛がひどくて」と言っていました。あんなにトレーニングをしている人が、筋肉痛になる。世界選手権のときなどはそういうのを聞いたことがありません。やはりオリンピックは特別。そのくらいの緊張感、重圧があるものなんだと、ゾっとしたのを覚えています。
レスリングを撮っていてよかったなと思うのは、金メダルの瞬間に何度も立ち会わせてもらえたことです。世界の舞台で、ましてやオリンピックで日の丸が上がり、君が代を聞いく時は、いつでも心が震えます。そんな経験を何度もさせてもらえるのは、レスリングを取材してきたからこそ。財産だと思っています。
▼佐野美樹(さの・みき)
1977年、東京都生まれ。写真家いしだまことに師事後、スポーツフォトグラファー梁川剛のアシスタントを経てフリーに。サッカーやレスリングを中心としたスポーツだけでなく、人物ポートレートや料理など、広告やエディトリアルにて幅広い分野で活動している。仕事柄、国内外問わず出かけることが多いため、密かに旅の写真を撮りためている。
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