THINK SPORTS『スポーツと見る能力』

スポーツ選手にとって、ものを見る力の大切さが、度々話題になることがある。

野球では、ピッチャーの速球、変化球に対応して打てるようになるために、「動体視力」を鍛えるという。動いている電車の中から、外の看板の文字を読むトレーニングはよく聞いたことがあるだろう。イチローが、車の中からすれ違う車のナンバーを見る練習をしていたという話も有名だ。

目まぐるしくボールが行き交う卓球なども、動体視力が大切になる。あのスピードのなかで、相手がかけてくる回転を見極めてそれに対応した返球をする。他のスポーツと比べても、卓球選手の動体視力はかなり優れているという研究結果もあるそうだ。

「間接視野」という言葉もある。サッカーでよく使われるが、焦点が合ってはっきり見えているのとは別の、周辺のぼんやり見えているところの状況も見極めてプレーを判断するのが大切というのだ。

つまり蹴るボールを見ながらも、間接視野を使って周囲の状況を把握して、パスを正確につなげたり、GKの届かないところにシュートを打ったりするとうまくプレーできるのだという。

「視線のコントロール」という話もある。プレー中に周囲の状況を把握するために、首を振りながら周りを見ることが大事だったり、あるいはターゲットを見るにしても、集中しすぎると体に力が入りすぎるので、ぼんやり眺めるように見たりすると効果が違ってくるそう。

このようにスポーツと見る能力は密接な関係にある。一般のスポーツ愛好家にしたら、普段あまり意識しない点かもしれない。だが、見る力を鍛えたら、パフォーマンスがあがるに違いない。

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