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坂本弘美(スポーツ庁)HIROMI SAKAMOTO Vol.2「地域の取り組みにもフォーカスしたい」

スポーツ庁とSPORTS TECH TOKYOが共同開催する「INNOVATION
LEAGUE」(イノベーションリーグ)」は、スポーツを活用した日本の産業拡張を推進する取り組みとして始められた。
この「イノベーションリーグ」を先導するのがスポーツ庁の坂本弘美氏だ。システムエンジニア出身で、製造業のIoTやキャッシュレスの推進政策に携わった後、スポーツの成長産業化を推進する。
東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える中、日本におけるスポーツがこれまで以上に発展するには、どのようなイノベーションが求められるのか。
「SmartSportsNews」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。

面白いアイデアを“事業化”できるかがポイント

──イノベーションリーグで賞を受賞した企業に対して、スポーツ庁はどのようにバックアップしていきますか?

「コンテスト」や「アクセラレーション」で受賞された企業は、先進的な事例として、スポーツ庁が行う各種講演や、スポーツ庁HPで紹介をさせていただきます。また、受賞された企業・団体等への訪問や、スポーツ庁にお越し頂くなど、様々企画中です。

──面白い事例が出てきたとしても、ビジネスに繋がらなければ持続性が持てないというケースも出てくるのかなと思います。

大事な視点ですね。事業化まで持っていけるかは重要なポイントだと思います。先進的な事例を紹介することは、新しい方向性を示すことを意味しますが、それが事業化できないと後に追随する事例や、波及的な取組が出てきにくくなります。しかし、面白い事例でも、“これをすればビジネスにつながる“という特効薬のようなものはなく、試行錯誤の連続だと思います。引き続き、国として貢献できることは模索しつつ、先進的な事例を発信し続けていきたいと考えています。

──“イノベーション”と聞くと、どうしてもベンチャー企業などにイメージがいきがちですが、坂本さんは地域の企業やクラブ、商工会議所など幅広くフォーカスしたいとのことですが。

確かに、「コンテスト」は1月7日まで募集を行なっていますが、“イノベーションリーグ”という名前からものすごく先進的で大々的なことをやっていなければ応募してはいけないのでは、と身構えてしまっている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、実際はそうではありません。新しさの軸は1つではないはずですし、規模は小さくてもピリリと光る事例もあると思います。もっと気楽にと言いますか、「こんなことをやっています」と積極的に手を挙げていただけたらなと思っています。
来年は、「イノベーションリーグ」のようなスポーツオープンイノベーションの取組が全国各地でも起きていくように支援をしていきたいとも考えています。いわゆる、地域版SOIPです。既に、全国各地でスポーツオープンイノベーションにより新しい財やサービスを創出していく取組は全国で動き出しつつあります。例えば、大阪商工会議所は“スポーツハブKANSAI”というスポーツと様々な産業の融合によるあらたなビジネス創出を促進する取組みを行なっています。この各地で起きている取組とも連携していきたいと思っています。

──―応募のエントリーシートを拝見させていただきましたが、とても自由度のあるシートになっています。

そうですね。気軽に応募いただけるように、取組概要とアピールしたいポイントを自由に記載できる簡単なフォーマットにしています。ものすごく高度な技術を使った事例ではなくても構いません。それよりも発想の転換が優れているということがすごく大事なポイントだと思っています。

(イノベーションリーグ・「コンテスト」のエントリーシートより)

スポーツの収益構造を変えるために

──ライブで使われていた映像技術がスポーツにも生かされていくという話がありましたが、このコロナ禍では会場に足を運ぶというのが難しいというのはライブもスポーツも同じだと思います。そういった中で今は無観客での配信ライブというのが主流になっていて例えば東京ドームには5万人くらいしか入れないけれど、人気グループが配信ライブをしたら何十万人も同時接続するという現象が起こっています。こうした状況となったことで拡張性みたいなものが生まれているのかなと思うのですが、こういったことをスポーツにどう生かしていけると思いますか?

これまでスポーツ団体の収益源の大半はチケット収入やスポンサー収入等だと思いますが、新型コロナウイルス感染症拡大によりスポーツイベントに対する影響はない長期化しています。withコロナ、afterコロナにおいて、これまでと同等、もしくはそれ以上に収益を生み出す構造の変換を迫られています。このため、多くの人々を引きつける魅力的なコンテンツであるスポーツの価値を最大限に活用した新たな取組が必要になってくると考えています。まさしく、人気グループの事例は可能性を示していると思います。デジタル技術等によって物理的な制約を受けていた部分が拡張して、新しい収益源が生まれていくと思います。実際に、リアルで見て感動するというスポーツの従来の楽しみ方の部分は大切にしつつも、新たに収益源を生み出すことも支援できたらと考えています。

──配信した映像を見るだけでなく、まるでスタジアムにいるような感覚を体験できるかは重要なポイントになってくると思います。

おっしゃる通り、実際に会場で五感で感じる臨場感を、遠隔で見る場合にどう伝えるかというのも重要なるでしょう。また、横浜ベイスターズが取り組んでいたVRの「バーチャルハマスタ」もある種のスタジアムにいるような感覚を体験する例になるのではないでしょうか。バーチャル空間上であるが故に、気楽に観戦に行きやすくなります。アバターを使ったバーチャルな空間上で、そこでしか体験できないスポーツの楽しみ方がどう作られていくのか期待されます。

Vol.1「スポーツの可能性を“拡張”していく」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/5fd86fd068fb600fd87c6392

Vol.3「スポーツが社会の改題を解決する」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/5fd872f17d56213abd1654b2

■プロフィール

坂本弘美(さかもと・ひろみ)
スポーツ庁
参事官(民間スポーツ担当)付 参事官補佐
東京大学大学院を卒業後、NTTコミュニケーションズ(株)にシステムエンジニアとして就職。その後、2016年3月に経済産業省に入省、製造産業局にて製造業のIoT推進政策に携わる。2018年10月から同省 商務・サービスグループにて、主に中小・小規模事業者や自治体へのキャッシュレス推進政策に携わる。2020年7月より現職、スポーツの成長産業化に取り組む。

INNOVATION LEAGUE(イノベーションリーグ)とは
スポーツ庁が取り組む「スポーツオープンイノベーションプログラム(SOIP)」と、スポーツテックをテーマとしたグローバルアクセラレーションプログラム「SPORTS TECH TOKYO」がタッグを組み開催する スポーツイノベーション推進プログラム。プログラムは大きくふたつ。スポーツビジネスを拡張させる「イノベーションリーグ アクセラレーション」と新しいスポーツビジネスを讃える「イノベーションリーグ コンテスト」。「イノベーションリーグ アクセラレーション」 では、コラボレーションパートナー(実証連携団体)として公益財団法人日本バレーボール協会と3×3. EXE PREMIERもプログラムに参画。テーマ設定をはじめ、プログラムの中で採択されたテクノロジーや事業アイデアの実証において連携を行っていきます。
「イノベーションリーグ コンテスト」は今年初開催。スポーツやスポーツを活用した新しい取り組み・優れた取り組みを表彰いたします。

公式サイト
https://innovation-league.sportstech.tokyo

SPORTS TECH TOKYOとは
スポーツテックをテーマとした世界規模のアクセラレーション・プログラム。第1回開催時には世界33ヶ国から約300のスタートアップが応募。スタートアップ以外にも、企業、スポーツチーム・競技団体、コンサル、メディアなど多様なプレイヤーが参画。事業開発を目指すオープンイノベーション・プラットフォームでもある。

公式サイト
https://sportstech.tokyo/?ja

■クレジット

取材・構成:上野直彦、北健一郎

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