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【#15】ゴルフ原始人が見た東京五輪ゴルフ 感想は「おもしろかった」

私がゴルフを始めた2021年というのは、1年延期になった東京五輪が開催された年でもありました。いろいろ大変だった、あの東京五輪です。
エンブレム問題、新国立競技場建設中止、担当相辞任、会長辞任、開会式・閉会式にかかわったあの人もこの人も辞任。さらにコロナで1年延期になった上に、その後も感染者数が増えまくりでギリギリまで開催も危ぶまれる始末。最初から最後まで超弩級のトラブル続きで、聖火リレーならぬ炎上リレーの様相を呈していました。プリンセスプリンセス風に言えば、世界でいちばん熱い夏。でもまあ、それはそれとして、始まってしまえばそれなりに楽しめるものではありました。
私は普段スポーツ観戦をすることはほとんどないんですが、ちょうど始めたばかりでゴルフ熱が高まっている時期だったので、ゴルフだけはしっかり中継を見てみることにしました。
初めてプロのゴルフの試合をまともに見たんですが、いやー、面白かったですね。心の中の福山雅治も「実に面白い」と言っています。まだまだプロの技術がまともに理解できるレベルではなかったのですが、それでもわかるスイングの正確性。
男子ゴルフはとにかくパワフルで、日焼けで黒光りした筋肉質の男たちが、さほど重くはない棒を力一杯ブン回してボールをかっ飛ばしていく。でも、アプローチやパターでは、そんな屈強な戦士たちが体を縮めて、余分な動きをなくして、小さく精密な動きをする。それはそれでかっこいい。
一方、女子ゴルフではパワーよりもしなやかさを感じます。体が柔らかくてスイングものびのびしている。ファッションも華やかで楽しい。
事前の評判では、男子ゴルフの松山英樹選手、女子ゴルフの畑岡奈紗選手にメダルの可能性あり、とのことでしたが、蓋を開けてみれば、女子ゴルフの稲見萌寧選手がプレーオフを制して銀メダルを獲得し、日本ゴルフ界初のメダリストに輝いていました。
最終日の終盤、稲見選手がバーディを連発してトップのネリー・コルダさんを猛追するところは興奮しました。世界ランク1位のネリーをじわじわと追い詰めていく。さらば青春の光の森田さんなら「漫画やん」と言うしかないような劇的な展開です。
特にしびれたのが、17番ホールの4メートルのバーディパット。決めればトップに並ぶという重要なパットだったのですが、直前で雷雨のため競技が一時中断してしまったのです。約50分の中断を経て再開して、迎えた運命のバーディパット。
これを見ていて当時ベストスコア183の私が思っていたのは「自分なら絶対に外す」ということでした。世の中に絶対は存在しないと言いますが、これだけは確実と言い切れるくらい、とんでもないプレッシャーの中での一打です。しかも肝心なところで中断を挟んでいて、集中力が一回切れてもおかしくないところ。
ところが、ここで稲見選手は平然と普段通りにパットを放ち、見事にバーディを勝ち取ったのです。いやー、しびれました。ベストスコア183のゴルフ原始人の心も震わせる渾身の一打。
結局、稲見選手は優勝こそ逃したものの、2位に入って銀メダルを獲得しました。張本勲じゃなくてもここは「あっぱれ」です。あっぱれしかありません。
いつも淡々と、当たり前のように一定の形のスイングを繰り返す稲見選手を見て、図太いな、かっこいいな、と思いました。そこから私は、稲見選手を中心にテレビで女子ゴルフの試合を観戦することにはまっていきました。

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