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【#11】「往復ビンタ」は避けたい…!再び、「選択と集中」理論。チッパーはどうだろう

ゴルフはアプローチである。私が何回かコースに行ってみてわかったのは、結局、アプローチが上手くないとスコアが良くならない、ということでした。

ゴルフのホールでは、ティーショットから始まり、徐々に打つべき距離が短くなる代わりにターゲットが小さくなっていきます。グリーンに乗せてピンに近づけるためのアプローチは、パターに次いで2番目に高い精度が要求されます。パターとアプローチには最も繊細な動作が求められるのです。

パターに関しては、突き詰めれば奥が深いし難しいものだとは思うのですが、素人が適当にやってもそこそこ何とかなってしまう、というところがある。ボールを転がすだけなので、初心者でもたまたま上手くいくこともあるし、飛距離が出ないので大きく崩れる可能性が少ないのです。

一方、アプローチは厳しい。初心者のうちは、アプローチで飛びすぎてグリーン周りを行ったり来たりする通称「往復ビンタ」になりやすい。これをやっているうちは100切りどころか150切りもままならないのです。

仕方なくアプローチの練習をしてみるのですが、なかなか上手くいきません。ゴルフでは短い距離ほど難しいと言われるのですが、本当にその通り。
方向性は気にせずにとにかく100ヤード以上打ってくださいと言われたらそこそこ打てる気がするけど、目の前の10ヤードの場所にボールを落としてくださいと言われたら、「ちょっとお時間かかりますがよろしいですか?」と調理に手間がかかる料理を注文されたときのウェイターのような返答をしてしまうでしょう。

アイアンやドライバーなどの普通のショットだけでも苦労しているのに、それらとは打ち方が違うアプローチが入ってきたら、もう収拾がつきません。何とかならないものか。

ここで「選択と集中」理論が再び私の心にわき上がってきました。
どんな手段を使ってでも、やるべきことを減らせば、より重要なことに集中できるようになる。私の中のマリー・アントワネットがささやきました。

「アプローチがダメならチッパーを使えばいいじゃない」
そう、ゴルフ界にはアプローチが苦手な人のために「チッパー」という最終兵器が用意されているのです。
チッパーとは、アプローチショットのために開発された特殊なクラブのこと。

チッパーはアプローチの救世主となるか

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チッパーにもいろいろあるのですが、一般的な特徴としてはウェッジよりもライ角が大きく、ソール幅が広いということです。ライ角が大きいのでボールに近づいて構えることになり、打ちやすくなる。また、ソール幅が広いので、ソールが地面に刺さってダフるというミスが出にくい。
要するに、チッパーとは、普通のウェッジよりもミスの可能性を減らしたアプローチ用のクラブなのです。チッパーは、簡単に扱える代わりに、打球の軌道が一定になり、いろいろな打ち方をすることはできないと言われています。

しかし、こちらは初心者ですから、そもそもいろいろな打ち方をする気はない。なるべく易しく、なるべく一定の打ち方ができればいい。そんな自分にはぴったりのクラブだと思いました。私は入念なリサーチの末、同じメーカーのロフト角が違う2本のチッパーを購入しました。
これを買ってから、私はアプローチの練習をほとんどやらなくなりました。チッパーで最低限のショットが打てればそれでいいと思っていて、ドライバーとアイアンに練習時間を費やすことにしていたのです。

しかし、例によって、また壁にぶつかることになりました。我ながら「またかよ」「もうええわ」と思いますが、実際にそうなのだから仕方ない。事実とは得てして退屈なものです。

チッパーでアプローチをやっているうちに、私は気付いてしまったのです。「チッパーも難しいな」と。そう、チッパーは簡単なクラブだと言われますが、ほかのクラブとは作りが違うので、打ち方も微妙に変わります。チッパーにはチッパー用の打ち方が必要だったのです。

一般的には、チッパーはパターのように打てばいいと言われるのですが、それを試しても上手くいかない。狙ったところに行かないどころか、まともに当たらないことも多かったのです。

そこである日、意を決して、チッパーではない普通のウェッジでアプローチショットを打ってみました。すると、正直、あんまり変わらない。上手く打てるわけではないけれど、チッパーよりはクセがなくて打ちやすい感じもする。つまり、自分にとってチッパーは簡単なクラブではなかったのです。

ここで私はチッパーをあきらめることにしました。そして、普通のウェッジでアプローチをやるしかない、と決意を新たにしたのです。チッパーなしの方が打ちやすいし、将来的には打ち方の幅も広がりそうです。

私にとってチッパーは、ちょっと付き合ったけれどささいな行き違いで別れてしまった恋人のようなもの。さよなら僕のチッパー。胸に残り離れない苦いチッパーの匂い。今でもあなたはわたしの光。まあ、2本ともメルカリで売りましたけど。

>>【連載】連載:ラリー遠田の「ゴルフ沼へようこそ」〜日本一不器用な初心者ゴルファー奮闘記〜

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