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「根を張る」構えができる阿部未悠 安定の下半身が高精度のドライバーを生む【女子初シードスイング解説】

ドライバーの正確性が武器の阿部未悠(撮影:GettyImages)

3月2日の女子ツアー開幕に先がけ、22年に初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説。同時に今季の活躍を占う。今回は2000年生まれの22歳、阿部未悠のドライバーショットを見ていこう。

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阿部未悠 あべ・みゆう
2000年9月27日生まれ 22歳 北海道恵庭市出身 155センチ
メルセデス・ランキング44位 年間獲得賞金46位(3051万5916円)
22年シーズンの主な成績(リゾートトラストレディス5位タイ、ニチレイレディス8位タイ、富士通レディース4位タイなど)
ドライビングディスタンス52位 235.98ヤード
フェアウェイキープ率10位 75.7576%
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昨シーズン序盤は予選落ちが続いた阿部だったが、5月後半から2試合連続でトップ10に入るなど、ツアー本格参戦1年目で見事に初シードをつかんだ。持ち味はティショットの正確性で、フェアウェイキープ率は75%を超えて10位にランクイン。本人も「ドライバーが曲がらないのが強み」と話している。
 
「しっかり足で構えられている」。飯島は阿部のアドレスをそう表現する。意味を聞くと、「根を張っているように見えるんですよね。アマチュアの悪い例は、しゃがんで腰が落ちてヒザで構えてしまっている人。それに対して阿部さんはお尻が高くて、足にかかっているのがわかるんですよね」と、指で地面をつかむ動作をしながら説明する。
 
やや左に重心を置いてセットアップ。バックスイングでは少し右にシフトして静から動へのきっかけを作り、クラブヘッドを遠くに上げて大きな円を描いていく。「左に圧を感じる構えから右に乗りすぎないように捻転している。捻っているだけで足の形は変わらない。右股関節の絞りがすごいですよね」。

トップでしっかり捻転を作り、ダウンスイングでは重心をさらに低くしながら、タメを作ってクラブを下ろしていく。「背中のほうからクラブが来ているのでだいぶたまっている。下ろすときに前傾角度が起きて体が浮いてしまうと、こんなふうに下ろせません」。
 
そして、阿部のスイングの正確性は右ヒジの形に表れている。「右ヒジの使い方が男前ですよね。体の正面で曲がったまま運べています。右ヒジや左手首の角度を強くキープしているのに、体の回転は止まらないわけです。打って終わりの人だとこの角度がほどけて、こんなにインパクトゾーンを長くできない。阿部さんは頭が右に残ってボールをしっかり押せていますし、下半身の回転で打てているから曲がりづらいですよね」。
 
阿部の今季の活躍について聞くと、「現在の女子ツアーではそんなに飛ぶ方ではないですけど、飛距離が関係なくちょっとタイトなコースに行けば、曲がらないことはかなりアドバンテージになる。足もブレずにこれだけ振れたら、あとはパター次第という感じはしますよね」と、ショットの精度は優勝に届くレベルにあると見る。古江彩佳や西村優菜、吉田優利といった2000年度生まれの同級生に続くツアー優勝に期待したい。
 
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。

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