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ステップ・アップ・ツアーでテレビ初解説「まだまだ私の任務は終わっていない?」【原田香里のゴルフ未来会議】

ステップ・アップ・ツアー「フンドーキンレディス」のテレビ解説を行った原田香里【写真:本人提供】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今週は、ステップ・アップ・ツアー「フンドーキンレディス」のテレビ解説をしたことをお話したいと思います。

実は私、テレビ解説というお仕事は初めての経験でした。ステップ・アップ・ツアーは、全試合をCSのスポーツチャンネル『スカイA』さんで生放送をしています。初解説がいきなり生、ということでなかなか緊張しました。
 
このコラムのように、文章で皆さんに自分の考えをお伝えするのも決してやさしくはないのですが、生放送で瞬時に言葉をチョイスして、スイングの話などをする、というのはなかなか難しかったですね。でも、終わってみれば「楽しかった!」というのが正直な気持ちです。
 
ステップ・アップ・ツアーは、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のレギュラーツアーに出場資格を持たない選手及び新人を対象に、試合経験を積ませることによる育成、レベルアップを目的として、1991年から始まったJLPGAの下部ツアーです。当初は年間2試合でスタートしたのですが、徐々にスポンサーさんが増えて、今年の試合数は23試合になっています。競技としても、2日間大会から3日間54ホールの試合が増えており、17年からは女子の世界ランキングであるロレックスランキングの対象ツアーにもなりました。
 
JLPGAの理事として仕事をしていた中で、その成り立ちや広がりを知っていたということも、私にお声がかかった理由の一つなのかもしれません。プロテストを担当していたころに受験していた若い選手が、プロとしてプレーする姿を見ることができたのもうれしかったです。
 
ただ、その名のとおり、ステップ・アップ・ツアーはあくまでも下部ツアーです。誰もがレギュラーツアーを目指しながら戦っているはずなのです…。
 
ありがたいことに、日本の女子ゴルフは現在、とても人気があります。下部ツアーのステップ・アップ・ツアーの試合数がここまで増えたのもそのおかげです。その恩恵を受けて、ステップ・アップ・ツアーに出場している(レギュラーツアーにはコンスタントに出られない)選手でも、スポンサーがしっかりついている選手も多いです。
 
試合で結果を出すことが、ツアーに出ているプロゴルファーの本分です。人気というあいまいなファクターはありますが、基本的には活躍している選手は露出が多く、これに伴ってスポンサーがつきます。
 
実力の世界ですから、誰もが上を目指すのが当たり前。そうでなければ生き残れません。けれども、女子プロ人気でステップ・アップ・ツアーが主戦場の選手でも、そこそこ生活できるくらいには稼げるし、ファンの方もついてくれています。
 
この状況にはもちろん感謝しているのですが、プロのアスリートとしてはいつまでもステップ・アップ・ツアーにとどまっていてはダメだ、という意識は持っていてほしいものです。負けるのが悔しい、という気持ちはアスリートには不可欠です。レギュラーツアーでプレーして、いつかは優勝する、という気持ちをプロゴルファーなら誰もが持っているはずなのですから。
 
レギュラーツアーに出ている選手も、自分の目標に向かってすごい努力しています。その選手たちに追いつき、追い越すくらいの勢いで頑張ってほしいですね。ファンの方々も、推しの選手がレギュラーツアーで戦い、優勝する姿を見たいと思ってくれていると思いますよ。
 
「フンドーキンレディス」で優勝した福山恵梨さんは、これがステップ・アップ・ツアー4勝目の30歳。優勝するだけあって、光るプレーが随所にありました。若い選手の活躍ばかりが目立ち、25歳くらいで中堅、といわれたりもしますが、ゴルフは競技年齢が長いスポーツ。これからの活躍が楽しみだと感じました。
 
試合が終わってから、『スカイA』さんからはお褒めの言葉を頂きました。「選手の気持ちを汲んでくれていてよかったです」、と言ってくださった方もいました。一方で、コースの形状などについてもっと具体的な話をしたほうがいい、という指摘もありました。視聴者の皆さんにスイングについてわかりやすく説明する、ということの難しさも実感しました。
 
そうそう。テレビ視聴者の方からの声にお答えする機会もあったのですが「原田さんはテントの中で怖い顔をしている印象でしたが、ニコニコしてお話しされているのがよいですね」という投稿を頂いて、大笑いしてしまいました。でも理事時代、いつも怖い顔をしている、と言われていたので、違う一面を見ていただきうれしく思いました(笑)。
 
解説という新しい経験と、久しぶりに現場に出たことで、感じたさまざまなことを、今後に生かしていきたいと思います。正直、理事を辞めたことで「ゴルフの世界での私の任務は終わった」という気持ちがどこかにあったのですが、そんなことはないな、と思った次第です。
 
私にできることを、今後もさせていただこうと思います。皆さま、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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