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ゴルフクラブよ、美しく、やさしく、かっこ良くあれ。フォーティーンの14本が紡ぐ、ゴルフのストーリー。

FOURTEEN GelongD DX-001/長尺化によるヘッドスピードアップ(力学的優位性)と、それを確実な飛距離アップにつなげるための使いやすさ(プレーヤーに応じた振りやすさ)を両立させるため、常識を覆すヘッド重量の軽量化を達成したGelong Dの最新モデル。打ち出し角度の最適化のために欠かせないロフト選択もLT(7°)、HT(10.5°)、そして2023年からMT(9°)も新たにラインアップ

クラブ設計家 竹林隆光が信じていた
“超尺ドライバー”の大いなる可能性

日本最大のゴルフ用品見本市「ジャパンゴルフフェア」が近づくと、筆者はゴルフクラブ設計家、竹林隆光さんのことを思い出す。ランチを兼ねて交わしたゴルフクラブの未来への展望、そして可能性。今まさに竹林さんが見ていた未来が現実になっている。

ゴルフフェアの会場でお会いすると、必ず「お昼まだでしょ」とランチに誘っていただいた。そして、その年のトレンドや見るべきモノはあったかなど忌憚のない雑談、クラブ談義を交わした。ある年、“何か面白いモノはありましたか?”と問われた筆者は、「とくにないですね。どこもコンセプトは同じに見えます。もう新しい発想は生まれないのでは?」と返した。そして、竹林さんはまだやりたいことはありますか?と逆に質問をした。
 
「長尺には、まだ可能性があると思うんですよね。技術的にもようやく整ってきたと感じています」
 
 竹林さんは90年代の終わりからすでに自社品、OEM製品で数々の長尺モデルを開発してきていた。もちろん、初期の長尺ドライバーは300cc未満の小さいヘッドに48インチというアンバランスなモノであり、ゴルファーの幅広い支持を受けるまでには至らなかった。だからこそ、ヘッドの大型化技術が成熟し、軽量でしかも剛性も重心設計も自由度高く作れるカーボン技術が発達した今(2009年頃)からが、もっと使いやすく、安心して構えられ、アマチュアゴルファーの大きな夢である“飛んで、曲がらない”を叶えてくれる、本当の長尺ドライバー時代の幕開けであると、竹林さんは考えていたのである。
 
GET LONGEST DRIVE. 略して『GelongD(ゲロンディ)』。98年から継続して開発してきた“長尺”シリーズに大きな可能性とゴルフクラブの未来を見ていた。

最新のゲロンディドライバー、『DX-001』は、おそらく竹林さんが描いていた理想に近い長尺ドライバーである。安心感のある体積460CCのフルサイズでありながらヘッド重量はシャフトスリーブ込みで180gを切った超ライトウェイト。ヘッド後方にはウェイトポートがあり1g刻みで用意された専用ウエイトによって快適な振りやすさに調節できる。そして、シャフトはもちろん脱着とフェースアングル(ロフト)の可変が容易なアジャスタブルスリーブ仕様。
 
『ゲロンディDX-001』は見た目も安心、振りやすさも弾道調整も、もちろん「長さ」も自分好みに完璧に選択・調節できる。まさに夢の “超尺時代”が到来しているのだ。竹林さんが長尺のさらなる可能性を語っていたのは、2008年のルール改正で高反発規制が行われた直後。反発性能を抑える代わりに容認された、ウェイト、シャフトの可変システムに竹林さんは“超尺時代”到来を確信していたのだな、と今になってみれば思う。竹林さんが亡くなって10年が経つが、そのフロンティア精神はフォーティーンのエンジニアに正しく継承されている。

ベストな1打をつなぐ、ベストな14本であれ。
“要”のユーティリティにこだわる

セットのつながりを考えれば、ユーティリティが多品種になる。フォーティーンといえば中空アイアンのパイオニア的存在『HI-858』に始まり、ユーティリティクラブを作るのが抜群に上手いクラブメーカーという印象がある。“メタルウッドからアイアンにかけて形状がリニア(直線的)に変化するクラブセットを作りたい”、それが中空アイアンに挑み名器『HI-858』を生み出した理由だった。
 
 竹林さんがいうリニア(直線的)に変化するとは、番手間に形状的な違和感がなくスムーズにつながり合ったクラブセットのことだ。その難しさはフェアウェイウッドとアイアンの間、アイアンとウェッジの間に潜んでいる。現在のフォーティーンの製品ラインアップを見てみると、ロングショットをサポートするユーティリティと、ショートゲームを成功に導くウェッジに多くの選択肢があることがわかる。この2カテゴリーこそが14本のクラブをリニアにつなぐ“要(かなめ)”であるからである。
 
 つながりを持ったクラブセットとは、現象的には番手間の飛距離ギャップが約10ヤード〜15ヤードで均等化された状態のことを指す(打てない番手を打てるに変える)が、プレーヤー目線で言えば構えやすさ・振りやすさといった感覚的な部分も違和感なくリニアにつながっていることが重要になる。そのために“要(かなめ)”のユーティリティ、ウェッジには複数の正解(選択肢)を用意しておかなければならないと、フォーティーンでは考えられているのだ。

ピンチを救いベストに導くユーティリティ

フェアウェイウッドではバックスピン過多で球が吹け上がる!というプレーヤーのために、弾道を抑えラインを出していけるUT型のショートウッドを開発。ウッドの安心感とアイアンの使い勝手が両立。ロフト/20°、23°

左に引っ掛けにくく、ラフや悪いライでの使いやすさを追求。ウェッジのソールデザインにヒントを得てダウンブローに打ち込んでもしっかりとバウンスが機能する新ソールを採用。IX-001とのスムーズなコンビネーションが可能。ロフト/20°、23°、26°、30°

ロングアイアン、ミドルアイアン、ユーティリティも何だか苦手。そんなアマチュアゴルファー向けに開発された「やさしく上がる」がコンセプトの新クラブ。形もカラーも他とは違う! 単品感をあえて出すことで得意クラブ感を増幅する。ロフト/24°、27°、30°、34°

飛距離追求型の中空モデルとして誕生したフル番手セットのアイアンだが、ロング番手をUTアイアンとして使用するプレーヤーも多い。しっかり打ち込むことでボールコントロールできる競技派モデルである。ロフト/20°(#5)、23°(#6)

コンビネーションセットを
前提に考えられたTBアイアン

そして、もう一つ。フォーティーンらしいゴルフクラブ作りがわかるポイントを紹介したい。それがアイアンのロフトピッチである。弾道、飛距離の最適化を目指し、現在では複数のモデルをコンビネーション(コンボ)にしてクラブセットを構築するのが当たり前になっているが、複数のアイアンを組み合わせた時に不都合になるのが、ロフトピッチを合わせると番手表示が重なってしまったりすること。これはアイアン各モデルでロフトと番手表記がまちまちとなっているからだ。
 
 フォーティーンのアイアンは、コンビネーション使用されることが想定されるモデル『TB-5』、『TB-7』では番手ロフト(#6/26°)、番手間ピッチは同一である。これによってプレーヤーは番手ごとの許容性や操作性をチェックするだけで自分だけのコンビネーションアイアンセットを構築することができるのだ。
 
 力学・物理的優位性に基づいた先進的な設計思想に、ゴルフ道具としての感性を融合させて誕生するフォーティーンのゴルフクラブ。各モデルは単品として番手に求められる理想の飛距離や許容性、操作性を叶えるために精密に作られながら、クラブとしての美しさや感性に響く打感、打音には共通性がある。ベストな1打をつなぐ、ベストな14本であれ。そのためにまだまだやれることがある。未来にはワクワク感しかない。竹林さんの声が聞こえてきそうである。

構成・文/高梨祥明
写真/田中宏幸
www.fourteen.co.jp 

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