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勝みなみ「もうちょっとできた」西村優菜「日本にはない成長」 ルーキーが振り返る序盤戦

西村優菜(左)と勝みなみがルーキーシーズンの序盤を振り返った(撮影:ALBA)

米国女子ツアー「コグニザント・ファウンダーズカップ」を終えて、3月から本格化を迎えたシーズンはひと区切り。昨年12月の「Qシリーズ」を経てルーキーとして参戦している勝みなみ、西村優菜は、CMEグローブポイントランキングに基づくリシャッフル(出場優先順位の見直し)を突破して、序盤戦を締めくくった。

「LPGAドライブオン選手権」からの6戦に出場した勝は、2戦目の「DIOインプラントLAオープン」の最終日にボギーフリーの「63」を叩き出して7位タイに入るなどの活躍。だが、3試合は予選落ち。そのうち2回はわずか1打のビハインドで、序盤戦最後の試合でも最終ホールをボギーとしてカットラインをまたいでしまった。

この2カ月について、「もうちょっとできたんじゃないかな、というのはありますね」と振り返った。“ルーキーの洗礼”ともいえるが、この時期、新人はプレー開始時間が早朝になったり、ホールアウトが日没間際の組み合わせに入れられることが多い。実際に、初戦は投光器が点けられるなかで競技を終えたこともある。

午前と午後でコースコンディションが大きく異なったり、体調面では睡眠時間を確保することが難しくなることもある。出場人数が多い米ツアーならではのことでもあるが、「調整はここ何試合かでやっていくのは難しい。芝も違うのでラインの読みも難しくて。練習不足というか、実力不足と感じます」と話す。

そして、自身のプレーは「かみ合わないことが多かった」と振り返る。「ショットの調子もあまりよくなかった」というなかで生み出したチャンスを決めきれるか、そして流れを掴んで、波に乗れるか。これについては「流れやかみ合いを自分でどうにかするのは難しい。感覚の調整はできるけど、それが結果につながるのかも分からない」というのも事実。「試合を積んでいくしかない。コースに慣れて、積み重ねて、気持ちの部分もあると思う。ラウンドを重ねて自信をつけていくのがベスト」とさらなる上昇には経験が必要とした。

それでも「シーズンは長いし、そういう時もある。気にせずに、また与えられた試合で頑張れればいい」と表情は明るい。「ご飯と睡眠は全然大丈夫。暮らしていけそうです(笑)」と、移動や時差、外食にも対応できている。ポイントランク72位でリシャッフルを突破。予選落ちで肩を落としての一時帰国となったが、次戦でも元気な姿が見られるに違いない。

そして、「正直、想像していたよりも苦戦している」と振り返るのは西村。リザーブでのエントリーも経験し、マンデートーナメント(主催者推薦選考会)に出場しようと、試合を終えてすぐに移動する予定を組んだことも少なくない。結果、滑り込みもあり、勝と同じく6戦に出場して2戦目以降はすべて予選通過。だが、初日に出遅れて、カットラインを意識しながらの戦いを強いられることばかりだった。

“綱渡り”のようなスケジュールはこれまで「あんまりないかな…」。アマチュア時代はJGAのナショナルチームに所属し、「プロテストを通って、QTもうまくいって」と順調なプロ生活をスタートさせ、国内メジャーを含む6勝を飾っている。「もちろん調子が悪い時期もあったけど、ここまで毎試合プレッシャーを感じながらやったことはなくて、疲れました(笑)」。プラチナ世代の先頭を走るひとりが、これまでにない苦悩も感じている。

技術面については、「日本ではショットで流れを掴むゴルフができているけど、こっち(米国)にくるとなかなか難しい」。ショートアイアンだけでなくユーティリティなどの長いクラブでも精度の高いショットを繰り出す西村だが、そのスタイルが掴めていない。

「一番はスピンがかからないのが大きい。クラブ調整もして試しているけど、パワーがないとスピンがかけられないぶん、ボールが止められない」。オフの「プチ合宿」を経て迎えた自身初の東海岸戦では、クラブのロフトをわずかに変えるなどの調整をして臨んだが、好結果だったとは言いにくい。「スピン量を上げることプラスいい戦い方があるんじゃないかと、経験を積みながら探っていきたい」と話す。

それでも、ランク74位につけてリシャッフルは突破。「ずっと考えながら毎試合戦っていたので、一回は解放されるんだと(笑)」と最後には安ど交じりの笑顔も見せた。「楽しいです、だけど楽しめていない自分もいるという感じ」と上り坂の道は続いているが、その経験ができていることはうれしい。

「こういうタフなところでやっていると、向上心がでてくるというか。『もっとこうしたい』、『ああしたい』というのがある。すごく良かったところだと思うし、感じながら試合ができているのは、日本にはない成長かなと思います」

2週間のオフを挟み、ニュージャージーで行われる新規大会「ミズホ・アメリカズオープン」の出場を目指すふたり。一時帰国してリフレッシュや調整をしたのち、新たな目標と課題を持って、再び海を渡る。(文・笠井あかり)

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