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「イエーイ!」 渋野日向子が米初エース達成、スーパーショット前の裏話も…【米女子22年名勝負】

両手でバンザイする渋野日向子(撮影:ALBA)

米国女子ツアーはタイ決戦を皮切りに、いよいよ2023年シーズンが本格的にスタートする。今季はこれまでの畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳、笹生優花に加えて勝みなみ、西村優菜といった選手も参戦。ますますの盛り上がりを見せるであろう戦いの前に、昨シーズンの名勝負を振り返りたい【BMW女子選手権】

その時は突然だった。韓国戦、最終日の後半7番パー3。5番ユーティリティを振り抜いた渋野日向子のティショットは、カップ手前に着弾するとそのままコロがり、カップに吸い込まれた。

「えっ?」と口に手を当てて一瞬ぼう然とする渋野。そしてすぐに状況を把握すると、両手を広げながら「イエーイ!」と満面の笑顔を弾けさせ、歓喜の声を上げた。

2年前に勝利を飾った国内女子ツアー「樋口久子 三菱電機レディス」の第1ラウンド以来、トーナメントでは3度目のホールインワン達成。米ツアーでは初めてのことだ。

「全然見えてなかった(笑)。いいショットを打ったなと目を切らせたら、向こうで『おっ』と小さい声が聞こえて、『え?』って(なった)。めちゃくちゃうれしかったし、いつもホールワンすると予選落ちするとかあるけど、最終日だと気持ちいいですね。本当にいいショットでのホールインワンだったから、うれしかったです」

ティイングエリアには、ホールインワン賞の景品となっているBMW車が飾ってあった。だが、これが手に入るのはインコース12番、17番でのエースのみ。「入ったけどもらえないんですよね。残念」と冗談っぽく笑ったが、ルーキーイヤーの米ツアーで初めて味わった“爽快感”に勝るものはない。「みんなにお祝いしてもらおうかな(笑)。日本では達成した人が振る舞うけど、そんなのないから(笑)」。

目標を「60台」に設定し、38位タイからの浮上を狙った最終ラウンド。最終成績はというと、前半はすべてパーを並べる展開になったが、後半に入ると2、3番で連続バーディ。そして最大の見せ場を経て、続く8番でも30センチにつけるスーパーショット。サンデーバックナインで19位タイまで一気に浮上。激動の4日間を笑顔で終えた。

ちなみに、このエースにはこんな裏話もある。

後半はアウトスタート最終組、つまり優勝争いのグループのすぐ後ろでプレーしていた。毎ホール、ティイングエリアで待つ状態が続き、7番でも同じように待たされていた。そのとき、渋野はおもむろに車両が置かれている台座に足をかけてストレッチを始めた。そしてBMWをのぞき込むなど興味は尽きず、同組のシュ・ウェイリン(台湾)らと車体の色について話し始めた。

正確な色は定かではないが、いわゆる“モスグリーン”と呼ばれるような珍しいカラーリング。ウェイリンが「これはアーミーグリーン」と言うと、渋野は納得したような、しないような…。ここでウェイリンがひとこと、「マッチャ(抹茶)!」。これには渋野も納得だ。

まさかこの数分後、ホールインワンを達成することになるとは―。渋野のプレーからは一時たりとも目が離せない。

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