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「“バーディが薬”ってこういうことなんだ」 川崎春花は腰痛を抱えながら7連続バーディ&コース記録も更新

川崎春花が圧巻7連続バーディで急浮上(撮影:鈴木祥)

<リゾートトラスト レディス 3日目◇27日◇グランディ浜名湖ゴルフクラブ(静岡県)◇6500ヤード・パー72>

3つ伸ばして折り返した直後の後半1番パー4。残り113ヤードの2打目を3メートルにつけ、4つ目のバーディを奪ったのを皮切りに、川崎春花の怒とうの猛ラッシュが始まった。2番で3メートルを沈めると、3番では20ヤードのアプローチがカップに吸い込まれるチップインバーディ。7番パー3で7メートルのパットを沈め、7連続目となるバーディを奪った。

ラウンド後には「こんなにたくさんバーディが獲れるとは思ってなかった」と、驚きを明かした。というのも、スタート時には棄権が頭をよぎるほどの腰痛を抱えながらのプレーだったからだ。2日目の後半ラウンド中に、腰が悲鳴をあげた。「最近は出てなかったんですが」という中学時代から抱える持病を発症。朝になってもおさまらず、コースに来てもショット練習を15球で切り上げたほど。前日もラウンド後には練習もせず、すぐにホテルに戻りストレッチなどをして過ごした。

そんな川崎の体を突き動かしたのが、スタートホールの10番で4メートルを決めて奪ったバーディだった。「それでうれしくなって続けようかなって(笑)。痛みもやわらいで、“バーディが薬”ってこういうことなんだなって思いました。『特効薬やな』ってキャディさんにも言われました」。ニコニコと冗談交じりに話すが、特に終盤は「完走が目標」というほどの痛みがあったことも明かす。

そのため痛みとの戦いで7連続中も、スコアを意識することはなかったという。フィニッシュ後に体を戻そうとするたびに腰痛に襲われたが、歯を食いしばって歩みを進めていった。その状態でフェアウェイキープは14ホール中13回、パーオンも18ホール中15回だったことや、飛距離も初日の平均232ヤードに対し、3日目も231.5ヤードと大きな違いがないことには驚かされる。10個の“薬”がそれを可能にした。

日本女子プロゴルフ協会によると、7連続バーディは、記録が残る1990年以降では2021年の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」第1ラウンドで、稲見萌寧が達成して以来、史上8人目のこと。歴代1位は8連続で、11年の「スタンレーレディス」第3ラウンドで諸見里しのぶが、19年「富士通レディース」第2ラウンドで成田美寿々が樹立している。

8番は「悔いが残った」という3パットのボギーを叩き、最多記録とはいかなかったが、スコアは「63」。これは前日、岩井千怜が出した大会コースレコードの「64」をすぐに1打更新する新記録となった。ちなみに前半16、17番でも連続バーディを奪っていたため、もしもパーだった18番がバーディならば10連続となっていたが、「ノーチャンスでした。(バーディパットは)20歩くらいあったし、あわやボギーでした」と本人は笑い飛ばした。

2日目を終え46位だった順位も、トータル10アンダーの7位タイまで急浮上した。首位との7打差は、完全に優勝が消滅したといえる差ではないが、「明日も完走を…」というのが、やはり目標となる。この日も練習はせず、早めにコースを後にして最終日に備えていく。(文・間宮輝憲)

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