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山口里緒は悲願の初優勝ならずも「久々に楽しかった」 頑張れたのは戦友の『もう一個、頑張れ』

6バーディ・4ボギー「70」の3位タイで終えた山口里緒(撮影:鈴木祥)

<マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー 本戦(一日競技)◇第5戦マイナビカップ ◇成田ゴルフ倶楽部(6419ヤード・パー72)>
 
2021年から同ツアーに出場しており、2位、4位タイなど上位争いを見せていた山口里緒。だが、22年はなかなか思うような成績がでず、仲のいい中野なゆ、坂口瑞菜子らが優勝する姿をただただ見守るばかりだった。そんな山口が、久しぶりに上位争いを繰り広げることになったのが今大会。

前半を4バーディ・1ボギーの3アンダーで終え、首位に1打差の2位タイで折り返した山口。だが後半11番パー4で2メートル弱のバーディパットを外す。「苦手なホールだったけど、ティショットもセカンドも上手く打てていたので、チャンスを無駄にしてしまったなって」。カップにいれたい強い気持ちがストロークに影響したのか、チャンスを逃す。
 
12番パー3、13番パー4では2メートル弱のパーパットを外し連続ボギーとなった山口は「11番で入らなかった距離が、そのあとも入らなくて、このときは『あ、終わったな』って思いましたね。けど、逆に吹っ切れた感じにもなって『あ、あとはもう行くだけやん』って切り替えられた」と当時を語る。
 
その吹っ切りが16番パー3でチャンスを呼ぶ。山口が放ったショットはグリーン手前の花道へ着弾し、そのままカップ方向へ転がっていく。「手前の花道に落ちて、それがラインに乗ってくれたときは『電計さん…』って強く祈っていました」と、山口のスポンサー企業である日本電計株式会社の社名を心の中で叫び、入ることを祈っていたという。

ボールはカップの手前で止まり、またもや2メートル弱のパットが残る。これまで外していたイヤな距離だったが、見事にバーディパットを決めて2アンダーに伸ばすと、トップと2打差3位タイへ浮上。
 
山口がグリーンを終えると、後続組にいた中野なゆが15番のセカンド地点から見ていた。「レーザーでこっちを見ていたんです(笑)そしたら口パクで『今スコアいくつ?』って聞かれて、2つって手で見せたら、『もう一個、頑張れ』ってジェスチャーと口パクで言ってくれたんです」と戦友からエールをもらう。
 
そして、17番パー5でもバーディを奪い、2位タイへ浮上。中野とのアイコンタクトやジャスチャーでの会話は「とても励みになりました」と話していた。山口と中野は同じ四国地方の出身で同い年。ジュニアからともに戦いプロテスト合格を目指す戦友なのだ。
 
だが最終の18番パー4で痛恨のボギー。2アンダー「70」の3位タイでフィニッシュ。勝利を挙げることはできなかった。「連続バーディを獲れたので、最後も獲るしかないって意気込んだんですけど、セカンドを大ダフりしてボギー。ギリギリを攻めて、ギリギリのクラブをもって、飛ばしに行こうとした結果なので、今回は仕方ないかなって思っています」と振り返った。
 
「一昨年は上位争いとかできてたけど去年は全然できなくてずっと悔しかった。でも今回は朝一から連続バーディが取れていいスタートができたこと、全体で6バーディを獲れたことが嬉しい。4ボギーはもったいないですが(笑)でも最近、獲れても3バーディまで。なので久々にゴルフが楽しかったし、久しぶりにカメラがついて来てきれて嬉しかった。何が悪かったのかも中継を見返してわかるし。石井さんがコメントしてくれるので!」と話す山口。
 
実は後半スタート前に「もし悪かったら、攻め方についてコメントしてくださいってお願いしていたんです。そしたら、『このスコアのままではないから攻めなさい』って言ってもらえて。きのう女子オープンの予選があってドライバーの調子が悪くて不安だったんですけど、後半は広いから大丈夫大丈夫! と言ってくれたおかげで、調子が悪くても振り切ろうと思えました。そしたら後半はよくなりました」と実況席で解説をしている石井忍の言葉に救われていた。
 
山口は解説者の石井と、戦友の中野の言葉やジェスチャーを励みに最後まで諦めずに攻めることができたようだ。
 
プロテストは1次からの出場。まだ確定していないが、8月2日~4日で行われる富岡倶楽部(群馬県)にエントリーしている。それまでに「もう少し、賢くなりたい。ゴルフ脳が。なので今回の中継を見て、石井さんのコメントを聞いて学んでこれからにつなげたいです」と課題。最大の目標であるプロテスト合格に向けて着々と準備を整えていく。(文・高木彩音)

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