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予選2ウェイ→決勝1ウェイのなぜ 女子ツアーの54ホール短縮は回避できたか

豪雨のため54ホール短縮へ。これを回避する方法はあったのか?(撮影:上山敬太)

<大東建託・いい部屋ネットレディス 3日目◇22日◇ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡県)◇6540 ヤード・パー72>

大会3日目は最終組がスタートする午後12時50分に、荒天のため競技が一時中断。その後天候の回復が見込めず、午後3時40分に競技サスペンデッドの決定がなされた。これにより54ホールの短縮競技となり、第3ラウンドの続きは23日(日)の午前8時から一斉にスタートする。

「きのうの段階では、まったくきょうの荒天は想定していませんでした。信頼度の高い天気予報で、雷雨の可能性は低い見込みとなっていました」と話したのは、寺沢範美JLPGA大会担当理事だ。

大会本部が公開しているザ・クイーンズヒルGCのピンポイント天気予報を見ると、きのう21日は『貴所付近は東シナ海付近の雨雲が8~10時ごろ、南西から流れ込み一時的に弱い雨になる可能性が高いでしょう。午後は大気の状態がやや不安定になりますが、発雷やにわか雨は山間部主体の見込みです』(抜粋)とある。

確かにこれならば競技中断になるほどの荒天の心配はない。ただ、ゲリラ豪雨のニュースが全国を騒がせている近ごろだ。リスクマネジメントという点では、やや甘い見通しだったのかもしれない。また、スマートフォンで確認できる一般の天気予報サイトでは、雷雨の予報を出していたところもあった。

そういったことを含めて考えれば、防ぐこともできた競技短縮なのではないかと思えてしまう。また、短縮となった要因は競技方式とスタート時間にもある。

アウトとインコースの2ウェイ方式で行われた予選とは異なり、3日目は全員がアウトコーススタートの1ウェイ方式だった。トップは午前9時35分スタート。最終組は午後12時50分のティオフだったが、結局、コースに出ることなく順延が決まった。

この方式については、大会関係各所が協議して決定したとのこと。タラレバだが、トップが予選と同じ午前7時スタート、アウトとインの2ウェイで10分間隔(予選と同じ)なら最終組はアウト・インの組数によるが8時30分~9時ごろにはスタートでき、この日中断した12時50分までに多くの組がホールアウトできただろうし、全組ホールアウトの可能性もあったはずだ。そうすれば翌23日の最終日に早朝から競技再開をするか、予定どおり最終日に第4ラウンドを行うこともできたはずだ。そういったことを含めて考えれば、防ぐことができた競技短縮だったのではないかと思えてしまう。

では、なぜ時間のかかる1ウェイを選択したのか。理由はこれだけではないが、大会3日目はインターネット配信の他、テレビ地上波とBS放送で午後4時から5時15分までライブで放送予定だったのだ。

これに対して寺沢大会担当理事は「全国のファンにテレビでもライブで見ていただきたいという思いがありました。しかし、きのうの時点で天気が悪い予報なら1ウェイの判断はしていません。異常気象による天候については、今後、関係各所と協議をして事前に考えていきます。もちろん気温や湿度などによる、選手やギャラリーの体調なども考慮していきます」と、答えた。

今回は確かに不測の事態だった。だが、今後はそれをも考慮して、万全の体制で大会を開催してほしいと選手もギャラリーも願っていることだろう。その思いに応えるため、JLPGAは今後に生かしてくれるはずだ。(文・河合昌浩)

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