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ジョン・ラームがセベ・バレステロスの誕生日にスペイン勢4人目のマスターズ制覇「とても信じられない」

グリーンジャケットに袖を通すジョン・ラーム(手前)(撮影:GettyImages)

<マスターズ 最終日◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>

スペイン人で初めてマスターズを制したのは、1980年のセベ・バレステロス。83年に2勝目を挙げた後、94年と99年にホセ・マリア・オラサバル、2017年にセルヒオ・ガルシア、そして今年はジョン・ラームがグリーンジャケットを獲得した4人目のスペイン人として名を連ねた。

「この優勝が僕にとって、そしてスペインのゴルフ界にとって、どんな意味があるかということも大きい。スペインのメジャー10勝目、マスターズ優勝4人目、そして私のメジャー2勝目。とても信じられない」と優勝会見で喜びを語った。

17年にガルシアが勝ったマスターズでも日程は今回と同じ4月6~9日。今年は悪天候の影響で2日目、3日目と翌日順延が続き、月曜日決着も考えられたが、優勝が決まったのはガルシアのときと同じ4月9日。これはバレステロスの誕生日でもある。マスターズで2勝、全英オープンで3勝を挙げたスペインの英雄は2011年に54歳の若さで亡くなったが、生きていればきょうが66歳の誕生日。そして、ラーム自身は今週の火曜日に伝えられ、9日がバレステロスの誕生日であることは知っていた。

ラームは大会初日の1番でいきなり4パットを喫し、ダブルボギーでスタートしている。そのとき、ラームは88年に16番で4パットしたバレステロスの言葉を思い出した。『外して、外して、外して、入れた』。バレステロスでも4パットしたんだと自分に言い聞かせ「きょうをやり直した」。その後、1イーグル・7バーディを積み重ね、首位タイで初日を終えていた。

その後、トーナメントはラームとブルックス・ケプカ(米国)の一騎打ちの様相に。最終日はケプカに4打差のリードを許して朝を迎え、午前中に行われた第3ラウンドで2打に縮めて最終ラウンドに突入した。「マッチプレーではなかったけど、序盤はそのように感じた」とラーム。そして「フェアウェイにボールを置き続け、いいスイングをし続けることで、彼にプレッシャーを与えた」と語る。

ケプカはトータル11アンダーで最終ラウンドをスタートしたが、ラームの気迫に押される形で、最後はトータル8アンダーでフィニッシュ。結局、ラームはトータル12アンダーまで伸ばしてケプカを引き離した。4打差をつけて迎えた最終18番ホールは、ラームのティショットは右の林へ飛んで暫定球を打つところだったが、木に当たってフェアウェイに戻ってきた。オーガスタの魔女か、はたまたバレステロスの魂がラームに味方したのかもしれない。

「スペインの有名選手がほとんどここで優勝していることが、私に大きな希望を与えてくれた。スペインのパスポートを持っていることで、何かあるはずなんだ」。ラームが優勝を決めた瞬間、オラサバルが18番グリーンで待っていて「泣きそうになった」と熱い抱擁を交わした。練習日には、ラーム、ガルシア、オラサバルのスペイン勢3人一緒に練習ラウンドも行っている。

これでラームはマスターズと全米オープンを制した初めてのヨーロッパ人となった。今季はマスターズを含め、米ツアー出場11試合(非公式試合含む)で4勝を上げて絶好調のラーム。28歳にはキャリアグランドスラム達成にも期待がかかる。もちろん、ヨーロッパ人、スペイン人で達成した選手はいない。

「グランドスラムを成し遂げるには、長い道のりが待っている。フィル(ミケルソン)とアーニー(エルス)のような2人のプレーヤーができなかったことが、それを物語っている」。そう謙虚に話したラームはだったが、これからも“初めて”がつく偉業を重ねていくに違いない。

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