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プロゴルファー 藤田光里 HIKARI FUJITA Vol.1「小6で転校したときにプロになる覚悟が決まった」

3歳からゴルフを始め、一気にプロの舞台に駆け上がった藤田光里プロ。2013年にプロテストに合格すると、翌年の国内女子ツアー出場権をかけたQTをトップ通過。それどころか、翌週の新人戦で初優勝を飾ると、2年後の2015年には、フジサンケイレディスクラシックでは劇的な展開でツアー初優勝を飾った。その後は、ケガに悩まされる時期を乗り越えて、2019年に再びステップアップツアーで優勝。父親と歩んだ道のり、プロ参戦、歓喜、苦悩、新発見、ウェアを着る喜び、ファンとのつながり。20年以上、ゴルフと向き合ってきた彼女のありのままの想いを、言葉に変えていく。「Smart Sports News」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。

1回しか出られない試合で勝てたのは良い思い出

──藤田さんは、3歳からゴルフを始めたそうですね。

はい、父がゴルフをしていた影響から、妹と弟の3兄弟でゴルフをしていました。

──長女が3歳で始めたということは……。

はい、妹と弟はもっと小さい頃です(笑)。1歳をすぎたくらいから遊びのような感じで始めました。

──お父さんからはゴルフで上を目指してほしいと言われていたのでしょうか?

私が覚えている記憶だと、小学生の頃に「プロになってほしい」と言われました。

──自分としても、プロを目指そうと思っていたのでしょうか?

すごく練習がつらかったので……。ただ、中学生の頃にはプロを意識しました。小学6年生のときに、ゴルフをするためにいつも練習していたゴルフ場の近くに引っ越して、学校も転校しました。そのあたりから、「ああ、自分はプロにならないといけないのだな」と感じ始めていましたね。

──練習がつらかったのでしょうか?

いえ、練習内容より、友達と遊べないことや時間がないことですね。自由がなく、さびしかった。みんなとは違うということを痛感するのがつらかったですね。

──では、やめたいと思うことも?

いつも思っていました(笑)。母にもたくさんやめたいと言っていましたね。やめられる環境ではないと思っていたので、言葉では口にしていても、それが実現するとは思っていませんでした。

──お父さんがずっとコーチですか?

コーチでしたが、普段は別の仕事をしていました。

──まさにプライベートがない。

そうです(苦笑)。

 

──中学生の頃には、もうプロになる覚悟があったのでしょうか?

引っ越したのは小学6年生ですから、一番転校したくない時期ですよね。転校先では卒業アルバムにもほとんど登場しないし、修学旅行も行っていないし、思い出がない場所で卒業することがすごく嫌でした。でも逆に、それをしなければいけないときに覚悟が決まったというか、ゴルフをちゃんとやらないといけないなと思いました。高校2年生のときには、プロテストに向けて通信制に編入しました。その頃には、プロになることを完全に受け入れていました。

──お父さんの影響が大きかったわけですね。

そうですね。最初、私たちが小さいうちは、自分もゴルフをしていたから教えられるかなということでやらせたそうです。でも、小学3年生くらいで大会に優勝し始めたあたりから手応えを感じ始めたみたいです。それからは独学ですごく勉強して、ビデオを擦り切れるくらいプロの映像も見て、何を質問されても答えられるくらいでした。

──それはすごいですね。厳しかったのでしょうか?

私にももちろんですが、妹も弟もプロを目指していたので子ども3人に厳しかったですね。

──藤田プロは、2013年にプロテストに合格し、同年のファイナルクオリファイングトーナメント(QT)をトップ通過し、さらに「LPGA新人戦加賀電子カップ」でプロ初優勝という、華々しいスタートを飾りましたよね。

 

今思えばすごいと思いますね(笑)。ただ、新人戦は予選会(QT)の翌週の大会だったのですが、まずは予選で頑張って、来年のレギュラー出場へという気持ちが強かったので、QTを頑張って、北海道に帰ろうという気持ちでいました。そうしたらQTでトップ通過して、「ああ、うれしかった」という感じで、私のなかでは完結した気持ちで迎えた翌週の新人戦でした。今思えば、人生で1回しか出られない試合で勝てたのは良い思い出ですね。

──気楽な気持ちで臨めていたということでしょうか?

やはり前の週のQTはピリピリしていたので、新人戦は同期が集まってワイワイした3日間でした。

──そのときの喜びは覚えていますか?

あまり覚えていません(笑)。表彰式の映像も残っているので見ましたが、当時は「やっちゃったな」くらいしか思っていなかったかもしれません……。

──ゴルフはメンタルスポーツとも言われますが、理想的な精神状態だったのでは?

そうかもしれません。前の週の緊張からも解放され、良い意味で気楽に、考えすぎずにゴルフできました。そのときは深く考えていませんでしたが、心のあり方次第で結果が大きく変わってくるスポーツですから、今後も良い精神状態を自ら作り出せるようにしていきたいですね。

■プロフィール

藤田光里(ふじた・ひかり)
1994年9月26日、北海道生まれ。
3歳から競技を始め、2013年にプロテストに合格。同年、国内女子ツアーの来季出場権をかけたファイナルクオリファイングトーナメント(QT)をトップ通過し、さらに「LPGA新人戦加賀電子カップ」でプロ初優勝と華々しくデビュー。2015年のフジサンケイレディスクラシックでは、最終18番ホールでバーディを獲ってツアー初優勝。同年は賞金順位を18位まで上げた。その後、ケガに苦しみ、2018年には左ひじの手術を敢行。徐々に復調の兆しを見せ始めると、2019年にはステップアップツアーにも参戦し、ユピテル・静岡新聞SBSレディースで優勝。現在は新しいコーチと共に、ツアーでのさらなる活躍を目指して研鑽を積んでいる。

Instagram
https://www.instagram.com/hikari.fujita_official/

藤田光里のゴルフ偏差値向上委員会
http://www.teletama.jp/golf-hensachi/

■クレジット

取材・構成:北健一郎、本田好伸
写真:浦正弘
取材協力:Double Eagle銀座店

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