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プロゴルファー 藤田光里 HIKARI FUJITA Vol.2「プレースタイルは“芯のあるイケイケ”」

3歳からゴルフを始め、一気にプロの舞台に駆け上がった藤田光里プロ。2013年にプロテストに合格すると、翌年の国内女子ツアー出場権をかけたQTをトップ通過。それどころか、翌週の新人戦で初優勝を飾ると、2年後の2015年には、フジサンケイレディスクラシックでは劇的な展開でツアー初優勝を飾った。その後は、ケガに悩まされる時期を乗り越えて、2019年に再びステップアップツアーで優勝。父親と歩んだ道のり、プロ参戦、歓喜、苦悩、新発見、ウェアを着る喜び、ファンとのつながり。20年以上、ゴルフと向き合ってきた彼女のありのままの想いを、言葉に変えていく。「Smart Sports News」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。

自分の力でまたツアー開幕戦に立ちたい

──改めて、藤田プロのスタイルはどういったものでしょうか?

当たってくだけろ、ですね(笑)。最初の頃は、守るゴルフをしていなくてイケイケでしたから、最近はかなり考えるようになりましたね。それでもザックリとしていて、細かく考えて、悩むゴルフではないです。

──イケイケとは?

あまり悩まないというか。そのときにパッと決めたことを信じて打つイメージです。

──プロ経験を重ねることで考えるようになったのでしょうか?

どうでしょう。最初に悩み始めたときは、ドライバーが打てなくなりました。イップスまでいかないですが、スタートで使うドライバーが使えないということは、考えないとゴルフが成り立たなくなってしまった。そこから悩むようになりました。技術的なイップスではなく、精神的に立てなくなってしまった。最初の1年くらいは、どうやって打てばいいのだろうかと悩みましたが、ドライバーを持たないとか、違う方向を向くとか。球筋とか、ルーティーンを少し変えるような感覚で立ち直っていきました。それからは芯のあるイケイケになれた感じがします。

──芯のあるイケイケ(笑)。

最初は怖いものを知りませんでしたし、何も考えずにラウンドできていましたが、今は、きちんと考えながらプレーできるようになりました。

──悩んでいたのはいつくらいの時期ですか?

ツアー優勝した2015年の1年後くらいにひじを痛めた頃から2年くらいです。

──そもそも、ツアー優勝はやはりすごいことですよね。

 

あのときは、まさか最終日に最終組に入れるとは思っていませんでしたし、「入ってしまった」という感覚です。(6人が同スコアで並ぶなかで)「ここで勝たなかったら、一生勝てないかもしれない」という想いもありました。競っている最終日の最終組で、勝たなかったら毎回、ダメだと感じてしまうかもしれない。でも勝てたら、そこで手に入れた「1勝」が消えることはないですから。

──勝たなければいけないと自分にプレッシャーをかけていたのでしょうか?

いえ、「勝たなければいけない」というより、「勝てばここで『1勝』がつく」という感覚です。負けてしまえば、もう最終日・最終組に立てないかもしれない。マイナスではなく、プラスの感情として1打1打に集中していました。

──今でこそ若い選手の活躍も目立ちますが、20歳での優勝は快挙ですよね。

当時はそう言われましたね。

──ただし、若くして結果を出すとその後のギャップもあったのではないでしょうか?

周囲からはそう思われるかもしれないですが、自分は上も経験したし、ひじをケガして手術して、下も経験したので、“一発屋”ではないと思っています。いろんな経験ができたと思っています。

──ひじの故障はどのようなものだったのでしょうか?

少しずつ違和感が広がり、打てなくなり、ついに私生活に影響があり、物を持てなくなりました。その頃の握力は「7」くらいまで落ちてしまいました。服を腕にかけられないような状況でしたね。術後は、治っていたとしても恐怖心が残っているので、まだ痛いとか、怖いとか、それを消すような作業から始めました。

──ケガが癒えたことでフォームを取り戻した。

いえ、取り戻せていませんでした。痛がるクセをぬぐえないまま1、2年プレーしていましたね。頭では理解していても、体は痛いときのクセのまま動いてしまう。去年はそのことで悩んでいたこともあって、今年に入ってから新しいコーチをつけました。

──コーチとはどのように進んでいく感覚でしょうか?

もともとは父がついていて、その後に一度、2カ月くらい別の方についてもらったことがあるのですが、そもそも誰かに教わるという感覚をわかっていませんでした。ですから、新しいコーチをつけるか迷いましたが、密接に極めていくというより、自分が思ったことを言える人であれば良いという感覚の合う方を探していましたね。ゴルフは感覚的だと感じていたので。

 

──藤田プロは感覚タイプなのでしょうか。

そうですね。父からも、理論より感覚を伝えられてきました。父はいろいろ調べてくれていましたが、小学生を相手に言葉では伝わらないからと、動きで教えてくれていました。ですから私は、言葉があまり入ってこないタイプのようです。そうした話をコーチにも伝えた上で理解していただき、今は半年くらい一緒に取り組んでいます。

──では、この先の目標は?

あまり目標を定めないタイプです(笑)。性格的に、「この大会で勝ちたい!」と決めてしまうと、達成できなかったときに諦めてしまうので。たとえば「賞金シードを獲りたい」と決めても、秋口に無理そうな数字であれば、来年の目標を決めようと考えてしまう。だから、あまりピンポイントでは決めていません。ですが、ツアー開幕戦には立ちたいと思っています。その舞台は、なかなか推薦をもらえるものではないですし、自力でQTを通ったり、推薦をいただいた試合で良い成績を残して順位を上げたりしないと出場できません。だからこそ、自分の力でつかみ取りたいと思います。

■プロフィール

藤田光里(ふじた・ひかり)
1994年9月26日、北海道生まれ。
3歳から競技を始め、2013年にプロテストに合格。同年、国内女子ツアーの来季出場権をかけたファイナルクオリファイングトーナメント(QT)をトップ通過し、さらに「LPGA新人戦加賀電子カップ」でプロ初優勝と華々しくデビュー。2015年のフジサンケイレディスクラシックでは、最終18番ホールでバーディを獲ってツアー初優勝。同年は賞金順位を18位まで上げた。その後、ケガに苦しみ、2018年には左ひじの手術を敢行。徐々に復調の兆しを見せ始めると、2019年にはステップアップツアーにも参戦し、ユピテル・静岡新聞SBSレディースで優勝。現在は新しいコーチと共に、ツアーでのさらなる活躍を目指して研鑽を積んでいる。

Instagram
https://www.instagram.com/hikari.fujita_official/

藤田光里のゴルフ偏差値向上委員会
http://www.teletama.jp/golf-hensachi/

■クレジット

取材・構成:北健一郎、本田好伸
写真:浦正弘
取材協力:Double Eagle銀座店

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