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【記者の目】今季唯一のメジャー「全米プロ」、猛ラフを制した1Wは『SIM』

全米プロの上位3名は、みな『SIM』シリーズでした!(撮影:GettyImages)

全米プロゴルフ選手権 最終日◇9日◇TPC ハーディング・パーク(米国カリフォルニア州)◇7234ヤード・パー70>

新型コロナウイルスの影響で、今季唯一のメジャーとなった「全米プロ」。勝者はテーラーメイド契約の新鋭、コリン・モリカワだった。さほど飛距離が出ないものの、彼のシュアなプレーが称賛される結果となったが、戦いの幕が開く前の筆者の予想も外れに外れた。

筆者の読みとは、「ラフが深くて曲げると厳しく、パー70での7234ヤードは飛ばし屋が有利だから、飛ばし屋のピン1Wユーザーが来る」というものだった。(個人的には、今季充実のトニー・フィナウがイチオシだったし、3日目終了時はキャメロン・チャンプが濃厚だと思った)結果、どうなったか。「全米プロ」上位者の使用1Wを下記に挙げてみよう。

【全米プロ、トップ10の使用1W】()は4日間の平均距離、FWキープ率

1位、C・モリカワ、テーラーメイドSIM(平均290.5y/69.64%)
2位T、D・ジョンソン、テーラーメイドSIM(平均295y/58.93%)
2位T、P・ケーシー、テーラーメイドSIM MAX(平均305y/44.64%)
4位T、M・ウルフ、テーラーメイドSIM(平均303y/58.93%)
4位T、J・デイ、テーラーメイドSIM MAX(平均295y/44.64%)
4位T、S・シェフラー、ピンG400 LST(平均291y/60.71%)
4位T、T・フィナウ、ピンG410 PLUS(平均305y/42.86%)
4位T、B・デシャンボー、コブラKing SPEEDZONE(平均318y/51.79%)
9位、J・ローズ、テーラーメイドSIM(平均294y/46.43%)
10位T、C・チャンプ、ピンG410 LST(平均321y/50%)
10位T、X・シャウフェレ、キャロウェイMAVRIK SZ(平均302y/42.86%)
10位T、J・ダーメン、ピンG400 LST(平均289y/64.29%)

ご覧の通り、10位タイまでの12人中、[テーラーメイド]()が選ばれる不思議を感じた。だが、この上位の面々と使用1Wの傾向について、筒康博は「何の不思議もない、普通の結果でしょう」と話す。

「例えば、モリカワ選手自身が勝利のカギに挙げた16番の1オンイーグル。平均300ヤード超のバケモノがひしめくからこそショートヒッターと表現されますが、ピンポイントで290ヤード超を精密に狙えるモリカワ選手をまず称えるべき。今回の全米プロに限りませんが、自信と確信を持った1Wショットをどれだけ繰り返せるか? 誰もが勝ちたい中で、どれだけメンタルの影響なく平常時の実力を出せるか?を体現したのがモリカワ選手です。

ギアの特性の話をすれば、ピンが大MOIを追求してきたのは周知の通りですが、テーラーメイドもMOIが5000g・cm2超の『M6』の形状にヒントを得て『SIM』シリーズが出来ていて、他社にはない【大MOIなのに低スピン】が最大の特徴。『SIM』、『SIM MAX』に加えて『SIM MAX-D』も極端なつかまりではないから、PGAの選手が3機種からベストを選べる形です。事実、モリカワ選手の1Wに対するギアの信頼度は短いキャリアでこれだけの成績を残した原動力になっていることは間違いないでしょう。

寛容性とMOIなら『SIM MAX』で、操作性と低スピンなら『SIM』。どちらもPGAツアー選手のパワーをロスすることなく飛距離に結びつけやすい低スピンが特徴ですから、どれにハマっても距離と方向性を両立しやすいのは当然ですよね。左を消せる安定フェードで使い慣れた『SIM』で不安なく振り切る。至って当然の結果が出たわけで、何の不思議もないですよ」(筒)

はたして来季日程に組み込まれる9月の「全米オープン」、11月の「マスターズ」も今大会と似た結果になるのかどうか。モリカワの勝利で新鋭たちが沸き立つことも予想され、ますます勝者の予想がしづらい状況となりそう。ただ、各社の秋モデルの新作1Wが出てくることも予想されるが、優勝ドライバー予想の方はさほど外れることはない!?

Text/Mikiro Nagaoka

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