
“フットサルがうますぎる男”室田祐希。
地元のエスポラーダ北海道に復帰した今も、背番号7は変幻自在のドリブルと予測不能なパスで、観客を魅了し続けている。
古巣・ペスカドーラ町田を相手にハットトリックの大爆発で、3500人以上で埋まったアリーナを沸かせた。
31歳になった室田は、今、どんな気持ちでピッチに立っているのか。
我慢できたのが大きかった
──大爆発じゃないですか。
きたえーるで、2回連続ハットトリックです。
──室田劇場。
はい(笑)。ヒーローインタビューもきたえーるで2回連続、俺と(関口)優志なんですよ。
──2人が主役になって、町田に勝って。町田の今の順位や勢いを考えると、北海道がこの結果になるっていうのは……。
誰も予想しなかったでしょうね。でも俺は、なんか勝てる気がしていました。僕らは最下位でしたけど、明日佳グループチャリティマッチですし、勝たなきゃいけない試合だったから。
──とはいえ、ホームの雰囲気があるから、冠試合だから、勝てるものでもない。実際、何が勝利につながったんでしょう。
前半にしっかりと我慢できたこと。負ける試合って最初に点を入れられてるんですよね、早い時間帯に。だからやっぱりノーリスクで、シュートで終ろうっていう話はしてましたけど、我慢できたゲームだったのかなと思います。
──今日は最後の最後で失点しましたけど、ずっと0で抑えていました。
開幕前のオーシャンカップの時は切り替えを大事にしてたんですね。そこから、チームとして新しいことに取り組んで、うまくいかないことが多かった。原点回帰じゃないですけど、改めて切り替えを大事にした方がいいんじゃないかというのを、キャプテンと副キャプテンと監督で話したんですよ。
──キャプテンは鈴木裕太郎選手、副キャプテンは……?
僕と優志です。あと(水上)玄太くんとも練習中から話していたので。どこまで今日の勝利につながったかはわからないですが、コミュニケーションをとったのがよかったのかなとは思います。
マンツーマンで来るのはわかっていた
──町田は室田選手をかなり警戒していたように見えましたが。
前から来るのはわかってたし、前回の試合を見て、(髙橋)裕大が俺にマークつけてくる予想はしていたので、そこは2人組の関係でいなしていこうと。後半のキックオフ後のウン・ドイスとかは狙い通りです。本当は1対1でかわしたいっていうのはあるんですけど、けっこう勢いよく来るんで。逃げてるわけじゃないですけど、そこは2人で回避しようと(本郷)輝と(木村)優太とも話してたので。
──町田が人に対して強く来るのを、逆手に取ったということですね。
はい。中に運んだ時も、相手はダブルチームできましたけど、喰われる(ボールを奪われる)シーンはあんまりなかったんじゃないかなと思います。
──改めて、今日3500人のお客さんの前でプレーするのはどうでしたか。
超気持ちよかったです。今年は全然結果も出てないから、見に来る人が少なかったので、これを勝ったのは集客的にも順位的にも大きいと思います。
──F2降格への危機感というのはありますか。
もちろん。ここまで先輩たちが積み重ねてきたクラブをF2に落とすっていうのは、絶対やっちゃいけないことだから。もう何としても、やるしかない。まだ試合は全然ありますから。
──ただ、他のチームは、ブラジル人を連れてくるような補強をするじゃないですか。エスポラーダは「北海道出身選手のみ」という縛りがあるから、戦力面でのハンデはあるのかなと。
それがエスポラーダのカラーですし、アイデンティティだと思っています。ただ、北海道出身の選手を育てるための仕組みは必要なのかなと。町田ってそこがうまいじゃないですか。生え抜きの選手を下から上げて、誰かが抜けても、新しい選手がどんどん出てくる。そういうふうになっていけば、北海道出身選手だけでも全然戦えると思っています。
汗だくになって働いてます
──地元に戻ってきて、フットサル選手としてはどうですか? 名古屋や町田とかとは、ピッチ内外で環境も変わってると思いますけど。
今、8時半から17時まで働いてます。
──そうなんですか! 具体的に仕事の内容は?
障がい者の方の家の清掃が主な業務です。坂(桂輔)がもともと働いていて、去年からお世話になっています。裕太郎くん、ジエイ(福田亮)、(山下)颯大も働いています。
──チームの練習時間は?
19時からです。練習までの2時間で、ご飯を食べる時もありますけど、基本は仮眠します。
──かなり疲れるんじゃないですか?
この時期はとくに暑いのでしんどいですね。引越しの退去後の清掃に入ったりするときもあって、エアコンのない部屋で汗だくになりながら清掃をしてます。
──北海道に戻る時点で、自分のなかで気持ちを切り替えていたんですか。
北海道に帰ってきた1年目はワールドカップがあったので、お金はきついけど、フットサルだけをやろうと。W杯が終わってから今のところで働かせてもらっています。
みんなを楽しませたい
──室田選手は何歳になったんでしたっけ?
31です。
──若いでしょ、31は。
いやあ、しんどい、しんどいです。だって、明日も仕事っすよ。
──今日はプレータイム、かなり長かったんじゃないですか?
はい、勝ったからよかったですけど(笑)。
──31歳になった室田祐希がFリーグのピッチに立つモチベーションは?
みんなを楽しませることです。アベマとかFリーグTVも含めて、フットサルを見にきてくれた人を自分のプレーで沸かせられたらいいなって。
──ファルカンやリカルジーニョのように。
はい。
──今日も、室田選手はたくさんの人を楽しませてくれたと思います。
そうですか? まだまだっす。もっともっと見ていて楽しい選手になりたいです。
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