【日本代表|小西鉄平TD】「今後の強化・育成の現状と方針」
8月24日、日本サッカー協会(JFA)は、フットサル日本代表の今後の活動に関するメディアブリーフィングをオンラインで開催した。
会見には木暮賢一郎監督と、小西鉄平テクニカルダイレクターが参加し、8月下旬から行う海外視察や直近の代表活動、来年2024年9月14日からウズベキスタンで開幕するワールドカップに向けた強化方針など、質疑応答を交えて約1時間の報告や説明を行なった。
【木暮賢一郎監督】「国際親善試合は大国とやることをベースに考えている」
■ブリーフィングの録画映像の一部を公開中(YouTube|SAL公式チャンネル)
選手派遣の相談や育成事情の視察で欧州へ
■小西哲平(日本サッカー協会フットサルテクニカルダイレクター)
来年、2024年9月14日からウズベキスタンでワールドカップが開幕します。この大会での上位進出、目標に到達できるように、いろんな準備をしています。
準備の基本は、インターナショナルマッチデー(IMD)を有効活用して世界の強国と試合を重ねることが強化のベースになっています。来年以降もそれをしていきたいと考えています。ただ、アジアカップが、IMDから外れると言われています。
日本でも選手が少しずつ海外に進出していますし、Fリーグもそうですが、海外のクラブも基本的にはIMDの期間がベースですが、私たちにとって大事な期間がIMDと重なっていないことが分かっています。そこへの理解と協力を獲得するためにも、8月末から9月末まで、私と木暮賢一郎監督、にも精通している馬場源徳フィジカルコーチで行脚して、スペインの6クラブとポルトガルの1クラブの強化責任者と話をしてきます。選手を呼ぶことになれば協力してもらいたい、と。これが欧州行脚の大きな目的となります。
もう一つ、来年のW杯だけではなく、継続して強化されていくべきアンダー世代や女子代表のことなど、フットサルの育成にまつわる協力関係を築くためにも、各国の協会の強化責任者と話し合う機会を設けてきます。
強化試合の話やW杯だけではなく、次の世代の活動においても、彼らのやり方をヒントにしたり、こちらの活動にリンクさせたり、より詰めていく行脚になります。
それとは別に、木暮監督と馬場コーチはそのままブラジルへと向かい、協会や、各クラブとも話をさせてもらいます。大きなポイントはブラジルの育成環境のやり方など、具体的にどのような考えで育成年代からA代表を輩出しているか、そのパスの方法などを、監督、コーチの目で実際に見てもらうことです。
なぜブラジルかというと、6月にパラグアイでU-17南米選手権が行われ、そこで優勝したアルゼンチンも視察候補でした。A代表も2016年のW杯で優勝していますから。ただし、9月11日からブラジル遠征を始めるのですが、そこでU-20の活動もしているということなので、帯同して見させてもらうことになりました。
日本代表チームを強化していくために、そうした各クラブとの調整と、それ以降の継続的な強化、育成を視点に、スペイン、ポルトガル、ブラジルというW杯で優勝経験のある強国を巡ることが、大きな目的となります。
「各国を直接訪問して関係を築く必要がある」
──これまでも各国の協会とコミュニケーションを取る機会はあった?
以前も、スペイン、ポルトガル、ブラジルの協会との連携はありますし、直接訪問もしています。頻繁ではないながらもメールなどのやりとりもしてきました。
これまでの主なポイントは、育成環境の視察でした。というのも、日本代表のA代表はこれまで、外国人監督にお願いしてきたこともあり、元々スペインなどとのコネクションがあり、お任せしていた部分もあります。ただし育成や指導者養成については日本サッカー協会としてもフットサルへの主体的な取り組みが必要になるため、助言をもらったり、実際のコースを見させてもらったりしてきました。
今回、それをより密にしようというのは、木暮監督が就任して以降、海外に出る選手が増えたことで、IMDとの兼ね合いや、普段からプレーを見ることができないデメリットもあるので、直接訪問してクラブとの関係を築くことが必要だろうということです。
各国の協会とは、具体的なマッチメイクも、これまではメールや電話が多かったのですが、直接会って、しっかりと握手して、今後も定期的に、単発ではなく活動していこうという約束を取り付ける。コミュニケーションの質を上げる目的があります。
──インターナショナルマッチデー以外のタイミングで選手を代表活動に送り出すことは、海外クラブにとっても難しいものですか?
正直、IMDを非常にリスペクトしていますから、クラブに所属している選手も、その期間中の代表活動で成長するという好循環についてはウェルカムで、同意を得ています。ただしそれ以外の期間は、代表活動が成長につながることを十分に理解してもらいつつも、やはりプロとしての活動のなかでは、一筋縄ではいかないなと思っています。
お互いにプロフェッショナルな仕事のなかでやっているため、当然ですがいい塩梅を見つけることがポイントかなと思います。
──フットサルの認知・拡大に関するサッカー協会としての展望は?
認知・拡大が大事なポイントですが、JFAだけでそういったフットサルの環境を整備したり、子どもたちにサッカーもフットサルもできる環境を整備したりするにはいろんな不足があります。地域の協会や日本フットサル連盟が、我々の意図を汲んで大会などを整備してくれています。
同時に、我々はそうした環境をうまく生かしながら、代表活動にうまくピックアップしたり、その前の段階でトレセンをしたり、各種の大会にナショナルコーチングスタッフが視察に行き、注目している事実を、各大会参加者などにも元々のレギュレーションに組み込んでいくことが必要だなと思っています。
連盟、地域との連携が認知、拡大には大事だと思っています。そのなかで、JFAとしては夢を持ってもらうこと。その上で、代表活動がある。木暮監督になってから世代交代できているので、Fリーグで活躍してもらえるようにする。そうした活動をできたらと。
──2024年の代表活動が全日本選手権とかぶる可能性があります。クラブとの調整はどのように考えていますか?
代表にとってもアジアインドアゲームズは大事で、クラブは選手権も大事なものです。我々としても、リーグとクラブ、代表、最適な解を見つけて、鋭意調整中です。
──12月に国内で行う国際親善試合はどんなマッチメイクを考えていますか?
Wカップが近いので、目標に必要な対戦国をリストアップしているのでそこからうまくハマりそうなところとご理解いただけたらと思います。
──アジアインドアゲームズが2月に移ったことで空いた11月の活動は決まっている?
アジアインドアゲームズで抑えていたところが空き、リーグも空くので代替活動をします。活動イコール試合です。試合はいい調整ができています。また報告させていただきます。
──インターナショナルマッチデーについては、国際サッカー連盟(FIFA)のなかで、アジアサッカー連盟(AFC)に対するプライオリティが低いからでしょうか?
なぜAFCの大会がIMDから外れているのかというと、大きくいうと、AFCは多くの国が参加していますが、すべての国に公平かつ平等なタイミングをまずは優先的に考えていると思います。FIFAのIMDを基本的にはフォローする考えがありますが、今回はラマダンが入ります、と。そこがFIFAのIMDに1日重なってしまっている。そうするとラマダンの影響を受ける国がアジアには多いため、そこから一週間くらいずらしたタイミングで開催することでIMDからずれてしまう。そこが大きな理由となっています。我々はそれらをクリアしながらクラブとも話して、欧州行脚をして、理解を示してもらうということをしていきます。
■日本代表の今後のスケジュール
2023年9月11日(月)〜9月17日(日)ブラジル遠征(サンパウロ州)
9月25日(月)〜10月11日(水)※事前トレーニングキャンプ含む
AFCフットサルアジアカップ2024予選(チャイニーズ・タイペイ)
10月7日(土)vs オーストラリア代表
10月11日(水)vs チャイニーズ・タイペイ代表
11月 海外遠征(調整中)
※アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ(タイ)が延期のため
12月14日(木)国際親善試合(東京/大田区総合体育館)
12月17日(日)国際親善試合(北海道/帯広)
2024年2月 アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ(タイ)
4月(予定) AFCフットサルアジアカップ2024(場所未定)
※ワールドカップ予選を兼ねる
9月 FIFAフットサルワールドカップ2024ウズベキスタン
Follow @ssn_supersports