波紋を呼ぶ“ピッペン騒動”に元同僚が助け舟「この数年、彼は苦労していた」<DUNKSHOOT>

自身の発言で批判を浴びているピッペン(右)に対し、ブルズ時代の同僚ウェニントン(左)が擁護するコメントを残した。(C)Getty Images
シカゴ・ブルズで2度の3連覇(1991~93年、96~98年)を成し遂げ、黄金時代のメンバーとして名を馳せたスコッティ・ピッペンが、自身初の自伝『Unguarded』で神様マイケル・ジョーダンを辛辣に批判したことで矢面に立っている。

ピッペンとジョーダンは“NBA史上最高のデュオ”とも言われ、抜群のコンビネーションで数々の強敵を蹴散らし、90年代のリーグを支配した。

現役時代は確執の話などほとんど取り沙汰されなかったなかで、状況が変わるきっかけとなったのが、2020年4~5月に米スポーツ専門局『ESPN』で公開され、大きな注目を集めたブルズのドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』だ。作品内では、チームのリーダーだったジョーダンが仲間を叱咤激励して奮起を促し、栄光へと導いたように描かれていたが、開幕前に足首の手術を遅らせたピッペンは「セルフィッシュ」な判断だったと非難された。

ピッペンは著書内で、「セルフィッシュとは何か知りたいかい? セルフィッシュはチームがフリーエジェントとサインするには遅すぎる、トレーニングキャンプが始まる直前に引退すること」と言及。自身が言われた「セルフィッシュ」の言葉を用いて、現役引退を表明した際のジョーダンを“口撃”している。
ピッペンの言動は多くのメディアで報じられ、波紋を呼んでいる。ただ、そんな“孤立無援”とも言える状況のなかで、6年間をともにした元同僚が援軍に名乗りを上げた。1993~99年にブルズに在籍し、後期3連覇に貢献したセンターのビル・ウェニントンが、『NBA Radio』の中でピッペンを擁護するようなコメントを残している。

「私は今、彼の本を見ている真っ最中だ。楽観的に言っても、当時仲違いしていたのは見ていない。みんな仲が良く、一緒に遊んでいた。スコッティに何が起こったのかは分からない」

ウェニントンは当時、チーム間に軋轢はなかったとし、2歳年下のピッペンに関しても元チームメイトとして理解を示した。

「私は彼の意見を尊重する。彼は私の大好きなブルズのチームメイトの1人だ。とても楽しかったが、スコッティの人生に何かが起こったのかは分からない。彼は生活、息子の死(長男アントロンが今年4月に他界)、すべての面でこの数年苦労していたことを知っている。彼がそう感じたんだとしても、一緒にプレーしていた間はチームに影響を与えなかった。少なくとも、同じ時間を過ごしている間は、それを押し隠すという素晴らしい仕事をした。当時、私たちはみんな仲が良かった」

かつてのチームメイトたちも巻き込む形で波紋が広がり続けているが、“ピッペン騒動”は無事に収束を迎えられるのだろうか。

構成●ダンクシュート編集部

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