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「ジョーダンに感謝してるわけじゃない」ピッペンが自著内で“元相棒”への不満を爆発!「ドン引きした」<DUNKSHOOT>

“史上最高デュオ”のひとつであるジョーダン(右)&ピッペン(左)だが、ピッペンは元相棒に対し不満を溜め込んでいたようだ。(C)Getty Images
現地時間11月9日、NBA75周年記念チームに選出されたレジェンド、スコッティ・ピッペンによる初の自伝『Unguarded』が発売された。

セントラル・アーカンソー大という無名校出身ながら、1987年のドラフト1巡目5位でシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)から指名されたピッペンは、ドラフト当日にシカゴ・ブルズへトレードされてNBAキャリアがスタート。マイケル・ジョーダンに鍛えられて徐々に頭角を現すと、オールスター選手へと成長を遂げ、ブルズが2度の3連覇(1991~93、96~98年)を果たすうえで不可欠な存在となった。

ピッペンはキャリア17シーズンで、6度の優勝に加え、オールスター選出7度(1994年はMVP獲得)、オールNBAチーム選出7度、オールディフェンシブチームにも10度選出。2010年には殿堂入りも果たした名プレーヤーだ。
だが自伝のなかで、ピッペンは、ジョーダンへの本音を漏らしている。

ブルズでジョーダンは、恐ろしいまでの闘争心と厳しさでチームメイトたちへ高すぎる目標を設定し、時に口論になるほど罵って精神的なタフさを植え付けてブルズが成功させ、その過程での貢献度が絶大だったと昨年、米スポーツ専門局『ESPN』で公開された『ザ・ラストランス』で好意的に描かれていた。これにピッペンは異論を唱えていたという。本人のコメントを米放送局『CBS Sports』が報じている。

「あのドキュメンタリーのなかで、マイケルは先陣を切ってチームメイトに罵声を浴びせていた。彼はよりフィジカル化したNBAのゲームを克服すべく、タフネスを鍛え上げることが必要だったと感じていたのさ。でも改めてそれを観てみると、マイケルがチームメイトたちに向けて話していたことがどれだけ不十分だったか。あの頃を思い出してドン引きしてしまったね」

「マイケルは間違っていた。俺たちが勝てたのは、チームバスケットをしていたからだ。私の(NBA入りしてから)最初の2シーズンでそれをすることはなかった。ダグ・コリンズがコーチの時ね。でもそこからブルズでプレーできることが格別なものになったんだ。それは俺たちが互いのためのプレーを構築してきたからさ。俺たちはマイケル・ジョーダンと同じチームでプレーできたことを感謝してるわけじゃない」
ピッペンにとって3年目となった1989-90シーズン、それはフィル・ジャクソンがアシスタントコーチからヘッドコーチに昇格し、トライアングル・オフェンスを本格導入した時だ。

複雑なシステムの下でコート上の5人が動いてボールを回し、3選手が三角形のポジションに立って攻めるというトライアングル・オフェンスを駆使したことで、ブルズは優勝することができたのだとピッペンは自伝のなかで主張している。

203センチ、95キロのサイズを持ち、トライアングル・オフェンスではコンダクター役を務めてきたピッペンは、ディフェンスでも‟ワンマンレスキュー”と呼ばれたほどコート上を駆け回り、複数のポジションをカバーして絶大な貢献を果たしてきた。

ジョーダンと比較すると、シーズンMVP獲得経験はなく、数字の面ではどうしても見劣りしてしまうものの、ピッペンは「マイケルよりもずっといいチームメイトだった」と書き残している。
「俺たちとプレーしたことのあるヤツに聞いてみてくれ。いつだって俺はチームメイトたちの傍で背中を叩いて励ますか、言葉をかけていた。特にマイケルが誰かを貶した後にね。俺は彼らに対して信じていること、そして彼らが自分たちの実力を疑うことをやめさせたのさ」

特に1990年代の後期3連覇では、1度目の現役復帰を飾ったジョーダンはスコアラーとしての役割が強く、チームを束ねる役割は主にピッペンが担っていたこともあり、“ピッペンのチーム”と言われることもあった。

だが1990年代のブルズと聞かれて誰もが真っ先に挙げるのは、今も昔も、そしてこれからもジョーダンだろう。ピッペンとしては複雑な思いがあるだろうが、確実に言えるのはこの男抜きにブルズが王朝を構築することはなかったということだ。

ピッペンには今後もメディアへ出演してスポットライトを浴びてもらい、その影響力を発揮してほしいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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