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【MLB】2桁勝利&200奪三振ノルマの千賀滉大に新人王視界の吉田正尚 日本人ルーキー後半戦の行方を展望 

写真左:千賀滉大(提供:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)/写真右:吉田正尚(提供:西村尚己/アフロスポーツ)

2023年のMLBシーズンは前半戦が終了し、オールスターゲームを挟み後半戦へ突入した。今季からニューヨーク・メッツに加入した千賀滉大とボストン・レッドソックスに移籍した吉田正尚の2人は高額な契約を結び海を渡ったなか、ここまでは前評判通りの活躍を見せ、後半にかけても期待が高まる。“お化けフォーク”を武器にメッツを支える千賀と巧みなバットコントロールを見せレッドソックスの中軸に座る吉田の活躍を振り返りつつ、後半にかけての展望を語っていきたい。(文・井本佳孝)

脅威となった“お化けフォーク”

福岡ソフトバンクホークスから5年総額7500万ドル(約102億円)もの高額移籍でメッツに加入した千賀は、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の代表入りを断念しチームでの活動に専念。サイ・ヤング賞投手のマックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダーらと強力ローテ形成を期待されたなか、開幕から先発に定着した。デビュー戦での初白星を含め、4月を3勝1敗、投球イニングを上回る32個の三振を奪う好スタートを見せ、ニューヨーカーの心を掴んでみせた。

メジャー挑戦前から評価が高かった千賀の持ち玉、“お化けフォーク”はアメリカへ環境を変えても輝きはそのまま。チェンジアップやツーシーム、シンカーなどが主流のMLBにおいて、千賀の落差の大きいフォークは強力な武器となり空振りを奪った。7月16日(日本時間17日)終了時点 で7勝5敗、防御率はナ・リーグ9位の3.20、122奪三振は同8位、11.48の奪三振率はリーグ3位と堂々の数字。メジャーの打者にとって千賀のフォークは初体験であり、武器を活かしながら前評判通りの活躍をみせているここまでといえる。

出場こそなかったが、代替選手としてオールスターのメンバーにも大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)と並ぶ日本人選手として選出。順調なまま後半戦へ入っていく千賀だが、年間162試合という長丁場のシーズンに初めて挑んでいるなか、ローテーションを年間通して守れるかは一つのポイントとなる。ソフトバンク時代から故障やコンディション不良で離脱する時期もあった千賀が、MLBのタフなシーズンで対策もされていく中で成績を残し続け、メッツの投手陣を支えられるかは、チームからの信頼も高まる中で期待がかかってくる。

日本最高のバットマンが実力証明

吉田正尚,野球
写真:吉田正尚(提供:写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

一方の吉田はレッドソックスと総額9000万ドル(約126億円)の契約を結んだなか、春のWBCに参加するという決断を下した。栗山英樹監督率いるチームで最終的には4番を任され世界一に貢献しベストナインにも選出。現地の期待が膨らむ一方で、コンディション面が心配された。主軸を任されてスタートした4月には、打率が1割台に沈むなど、ストライクゾーンへの適応に苦しみ、先輩メジャーリーガーが味わってきた1年目の壁に吉田もぶつかったかに見えた。

しかし、日本最高のバットマンとして海をわたり、国際経験も豊富で修羅場も経験してきた吉田の急上昇がここから始まる。5月には13試合でマルチ安打を記録するなど月間打率.354と巻き返し、打率を3割台に乗せる。6月以降は大きなスランプに入ることなく高打率をキープし、オールスター直前からは圧巻の8試合連続マルチ安打。16日(同17日)現在で打率.317でリーグ2位に立つなど、ア・リーグの首位打者争いに加わる活躍ぶりを見せる。本塁打も2桁を超え、WBCを経てさらに高まった期待に応えてみせている。

吉田に期待されるのがメジャー1年目での打率3割達成。歴代の日本人メジャーリーガーで新人で3割を記録したのがオリックスの先輩であるイチロー。シアトル・マリナーズに加わった2001年に打率.350で首位打者、新人王、MVPなどタイトルを総なめ。10年連続打率3割を達成した日本のレジェンドに加え、メジャー移籍3年目の2005年に打率.305を記録したニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜の2人のみが規定打席到達での3割バッター。今季高打率をキープする大谷とのダブル達成となれば、同じく2005年のイチロー、松井以来となる。新たな歴史が開かれるか期待が高まる。

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