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「甲子園の魔物」の正体とは?長丁場の試合で「大波乱」が起きる理由

さらに極めつけがストライクゾーンの拡大だ。試合を早く進めるためにボール半個から1個分、ストライクゾーンが拡大するのだ。雨が降ろうものならさらに広がることがある。私も現役時代、「謎のストライクゾーンの拡大」に悩まされた。選手たちは明確に感じており、「試合、終わらせにかかってるな。ギリのところは振っていくしかない」と選手同士で耳打ちしあったものだ。

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(Photo by pkripper503)

だが、今年の甲子園では代打で登場した選手がその餌食になってしまった。ストライクゾーンの拡大も、スタメンで数打席を経ている選手であれば、比較的簡単に気付くことはできる。だが、代打ではそうはいかない。ボールを見極めて見逃したボールが本来のストライクゾーンから外れているにも関わらず、見逃し三振の宣告を受けてしまったのだ。まして、その選手は、負けているチームの終盤に出てきた代打である。もしかすると彼の現役最後のプレーであるかもしれないのに…と考えると少し残酷な気もする。

「魔物」の手管の一つひとつはささいなことかもしれない。だが、球児たちはプロのアスリートではない。ましてや負けたら終わりの大舞台に立ち、大観衆に囲まれているのだ。「何かいつもと違う」と感じるだけでも高校生のメンタルを乱すのは十分なのかもしれない。パンパンに張り詰めた風船のような精神が破裂しそうになる瞬間、魔物は鋭く牙を剥くのだ。

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(Photo by Baseball field)

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