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オーナー側が「8日までの交渉成立」を条件に162試合開催を提案も、妥結の可能性は「バントでランニング本塁打を決めるようなもの」との声<SLUGGER>

一度は2シリーズ分の試合中止を発表したロブ・マンフレッド・コミッショナー(写真)だが、ここへ来て162試合開催の“復活”を再度提案している。(C)Getty Images
ロックアウトが長引き、すで2022年シーズン開幕の延期が決まったMLB。2シリーズ分が中止になったと発表されているが、ここへ来てシーズン162試合開催の可能性が出てきた。

現地3月7日に行なわれた双方の弁護士の会談で、オーナー側は選手会側に8日までの全面的な妥結を条件に「シーズン162試合開催」「サラリーの全額支払い」「サービスタイムのフル換算」を認める、と通達した。

これまでオーナー側は、開幕延期期間中に予定されていた試合の代替開催は行なわず、その分のサラリーも支払わないとしてきた。また、開幕が15日以上延期になると、サービスタイム1年分に換算されるメジャー登録日数172日に届かなくなり、年俸調停権(メジャー3年)やFA権(同6年)取得が遅れる可能性も取り沙汰されていた。今回の提案は、ぜいたく税の上限引き上げと合わせて、オーナー側が“譲歩”したように見えなくもない。

だが、オーナー側は同時に8日の交渉で妥結に至らない場合は、さらに1週間分の試合が中止になると通達。本来、サラリーの支払いやサービスタイム、日程に関する決定は選手会の同意がなければできないはずで、今回の提案「オーナー側は解決に努力したが、選手会がそれを拒んだ」という構図にするための言わばアリバイ作り、という見方も根強い。
6日の交渉では選手会側がある程度歩み寄りを見せたものの、主な争点の一つである若手選手用の「ボーナースプール」(年俸調停権取得前の選手に対し、活躍に応じてボーナスを支払う制度)の総額について、選手会は8000万ドルを希望しているのに対し、オーナー側は3000万ドルとまだ大きな開きがある。

『ジ・アスレティック』のケン・ローゼンタールは「希望を高く持つのはもうやめた」というある選手のコメントを紹介。また、経済誌『フォーブス』のモーリー・ブラウンは「明日交渉が合意するとしたら、それはキャッチャー前にバントをしてランニングホームランを決めるようなものだ。確かに不可能なことではないが、しかし……」とツイートしている。少なくとも現状では、よほどの飛躍的な発展がない限りは8日にロックアウトが妥結する可能性は低いと言わざるを得ない。

それでも、戦力均衡税の引き上げについてオーナー側が譲歩を見せたことは確かな前進と言える。果たして、明日の交渉で奇跡が起きるのか。多くのファンが固唾を呑んで見守ることになりそうだ。

構成●SLUGGER編集部

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