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長引くロックアウトに連邦政府が介入へ?「MLB機構は何もしてこなかった」と選手が不満爆発のワケ<SLUGGER>

本来はコミッショナーのマンフレッドが指揮を取らねばならないはずが、彼がオーナー寄りというのも事態をややこしくしている。(C)Getty Images
 昨年12月2日からロックアウトに突入しているメジャーリーグ。あらゆる交渉がストップし、数多くのFA選手が市場に残ったまま早2か月が過ぎた。年が明け、MLB機構と選手会の交渉は再開したものの、両者の隔たりは依然として大きいままだ。

 そんな中、MLB機構が米連邦調停局(FMCS)に支援を要請したことを各種メディアが報じている。第三者の中立的な立場から事態を少しでも前進させたいというオーナー側の“意志表示”となったわけだが、FMSCの介入には選手会の同意が必要であり、まずは選手会がこれに応じるか否かが注目される。

 労使紛争などを解決・管理する独立行政機関であるFMSCはこれまで、NFL(2012~13年の113日に及ぶロックアウト)やNHL(2012年の審判団によるロックアウト)の労使紛争にも介入してきた。MLBでも、1994~95年の長期ストライキで仲裁に入ったが、効果はあまりなかった。キャンプインまで10日あまりという状況で調停を申請したこと自体、交渉が行き詰まっていることの何よりの証で、3月31日に予定されている開幕の延期がにわかに現実味を帯びてきた。

 改めて整理すると、今回のロックアウトの最大の争点は「選手の取り分」をめぐる問題だ。MLB全体は潤っているにもかかわらず、平均年俸はここ2年で5%も低下。選手会は自分たちに富が分配されていないことに憤っている。

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  近年はメジャー昇格時期を意図的に数週間遅らせてFA取得時期を延ばす手法が横行。さらに、球界全体での若返り進行やデータ分析の発展によって「FA補強はコストパフォーマンスが悪い」と各球団が考えるようになり、せっかくFA権を取得しても一部のスーパースター以外は大型契約を得られないケースが頻出するようになった。

 そのため、選手会はFA&年俸調停取得までの期間短縮や若手選手の待遇改善、戦力均衡税課税ラインの引き上げなどを要求している。オーナー側も、最低年俸の引き上げなどには理解を示しているが、FA&年俸調停権取得時期の短縮は拒否している。

 当然、選手たちの不満は大きくなるばかりで、ロックアウト直前に3年7100万ドルでカブス移籍を決めた右腕マーカス・ストローマンは「(ロブ・)マンフレッド(・コミッショナー)と彼の部下たちは、理由もなくシーズンを遅らせている。別に驚くようなことではないけど」と痛烈に批判。ジャイアンツの先発左腕アレックス・ウッドも、「どうしてMLB機構がFMSCの仲裁を要求できるのか。彼らは文字通り交渉で何もしてこなかったのに」と憤っている。

 先に述べた通り、第三者の仲裁を求めたのはMLB機構、つまりオーナー側だ。一見すると彼らの方が解決に向けて動いているように思えなくもない。しかし、これまでの過程を見る限り、選手会の提案を拒否し、有効な代替案も提示していないのはむしろオーナー側。関係者の中には、オーナー側はFMCSの介入を選手会が拒否することは織り込み済みで、そうさせることによって「選手側が協力的でない」という印象を与えようとしている、との見方も根強い。

 少なくとも現状では、仮にFMSCの介入が認められたとしても、事態改善につながる可能性はあまり高くなさそうだ。

構成●SLUGGER編集部

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